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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第17話「記憶の森から」 脚本:大野木寛


あらすじ  (人類滅亡まで275日・亜空間ゲートまで12日)

 ビーメラ星で得た情報には一挙に3万光年を跳躍する亜空間ゲートの情報が含まれていた。星近郊のサブゲートに接岸したヤマトでは真田がゲート再起動の任に赴く。

Aパート:ドメル裁判、新見の回想
Bパート:ゲート工作、中原中也の詩

コメント

 「我々はすでに航海日程に35日の遅れを出しています」、島の言葉だが、今まで触れもされなかった(ヤマト遅延)それよりも驚くのはドメルを裁判するヒスの言葉、「未明に総統のデウスーラが爆破、、」、どうもドメルはヤマトを追い詰めつつ、1日でガミラスに戻ってきたらしい。亜空間ゲートがあったとしても早いご帰還である。後のゲールの話と辻褄が合わないのだが、2199ではいつものことである。ゲート後にはさらに3万光年もあり、ゲールの艦隊は6万光年を踏破するのに3ヶ月掛かっているので、この計算ではドメルがガミラスに帰れるのは短くても45日後である(はずである)。

 なお、この亜空間ゲートというのは、一応ヤマト3で登場したアイテムで、シャルバート星から急行するヤマトが用いたものである。そういうわけで、一応存在しても良いものだが、さらにトンデモなのは真田が半死人のユリーシャの脳を自動航法装置に組み込んでおり、イスカンダルの場所はまだ分かっていないという一言だろうか。この間の地球開戦説といい、どうもこのスタッフはこういう底の浅いプロットを使ってサプライズという手口が常套化しているようだが、そういうのはエヴァ語り同様もう見飽きたよというのが視聴者の率直な感想である。

 もう一つ、この話のキーになっているのが中原中也の本であるが、古代兄と真田がこの今でも忘れられている古い詩人のいったい何に感動したのか、脚本で中原の名前ばかりが挙がっていて、肝心の中身について何もないので、「ああこれは言ってみたいだけなんだな」と、白けた気分になる。たぶん、艦長室の「罪と罰」と同じく、スタッフは誰も読んでいないんだろう。そんな見え透いた付け焼き刃よりも、元になった原作18話の内容をちゃんと理解してくれと言いたくなるのは筆者だけじゃないだろう。

 最後にキモいのは「私がイスカンダルのユリーシャ」と名乗る岬百合亜、「霊感体質」という紹介でキャラ欄に書かれていたが、まさか本当に霊に憑依されるとは、これをガンダムAGEではなく宇宙戦艦ヤマトとして見ていたまともな視聴者は誰も思っていなかっただろう(AGEだったら別に不思議はない)。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ビーメラ星で食糧ゲットはならなかったが、かわりに亜空間ゲートというショートカットキーのようなものを手に入れる。真田決死の工作なのに、この盛り上がらなさは異常。

 ダラダラした話で見ていて眠くなる。半ば義務で見てやった話。 (小林)
★★ 真田さんの死ぬ死ぬ詐欺に、大いに白ける。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第17話 土星沖海戦・波動砲艦隊集結せよ!」


あらすじ

 ガトランティスの侵攻が始まり、波動砲艦隊が出撃する。ギムレーが逮捕され、デスラーはミルからヤマト撃破の指令を受ける。

Aパート:芦沢の演説、ギムレー逮捕
Bパート:敵艦隊出現、波動砲祭り

コメント

 この作品を制作している小林誠は昔のモデルグラフィックスでは「ドイツ軍フェチ」のモデラーとして鳴らした男で、脚本の福井の出世作は「亡国のイージス」とミリヲタ系なのだが、どうも両人とも軍事知識が30年前の水準で止まっているらしく、ガトランティスに襲われた守備隊の発する通信は懐かしいSSB(シングル・サイド・バンド、かつて航空無線に多用され、モガモガした音声が特徴)で隊列は日清戦争、そして先の戦いではヤマトより近くにいながら11番惑星を救援しなかった守備隊が全艦波動砲装備の大艦隊を連ねて出撃する。場所が土星なのはたまたま前作ヤマト2が主戦場を土星にしていたからである。

 戦いは物量とマジックハンド宇宙艇(イーター)くらいしかないバルゼーに対し、総司令官の山南は月から数千隻の波動砲艦隊をワープさせて雨霰と波動砲を撃ち込む。次々と現れる波動砲戦艦に巨大空母のバルゼーは驚愕するが、この作品で初めて地球軍がひきょうそうに見える場面である。しかし、こんな使い方なら戦艦など作らずに、惑星や衛星に「波動砲砲台」でも作った方が効率が良くないか? なお、アポロノームの艦上に大量に載っているコスモタイガーはワープの途中で落としたのかほとんど出てこない。波動砲戦で打ち負けたバルゼーは例の自爆兵器(発射できても自分がやられる)「インフェルノ・カノーネ」で反撃するが、数で負けている上に、威力もだいぶ下回るのだからどうも勝ち目はなさそうである。

 ゲームでも映像でもパッとした兵器のない彗星帝国で唯一地球軍に通用したのは小林誠デザインのイーターという高枝切バサミに似たヘンテコな自爆艇、波動防壁を突き破って船体に突き刺さるキワモノだが合体波動砲の敵ではなく、苦戦を見たズォーダーはヤマトの桂木透子作のケータイ小説で加藤を裏切らせる。そんな小細工をしなくても、地球軍など次の彗星要塞でやっつけられるのだから、つまらん話である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 テレザード星を出て地球への帰路についたヤマト、裏切りが発覚したキーマンは独房入りとなっているが、彼が波動エンジンにふりかけた菌に真田は苦労しているようである。一方トランジット波動砲なる最終兵器の開発も進められ、最終決着に向けて絶対に負けない設定の準備に余念のない様子が伺える。一方地球では向かってくる白色彗星を迎え撃つべく促成栽培モヤシ艦隊が発進。ガトランティスのバルゼー艦隊をやっつけるが、地球からの通信で息子の余命が幾ばくもないことを知った加藤に、桂木の魔の手が伸びるのだった。
 湿っぽい加藤親子の話と、艦首を並べて波動砲を撃つだけの戦闘シーン、どことなくヤマト内部に不穏な空気があるものの、とにかくまったくワクワクしない展開で、見せ場のはずなのに見るべきもののない空虚。

評点
★★ ボードゲーム「宇宙戦艦ヤマト」の悪夢再び。(小林)
★★ ようやく本筋に戻ってきた感はある。(飛田)


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