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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第16話「未来への選択」 脚本:出渕裕


あらすじ  (人類滅亡まで287日・ビーメラ星に11日)

 主題歌が変わり、ドメルの包囲網を突破したヤマトは食料採集のため惑星ビーメラに到着する。沖田は再び倒れ、指導者のいなくなったヤマトではイズモ計画派が決起する。

Aパート:ビーメラ到着、イズモ派決起
Bパート:謎の古代遺跡、古代の逆襲

コメント

 この回から主題歌が変わるが、「戦わないヤツは許せない」とか、これを「宇宙戦艦ヤマト」と考えたら全然合っておらず軽薄なメロディと歌詞でも、これが「ガンダムAGE」だと思えば受け容れられないことはない。話の方は戦いも終わり、新見らが島を抱き込む場面で、またいつものGdGdタイムである。そもそもクーデターを起こすつもりなのに、計画とか全然説明しないので、見ていてもこれは気怠いのである。

 何で深刻な陰謀計画が触りだけでも語られているのに緊迫感がないというのは、このビーメラという場所、作品の説明だけでも地球から何万光年も離れており、新見の言うようにヤマトの航海が達成が極めて困難だとしても、選りにも選って「こんな場所」で移住計画をぶち上げるとは誰も思わないからである。地球で波動エンジンを積んだ宇宙船が建造されているとか、ヤマト級の戦艦がウン十隻あるというならともかく、ここでクーデターと言われてもちょっとという感じである。そういうわけで、イスカンダルへの航海以上に実現不可能な計画に熱を上げる新見が実に滑って見える。

 意外性のあるのは、「島が裏切った」くらいの話だろうか。その島も「日程が遅れているから」とか言っているが、前作に比べれば日数はまだ余っていた(275日)。そもそも前の話ではビーメラ立ち寄りは同じ島の「日程に余裕がある」からではなかったのか。それ以前の話でもヤマトの日程が遅延しているという話はなく、ここでいきなり言われてもこじつけとしか受け容れようがない。

 スターシャの言葉を聞いた伊東の「所詮イスカンダル人もガミラスと同じ穴の狢」という発言も変である。遊星爆弾を落とすガミラスと、ヤマトに困難な旅を求めただけのイスカンダルのどこが同じ穴の狢なのか。このスタッフはあからさまな悪意と試練の区別もつかないのかとその読解力の低さに呆れてしまう。そういうわけであるから、ラストは何の前振りもなく森雪が古代に抱きつき、これだけは元にした原作16話を踏襲しているが、本当にそれしか理由がない場面である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ビーメラ星で古代らが食糧採取する間に新見とまさかの島が反乱。いまだ机上の空論の移住計画にしがみつく新見のしつこさにびっくり。百合亜の妄想にも拍車がかかってヒドイ。

★★ 宇宙戦艦ヤマトを使った単なるコント、これならドリフの方がマシ。
   いや、こんな出来ではドリフに失礼だ。(小林)
★★ 結局ビーメラ星で食糧補給は出来なかったようだが、それは良かったのか?(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第16話 さらばテレサよ! 二人のデスラーに花束を」


あらすじ

 キーマンの仕掛けた反波動格子によりエンジン停止したヤマトはガミラスに拿捕される。一方、テレザートを掌握したデスラーはズォーダーとの交渉を企図するがキーマンに邪魔される。

Aパート:拿捕されたヤマト、鶴見の葬式
Bパート:キーマン造反、テレザート消失

コメント

 テレサの言う縁とは良く分からなかったが、要するに「成り行き任せ」というもののようである。キーマンの仕掛けた反波動格子でヤマトはエンジンを停止して拿捕されるが、後でこの格子が波動砲パワーアップの決め手になるので、彼女が言う「感じたこと」のままに行動していればいずれ彗星要塞も滅び、万事めでたしめでたしとなるようである。で、元々ギムレーらに推された総統候補でデスラーの後釜に座るはずだったキーマンはテレサの言葉でアッサリと翻意を決める。これも後になれば「その方が良かった」的な話なのだろう。しかし、ストーリーとして予定調和を予定された話はこうもつまらないものか。

 テレサは高次元生命体であるが、テレサと同じ特殊能力はガトランティス人も持っているので、すでにミル=大帝=ガイレーンと異能者の系譜が分かっていることから、キーマンを迎えて和気藹々のヤマト乗員を透視したミルは自爆寸前の錯乱状態に陥る。この透視能力は少々都合が良すぎ、ストーリーを歯切れの悪い曖昧なものにしているが、この特殊能力につき、最も冷ややかな視線を向けているのがデスラーで、ミルを亜空間に封じ込めて通信可能か試したり、テレサに適当な質問をして冷笑するなど、どうも見慣れない新たな力につき、その実体を見極めようとしている感じである。

 正直、福井の作る話なので、こういう背後を考察しても徹底しきれない恨みがある。常にバックドア(言い逃れ)の余地を残しているこの作風の場合、作品の背骨になる筋がなく、考えることにも徒労感を感じるが、割としっかりした2199の設定をベースにしたこの辺の話は次の波動砲祭りに比べればまだ考える楽しみもある。あと、5章でまたエンディングが変わるが、最後に登場するガキは何とも言えずかわいくない。たぶん小林の写真だろうが、そういうお遊びは作品を真っ当に作ってこそ、初めて行う権利のあるものである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 デスラーとキーマン、二人のガミラス星人の立場の違いが明らかになる回。ガミラス星の寿命が尽きんとする中、ガミラスを離れて長くは生きられないガミラス星人のために、可住惑星を探したかったデスラー、そしてテレサの力を借りて可住惑星を見つけようと、テレサに呼ばれたヤマトに便乗し、直前でヤマトを無力化してテレサの恩寵(?)を横取りしようとしたキーマン。そういう構図だが、もう完全にこの二人が主人公のような扱いである。肝心なこととして、テレサがヤマトの諸君を呼び出して何をしたかったのかさっぱり分からないまま話は進む。キーマンは結局テレサのいう「和」と「縁」でヤマトに残ることを選んだようだが、海中に墜落したキーマンを戦闘機で救出に向かった山本が、どうやって彼を海中から引き揚げたのか、謎である。

評点
★★★ 元2199スタッフの憤懣が良く分かる話。(小林)
 二人のデスラーの独白で話が進む。ヤマトは完全に背景化した。(飛田)


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