MUDDY WALKERS 

yamato

 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第19話「彼らは来た」 脚本:森田繁


あらすじ  (人類滅亡まで246日・バラン星から27日)

 ゼーリックの愚行でバラン星に主力艦隊を置き去りにされたガミラスは収監されていたドメルを釈放し、ヤマト迎撃に出撃させる。

Aパート:ガミラス作戦会議、ドメル艦隊集結
Bパート:ザルツ人特務部隊、七色星団

コメント

 もっぱらスタッフの都合でバランに置き去りにされたガミラス艦隊、それでもヤマト1隻を迎え撃つくらいの艦隊はあるだろうと思うが、デスラーは将軍ドメルを復職させ、老朽艦と老兵士の部隊を与えて戦場に送り出す。どうも何が何でもヤマトに負けさせたいらしい。しかし、原作では決戦前夜の粛然とした話のはずが、2199は画面がヤマト側に切り替わった途端にGdGdタイムになる。

 そして、集合するドメル艦隊、ドメルは置くとして、艦隊がボロ船ばかりになっても各艦に付き合い良く乗り込むバーガーらドメル部下を見ると、何かトンデモ企画に付き合うBBCトップギアのリチャード・ハモンドやジェームズ・メイみたいに見える。ハモンドがロケットカーで速度記録に挑み、失敗して丸焼けになったのは最近の話である。タランチュラ星雲でこれから始まる戦いも彼らドメル部下たちに取ってはトップギア並みの「チャレンジ」なのだろう。まずい脚本と演出のせいで、必死のドメル部下たちがガミラスのためではなくロケットカーによる速度記録挑戦とかプリウス銃撃、レンジローバー対チャレンジャー戦車に挑むように見えてしまうのは、要するにシナリオがおかしいのである。

 声優といえども生身の人間なので、二十何話も続くTVシリーズになると、駄作とか平凡な作品というのは後の方では明らかに演技のノリが悪くなる。ユリーシャに諭される沖田の口調も「もうウンザリだ」という感じだし、デスラーもドメルも全然乗ってない。メルダを止める反乱派二人組も命がけで行動しているはずなのに台詞棒読みで全然迫力ない。そして真田志郎は真田というよりはヤザンかシグナルマンみたいである。

 例によって死中に活を見出し、何度目かの突撃で(もう飽きたよ)七色星団に出現したヤマト、しかし、レーダー席には森雪の姿はない。出撃前にデスラーがドメルに言い含めた「ある作戦」のために、この戦いでは彼女は第一艦橋に居てはいけなかったのである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ガミラス側は引っ込めたドメルを出してきて決戦に挑む。一方ヤマトでは大マゼランに到達した感慨にふける乗組員たち。決戦前なのにグダグダ展開。

★★ ダランとした緊張感のない話だが、金が掛かっていないだけ前話よりはマシ。(小林)
 決戦前の説明でこれといった展開はなし。百合亜に説教される沖田に驚愕。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第19話 ヤマトを継ぐもの! その名は銀河」


あらすじ

 加藤の裏切りでエンジン停止したヤマトは彗星帝国に落下し、土方は総員退艦を命じる。僚艦アンタレスが乗員収容の最中、山南のアンドロメダを破滅ミサイルが襲う。間一髪で巨大な波動防壁が出現し、新戦艦ギンガが姿を現す。

Aパート:ヤマト脱出、新型ギンガ登場
Bパート:ブラックバード作戦、雪の記憶喪失

コメント

 一話20分の半分はヤマト墜落と総員退艦の場面、エンジンが停止したヤマトは総員パニックの混乱状態だが、救援に駆けつけた戦艦アンタレスは平気そうで、本作の彗星は前作みたいに無理やり引きずり込まれて押し潰されるようなものではないらしい。前作の白色彗星は人工的に作られた「白色矮星(太陽数個分の質量を持つ)」で便宜上「彗星」と読み替えられたものだが、本作では大きさは木星並みなものの中身はがらんどうの「タダの構造物」なので、実は重力も大きくないようだ。ちなみに木星の脱出速度は毎秒60キロで重力は地球の2.37倍である。恒星間宇宙船のヤマトならエンジンを再始動すれば容易に脱出できそうだが、2199や2202のヤマトは戦艦というより遊覧船なので、乗員は平気の平さで船を捨ててアンタレスに乗り込み、逃げ遅れた土方や古代は彗星に引きずり込まれる。

 真田らが移乗した「ヤマト級」戦艦ギンガは全艦AI制御のオート戦艦で、艦長の藤堂以下、根暗で暇そうな乗員に次作戦の説明を受けた彼らは嫌そうな顔をする。藤堂によれば練度の高いヤマト乗員が「コーチング」することでより完全なAI戦艦ができるらしい。しかし、AIの作戦立案能力は相当に低く、愚直な正面突撃という作戦案にヤマト乗員はウンザリした顔をする。波動コアの散布要員に裏切り者の加藤が指名され、バラ撒かれた波動粒子に藤堂がポチッと点火して始末する。数万隻の敵艦隊はこれで吹き飛び、加藤のコスモゼロは火を噴いて落ちる。藤堂によれば散布要員は当面が人間がやるが、AIによりいずれ自動化されるらしい。なぜギンガに役にも立たないパイロットの篠原が乗り組んでいるか分かったが、実はギンガにはもう一つ大きな秘密が隠されていた。

 「不要なものは排除」、裏切った加藤は特攻させてさっさと戦死させ、退艦したヤマト乗員もそのまま前線勤務など、「戦って死ね」とのたまう芦沢といい、まるで戦時中の日本軍みたいな地球軍だが、作戦指導は相当頭悪く、多くのAI戦艦やガミラス艦は経験値を積む間もなく轟沈し、犠牲の割にあまりご利益のなさそうな戦いを続けている。なお、その間に惑星ゼムリアに不時着したヤマトでは乗員の蘇生体(結局最後まで明らかにされなかった)を使って桂木暗殺の挙に出たズォーダーが森雪の正体に気づき、キーマンがゼムリアの遺跡を発見する。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 土方が総員退艦を命じ、重力につかまっていよいよヤマトから脱出不可能となったそのとき、「あれは?!」と驚く山南の声で半笑いに。そこにドドーンと登場するヤマト弐号機は、波動砲の砲口にドカーンと「銀河」のロゴマーク入り。展望ドームつきの豪華客船のようなデザインがかっこ悪すぎて笑いが止まらなくなる。そこに現れる白い軍服の女性艦長は「ここは通さない」といきり立っているが、見ているこちらは「あんた、誰???」状態で、話の盛り上がりに全然ついていくことができない。
 AI戦艦、ブラックバード作戦で敵艦隊殲滅、墜落したヤマトの行方に森雪の記憶喪失、前編これクライマックスという構成で、かえって何一つ印象に残らない。一体誰と、なんのために戦ってるんだっけ?

評点
 ギンガは洗濯機だけで十分。(小林)
 ヤマトが2隻に増えてテンション上がると思っているの?(飛田)


<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