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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第25話「終わりなき戦い」 脚本:村井さだゆき


あらすじ  (人類滅亡まで211日・収容所惑星から19日)

 帰路短縮のため、バラン星の亜空間ゲートに急ぐヤマト、しかし、そこにはガミラスを脱出したデスラー率いる残存艦隊の姿があった。

Aパート:ヤマトバランに向かう、ゲール艦隊の攻撃
Bパート:ヤマト白兵戦、デスラーの最期

コメント

 波動砲を封印され、コスモリバースシステムを組み込まれたヤマトは一路バランに向かう。往路で用いた亜空間ゲートの銀河側がまだ生きており、これを使えば行程を一挙に6万光年短縮できるからだ。しかし、ゲールの艦隊がすでに待ち受けており、ゲートに向かうヤマトは艦隊の猛攻を受ける。そこにディッツの密命を受けたフラーケンがヤマトに加勢し、ゲールは宇宙魚雷を浴びて宇宙の藻屑と消える。無事ゲートに突入したヤマトだったが、そこにはデスラーの巨大戦艦が待ち受けていた。

 この話でまず疑問に思うのは、ガミラスを脱したデスラーの現在の地位である。前話でヒスによりスターシャに死亡が伝えられていたデスラー総統だったので、現在のガミラスの最高権力者はヒス総統で、死亡認定のデスラーは無位無官の一介のガミラス人のはずである。しかも、ガミラス艦隊を掌握したディッツにより艦隊には帰還命令が出されており、デスラーもそれを傍受していることから、腹心らに自分の生存を伝えるとか、地位回復を迫るなどできたはずである。デスラーはともかく、腹心のタランがそこに気を回さなかったことがまず不可解である。と、いうわけで、ゲールを直率するデスラーには艦隊の指揮権も無いはずなのだが、ゲールはそれを知りつつも唯々諾々と従っているのも変である。いずれにしろ、前総統の彼の立場なら赴くべきはヤマトではなくガミラス星だろう。しかし、国民を見捨てた彼にガミラスでも居場所などあるのだろうか。

 と、いうわけで、話は割り切れないものを残しつつ進むが、ゲール艦隊の反逆を通じてデスラー生存を知ったはずのディッツの命令も煮え切らない。彼がフラーケンに討ち取らせるべきはゲールのような小物ではなく、デスラーのデウスーラであるはずである。が、新たに藪を新機関士に加えた彼の潜宙艦はゲールの旗艦を沈めると任務終了とさっさと帰還してしまう。そして、亜空間内でロボット兵しか従う者の無いデスラーとヤマトの白兵戦が展開される。デスラーの目的はヤマトの破壊ではなく拿捕であり、これも前の話で本来ならドメルに命じていなければいけないものである。戦いの最中、護衛兵に撃たれたセレステラと雪が死ぬが、制圧に失敗したデスラー艦もヤマトの砲撃で宇宙の藻屑と消える。大宇宙を制した総統にしてはなんともミジメであっけない最期である。

 筆者的に割り切れなかったのは、森雪を撃ったガミラス兵の使っていた銃、どうも変な所は描き分けがなされていたようで、デスラーを撃った地球製の銃は彼の宇宙服を引き裂き、総統に負傷を与えているが、彼の侍女の持っていた銃は森雪の柔肌にいくら撃ちこんでも服も破れず出血もしないもののようである。古代を撃った場合には避けた彼の背後の壁に穴を開けているので、貫通力はあるはずだが、なんでこうなんですか〜と聞けば、たぶん、雪を血まみれ出血多量の損壊死体にしたくないというスタッフのご都合主義で、そんな演出は別の場所で使ってくれよと言いたくなる。とりあえず、旧作ではただの酸欠だったが、2199ではゴットファーザーよろしくマシンガンで蜂の巣にされて雪は死亡する。ついでにモブキャラ数人も死んだが、名前も覚えていないので、別にどうでも良いことである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 気に入らない臣民を見捨てて首都を攻撃したかと思えば、あの艦が欲しい〜、と追いかけてくるだだっ子のようなデスラー。こんなヤツにいつまでも勘違いLOVEしているミレーネが哀れを通り越して鬱陶しい。とって付けたように森雪が言う「私たちのすべきことは、愛し合うことだった」というかつての名セリフが空々しく響く。 

