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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第21話「第十七収容所惑星」 脚本:村井さだゆき


あらすじ  (人類滅亡まで230日・収容所惑星で15日)

 ザルツ人特務部隊に捕まった森雪は収容所惑星レプタポーダに連行される。一方、損傷したヤマトは修理のためレプタポーダに向かい、古代が偵察に赴くが、その機上にはユリーシャの姿があった。

Aパート:収容所惑星、古代偵察に向かう
Bパート:収容所の反乱、伊東の死

コメント

 ヤマト2199はメカの精密さとかスケールが原作より正確と思い込んでいる人がいるが、冒頭の宇宙葬の場面でのスケールは明らかに狂っている。沖田の背後にあるヤマトはデカすぎ、とても設定通りの宇宙戦艦に見えない。きっと航海の間に成長して全長500メートルくらいになっているのだろう。それにしてもデスラーに引見させる貴賓だというのに、拉致した森雪をクマよろしく檻に入れるとか、つくづく何考えてるんだか分からんスタッフである。この辺になってくるとアニメータもダレていて、森雪を引率するエリーサの絵もぎこちなく、滑らかなのはフラーケンの周囲だけである。

 で、ほとんど前振りなしの唐突な収容所蜂起、その前にガミラスの反政府分子がどのくらいの規模でどういうメンバーがいるのかも描かれていないし、所長ボーゼンの暴虐ぶりは分かるが、収容されているガトランティス人まで巻き込んで、メルダを幹部にご都合主義的に反抗が起きるのはハッキリ言って良く分からない。バックに流れているのも彗星帝国の音楽だし、ガミラス反乱分子は彗星帝国に操られてでもいるのだろうか。

 ヤマトを脱走した保安部長伊東がこの話で死ぬが(実は2199で戦死した唯一の名前ありキャラ)、これもロクに場面もないまま唐突に殺され、全般的に3話分くらいの話を無理矢理詰め込んだ整理されていないエピソードである。ラストで収容所長のパソコンからイスカンダルとガミラスが双子星であることが分かるが、原作でその事実を最初に視聴者の前で明確に語ったのは(実は作中で度々触れられてはいた)実はガミラスの総統デスラーで、次いでヤマト乗員にスターシャによって事実が伝えられるのである。

 冒頭の宇宙葬の場面も原作では七色星団のラストだった。つまり、エピソードを間延びさせているのだが、代わりに入れられた場面はといえば保科と百合亜がイチャイチャなどで、ハッキリ言ってダレているのではないだろうか。普通、良くできた作品というのはラストが近づくに連れ作劇も熱を帯びてくるものだが、2199の場合は手抜きばかりが目立っている。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 しれっとイスカンダル人のふりをする雪、いつの間にか解凍されて普通にしゃべっているユリーシャ。結局、あの自動航法装置って何だったの? 

 囚人脱走のドタバタ劇はそれなりに見れるが、
  イスカンダルの場所をここで明らかにしたのは大減点。(小林)
★★★ 話としては、意外性があって面白いところもあるけれど。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第21話 悪夢からの脱出!」


あらすじ

 最後のゼムリア人サーベラー(桂木)により、全てのガトランティスを滅ぼす言葉「ゴレム」が明かされる。情報を地球に伝えるため、ヤマトはゼムリアからの脱出を図る。

Aパート:滅びの言葉「ゴレム」、山南スペシャル出撃
Bパート:G計画発動、プリンセス山南の脱出マジック

コメント

 あ〜あ、やっちゃったというのが冒頭10分を見ての感想。滅びの言葉「ゴレム」とは、ゼムリア人の仕組んだガトランティスの安全装置で、過去の戦争でもなぜか使われず、現在はズォーダーの玉座になっている。作動すると全宇宙の全ての人工生命が死滅する。ガトランティスがいかに膨大な戦力を誇ろうとも、古代と雪が玉座で「ゴレム!」と叫べば、全てのガトランティスがズォーダーも含めて自爆して滅びてしまうのだ。

 あえて疑問を呈するならば、時間断層を使って戦力を無尽蔵に生産して抵抗する地球軍の戦略が緒戦で人的資源を消耗しすぎることは先に書いたし、敵が惑星級のものなら既存タイプの戦艦を量産するよりも、ガトランティスのような合体ビームや一秒間に数千発の波動砲を打ち込む波動バルカン、100体合体の巨大アンドロメダロボなど、敵に合わせた柔軟な兵器生産の余地はあるはずだ。が、デザイナーの小林誠が遊びのようなアンドロメダの変わり型を出す以外に交戦経験が生かされた様子はなく、G計画の人体改造計画やミュータント増産もいかにも迂遠そうで当座には間に合いそうにない。AIが考えたにしては頭悪すぎる計略である。

 「手足は良いから体だけ」という、卑猥(ひわい)な黒アナライザーに激昂したギンガの藤堂はロボットをぶっ壊し、独自判断でヤマトとアンドロメダ救援に向かう。大破した艦でヤマトを救出した山南は引田天功ばりの脱出マジックを披露し、制御を失ったアンドロメダは墜落して轟沈する。藤堂の判断が作戦全体にどう影響したかは、次回で何の影響もなかったことが明らかになるので、実は作戦はAIなどではなく、軍国主義者の司令官、芦沢の独断と独善で立案されたものでしかなく、AIはそれを正当化する方便だと分かる。2202のいわゆる「大人の事情」である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 毎回思うのだが、導入の場面が結構唐突でつながりがなかったりして、毎度毎度話のなりゆきを見失う。最初から見る気がなくなる構成なので、見続けるのに異様なほどの忍耐を強いられる。ガトランティスの過去話はまだまだ続いているが、その目的は最終兵器の情報をゲットするためのようである。これで、話はそのゴレムとかいう厨なネーミングの最終兵器をゲットしてドカーンと一発終わらせます〜!という方向へ向かっているとわかる、というわけだ。
 一方地球では姿を表した白色彗星と地球艦隊が対決する。アンドロメダはついに山南一人のボッチ戦艦となり、適当に派手派手しいが戦略戦術等さっぱりわからない戦いが繰り広げられる。一人でアンドロメダ戦艦多数を操縦する山南無双が笑いを誘う。ヤマトの方は初航海時さながらに埋もれた場所から土を割ってとびたっていき、ああ、これがやりたかっただけなんだなとまたもや白けた気分になる。ヤマト弐号機ではG計画の全容が明かされるが、AI化と女性の産む機械化、なんとも夢のなさすぎる話ではないか。ちなみに主人公の古代進は終始空気である。

評点
★★ 山南が引田天功になる必然性がない。(小林)
★★ ようやく本来の戦いの場面、しかしワンオペ艦隊はないわー。(飛田)


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