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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第15話「帰還限界点」 脚本:大野木寛


あらすじ  (人類滅亡まで298日・ドメル包囲網に12日)

 霊感体質の百合亜はミレーネルの攻撃を境に人格が一変する。ドメルはヤマトがビーメラ星に向かうと予想し、罠を張ってヤマトを待ち受ける。大艦隊に包囲されたヤマトは絶体絶命の危機に陥る。

Aパート:オルタリア攻撃、デスラー暗殺未遂
Bパート:ドメルの包囲攻撃

コメント

 前々話でガミラスの地球確保の切迫性は2199では否定されたので、冒頭はガミラスにとってはありふれた星、地球型惑星オルタリアの壊滅映像である。しかし、気まぐれでガミラス侵略の大義を葬ってしまったことはこれを見ている視聴者よりスタッフの方に有害だったようで、以降の話は説得力のないグダグダなものになっていく。ヤマトがビーメラに転進したことを知ったドメルは星系に罠を張るが、運の悪いことに同じ頃、ドメルの妻エリーサは反政府勢力に加担した罪で親衛隊に逮捕されるのだった。ヤマトをこんな所で撃沈させるわけにはいかないというスタッフの深謀遠慮である。そういうわけで、ヤマト撃沈寸前まで追い込んだドメルは本国からの命令で退却してしまう。

 スタッフとしては頑張ったつもりのヤマト包囲作戦だが、冥王星の時もそうだったが、あれだけの集中攻撃にしてはヤマト周辺に飛来するビームが少なすぎる。また、砲撃も乱雑に撃っている感じで、ハッキリ言って、あまり怖くない。本当にこういう映像を作るならビームなどは見ていておっかなくなるほど整然とした一斉射撃を浴びせるとか、ヤマト周辺にバンバン着弾させるとか、爆炎で艦が見えなくなるほどの砲撃であるはずである。作っている人は軍事ヲタクという話だが、こういう映像を見ると、ホント、知らないんだなとため息が出てしまう。

 力こぶを入れた軍事作戦としてもおかしいのは、ヤマト転進を知ったドメルが包囲網を張るだけで転進の理由を推測しなかったことである。また、ヤマトの方もビーメラに立ち寄らなければ乗員が全て餓死するといったほどの危機でもなかったことから、包囲を知ったら再びワープして逃げればそれで良かった。また、偵察艦が攻撃に出るということは本隊の存在あってのことなので、実はこの時点でドメル包囲網は回避可能だったのである。原作の真田だったらたぶん、そう進言しただろう。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ビーメラ星で食糧補給のつもりがドメルの大艦隊と遭遇してしまうヤマト。好戦的な本作の沖田は迷うことなく突撃し、デスラー暗殺?の虚報がなければここでお陀仏だった。

★★★ 絵としては力が入っているが、話自体は平板。(小林)
★★★ 盛り上がっただけに、このラストは残念だ。制作陣のご都合主義に、合掌。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第15話 テレサよ、デスラーのために泣け!」


あらすじ

 テレサのコスモウェーブの影響でデスラーの過去が暴露される。ヤマトはデスラー艦隊と戦闘を始め、キーマンがデスラーと対峙する。

Aパート:デスラー兄の呪縛、引き籠もるテレサ
Bパート:ヤマト対デスラー艦隊、デスラー対キーマン

コメント

 ついにテレサの下に辿り着いた古代たちだったが、待っていたのは女神ではなくデスラーだった。前作ではテレサと邂逅したヤマト乗組員は彼女から白色彗星の正体を図解入りで説明を受け、地球の脅威を防衛軍本部に報告するのだが、2202ではそうはならず、デスラーは一人語り、古代らはニードルスレイブとの戦闘に突入していく。しかし、万難を排してテレザリウムに赴いたのに、聞かされたのが宗教話では。

 デスラーの過去は元々叔父が始め、兄が引き継ぐはずだったガミラス統一を弟のアベルトが引き継ぎ、肉親や政敵を処刑して権力の座に登り詰めたというものだが、そういう人物にしてはアベルトは性格が遁世的で柔弱にすぎ、とてもそういう大事業を達成できる人物に見えないことがある。先の戦いでデスラー(アベルト)を失った旧デスラー派は同じ血族のキーマン(ランハルト)を次期総統の座に就けようとしていたが、アベルト生存で事情が変わることになる。

 全般的に2199テイストの強い話で、間奏曲も同じものが用いられ、ここは4章までのDVDの売れ行き不振と酷評を見た元2199スタッフが加勢して助言した感じである。14年前の演説のシーンで登壇したデスラーの周囲に侍っているのは3名ほどの氏名不詳を除けば左からドメル、ヒス、ギムレー、ディッツ、タラン兄弟、ゼーリックと2199の面子が顔を揃えている(ドメルとタラン兄弟はディッツの部下で閣僚級でない)。内妻のセレステラは忘れられたのかここにはおらず、直後のカットでマティウス妻を拘束しているのは2199では穏健派のはずの高官ディッツと弟タランである。三年も経つと作った人間も誰がどの立場だったか忘れてしまうらしい。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 テレサに呼ばれてきた古代と真田だが、ひとしきり説教が終わったそのとき現れたデスラーに話の筋を持っていかれ、本筋がどこにあったかさっぱり分からなくなる。デスラーがなぜ生きていたのか、など何の説明もないまま、28年前、22年前…と断片的なデスラーの過去が語られて、それはそれで興味深いが、おかげで古代ら本来の主人公が置き去りになり、結局一番のターニングポイントになるべき話が「デスラー」一色で終わってしまった。
 古代ら救出のため、陽動を行いながらキーマンの戦闘機を発進させるヤマトだが、それもこれも、断片的な場面の切り貼りだけで説明がなく、すべて視聴者が推測するほかない。読解力が求められるが、読み解いたとてさしたる筋書きもないため、見ていて疲れるだけである。

評点
★★★ デスラー裏話は面白いが、やっぱり方向性を見失った話。(小林)
★★ デスラーの過去話はそれなりに引き込まれる。(飛田)


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