 古代の拳銃の「NANBU」という刻印には何か意味でも?(小林)
 原作のラストと同じするための辻褄合わせの回。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第25話 さらば宇宙戦艦ヤマト」


あらすじ

 ゴレムが作動し、ガトランティスはズォーダーを残して死に絶える。自らを裁定者と自覚したズォーダーは滅びの方舟と一体化し、地球とヤマトの破壊を目論む。

Aパート:ゴレム作動、キーマン斉藤死す
Bパート:滅びの方舟逃げる、ヤマト特攻

コメント

 先ず、前作の宇宙戦艦ヤマトを考えると、この作品は宇宙空間を舞台にした太平洋戦争であった。だからこその「宇宙戦艦」であり、現代ではとっくに旧式化した巨艦が重々しく主砲を旋回させ、「宇宙空母」や「艦載機」が登場し、乗員たちが勇気と能力の限りを尽くして巨大な敵と戦う所に醍醐味があった。前作の都市帝国はそのフォーマットでは限界とも言える敵で、惑星規模の巨大要塞にヤマトの数百倍の巨艦がラスボスとして控え、それでは戦争にならないということでテレサによる「奇跡」を拝借したのである。それでも、古代が立ち向かった巨大戦艦ガトランティスは砲台の大きさはヤマト並みとはいえ、旋回式の砲塔を装備していた。つまり、ヤマト以上の究極兵器であるこの戦艦も煎じ詰めれば「第二次世界大戦様式」の戦闘を戦うように作られており、それがこの作品のルールだったはずである。

 ところが2202はどうであろう、桂木透子を殺し、加藤を撃墜したのは空飛ぶノコギリのような意味不明の兵器で、それが戦艦の撃墜能力を超えるような数で超高速で襲いかかり、敵の巨大戦艦は都市から生えてくる。そしてウルトラ波動砲で破壊された敵の要塞は「滅びの歌」(これでズォーダー以外のガトランティス 人は滅びてしまう)で破片から合体再編成され、一人残ったズォーダーは投身してメカと合体する。どれを取ってもこの作品の様式からかけ離れた内容で、何か光るものが敵の中枢といわれても、地球より大きなスライム合体の方舟に弱点も何もあるかと白けた気分になる。そもそも松本零士の作品では敵は異星人でも引きこもりや自殺志願者ではなく、巨大なエゴを持った生ける人間であった。

 型通りの演出が半ば義務感のように挿入され、何の感動もペーソスもなく、古代は森雪とともにヤマトで都市帝国のエネルギーコアに突撃する。予定通りテレサが出るが、女神の言い分も育児に失敗したダメ母親のようで、一応都市要塞は爆破されたようだが、三話も続いてとてもつまらなかったなあと思える宇宙戦艦ヤマトの最期である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ズォーダーがゴレムを破壊したため、ガトランティス人はばたばたと倒れてゆく。おかげでヤマトは楽勝モードに突入するが、ズォーダーだけは死ねない展開である。そこで高らかに人間宣言をした彼は、滅びの方舟とやらを目覚めさせてしまう。ヤマトは都市帝国から脱出するが、真田さんは内部からの破壊を提案。キーマンが変なミサイルを抱えて攻撃しようとし、行かせるかどうかでだらだらと湿っぽい会話が繰り広げられる。しかし戦闘機の上に載って突っ込む斎藤のモビルスーツの絵はガンダムにしか見えず、特攻をかけるのがキーマンと斎藤という妙ちきりんな組み合わせなのも腑に落ちない。おまけにその特攻はまったくの無駄で、最終的に古代が一人でヤマトで突っ込むお約束の展開に。お涙頂戴な会話がてんこ盛りで、ただただ辟易。場面を作ってつなげるだけで、まったくお話になっていない。最後は、古代と雪のキスによってスーパーサイヤ人化するヤマト。そしてここから霊界通信の始まりなのだーーー!!??

評点
 これが理解できなくても別に恥ではない。(小林)
 なんでこーなるの?!(飛田)


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