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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第18話「昏き光を越えて」 脚本:武半慎吾


あらすじ  (人類滅亡まで273日・バラン星に2日)

 ゲートを使用可能にしたヤマトはバラン星に篠原を偵察に飛ばす。一方、バラン星ではデスラーの後継を狙うゼーリックが大観艦式を挙行していた。

Aパート:亜空間ゲート、篠原の偵察
Bパート:観艦式、ヤマト殴り込み

コメント

 2199の中ではコングラにいちばん金の掛かった18話だが、こんな話でも始まって2分でGdGdにするのはある種の才能だろう。篠原が偵察に志願し、山本がその動機を尋ねるが、答えが「自分は偵察に憧れていた」、何でも昔見たカッコ良い偵察員(山本兄)の面影が目に焼き付いていたらしい。で、肝心の篠原は偵察に出たものの、ガミラス機にあっけなく撃墜されて終わる。情報を収集したのは彼ではなく戦闘機のコンピュータである。それでヤマトはバラン星に1万を超える艦隊が集結していることを知る。

 金が掛かっているだけあって、1万隻対ヤマトの艦隊戦は2199の中ではそれなりに見物だが、それでもヤマトに集中するビームは相変わらず少ないし、大艦隊と言っても数が多いだけでそんなに迫力もない。費用の問題でこれはすぐに終わるが、艦隊を集めてゲールに撃ち殺されるゼーリックはこれはいったい何をしたかったのだろう。聞けばデスラー暗殺も彼の仕業だそうだが、デスラーは潜宙艦に逃れて無事で、しかも、これまで見る所、彼には特にデスラーに歯向かう動機も理由もなかったように見える。たぶん、これもガンダム0083のようなことをやってみたかっただけなのだろう。

 筆者としてはヤマト対ガミラス1万隻の対決はこれは戦いというよりは何かカプコンのゲームでも見ているような感触だった。確かにゲームならこういう場面は爽快だろう。そう言えばガンダムAGEもゲームだった。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 亜空間ゲートの偵察飛行に出掛ける篠原。その先で大観艦式。容赦なく突撃する沖田もすでにワンパターン。ヤマト一隻にやられるガミラスの大艦隊がアホに見える悲しさ。

 コングラ費用の無駄遣い。金を掛けるべき場所は他にもある。(小林)
 倒れているか、突撃するしかない沖田が、名艦長にはとても思えず。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第18話 ヤマト絶体絶命・悪魔の選択再び」


あらすじ

 土星では波動砲艦隊の一方的な攻撃が続くが、抗し得ないことを見たズォーダーは白色彗星をワープさせ、異文明の兵器で地球艦隊を壊滅する。超々波動砲であるトランジット波動砲を準備していたヤマトは加藤の裏切りにより彗星要塞に墜落する。

Aパート:バルゼー艦隊壊滅、加藤の人生相談
Bパート:スーパー波動砲艦隊、波動砲艦隊壊滅

コメント

 独房に居た桂木がどうやって薬を作ったのか分からないが、加藤がこうなったのは前話で土方が乗組員に家族との私信を許可したことがある。それで息子翼の病状が伝えられたのみならず、ウルトラ波動砲の発射阻止を目論む桂木にも知られてしまい、今回のヤマト墜落劇に繋がることになる。もっともこの場合、墜落したらヤマトもろとも桂木も加藤も粉砕されてしまうので、「ヤマトは破壊しない」というルールになっているようである。

 それにしてもこの彗星要塞、カッコ悪いことはあるが、大きさも「SF世界一」でも狙っているのかデタラメに大きく、ウルトラ波動砲ならチョチョイのチョイだろうが(でなければヤマトを封じない)、波動砲の集中射撃を食らっても死なず、ガス体まで再構築できるとちょっと対抗し難い代物である。反撃で小林謹製の破滅ミサイルを喰らったアンドロメダは大破し、これもカッコ悪い空母アポロノームは爆沈するが数匹は山南と一緒に逃亡する。デタラメすぎて対抗する手段も見いだせないヤマト乗員に土方がトランジット波動砲は効くと根拠不明の主張で乗員を説得し、ヤマトは彗星に突入する。

 どう見ても子供受けのする作品でもあるまいに、第5章ではエンディングなどやけに子供の絵が多用され、今回のように子供のために道を踏み外す親まで描かれる。スタッフに実際に同年代の子供がいるのかもしれないが、電波は公器である。そういう私情のために作品を歪める態度を人は「親バカ」と呼ぶ。あと、多分沈んでいないが次回作では発射に失敗して彗星に墜落したヤマトは「沈んだ」ということになっており、新戦艦ギンガが登場する。どうせ子供受けを狙うならクルーはギンガの森の住人とか、艦長席にしゃべる木とかあった方がそれらしくて良いが、どうもクルーと艦長はヤマト二軍の女子会と藤堂の娘のようである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 促成栽培モヤシ艦隊の数の多さに瞠目するズォーダーだが、見ているこちらもエグザイルのように戦艦の背後からずらりと出てくる戦艦の列に失笑。コピペでいくらでも増やせるとあっては、こんな設定は製作者の怠慢としか言いようがない。バルゼー艦隊をやっつけたアンドロメダモヤシ艦隊は雁首並べて白雲上げる白色彗星に波動砲を打ち込むが、もくもくと変てこな煙が消えて現れたのが土星より大きな虫かごみたいな代物で、そのデザインの悪さにまたもや失笑。唯一気になる加藤の動向だが、案の定桂木の罠に陥り、この薬で子供の命は助かる、という甘言に乗せられ、いつの間にかゲットしたキーマンスイッチを何やらポチっと。そんなことをしたら自分も薬を提供する桂木も生きては帰れないのに、なぜそんなことをするのか理解に苦しむ。とってつけたような疑心暗鬼の葛藤エピソードは思いっきり滑りまくっているのだった。

評点
★★ 面白うてやがて悲しき波動砲。(小林)
 次々現れるヘンテコデザインとコピペ艦隊に目が回る。(飛田)


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