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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第14話「魔女はささやく」 脚本:村井さだゆき


あらすじ  (人類滅亡まで310日・潜宙艦攻撃から7日)

 偵察から帰還した古代と雪はヤマト艦内で怪現象を目撃する。一方、バラン星に到着したセレステラは異能者ミレーネルを使い、独自の作戦でヤマト拿捕を試みる。

Aパート:セレステラ到着、漂流するヤマト
Bパート:ガミラス幻魔攻撃、ミレーネルの最期

コメント

 まず冒頭に登場するセレステラとミレーネルだが、声だけ聞くとセレステラはともかくミレーネルの声はなんとも言えず「ババ臭い」、演技も硬く、いくら一話のみでやられる一発キャラとはいえ、もう少し適切な声優を起用してくれと言いたくなる。実はセレステラよりも本職のベテランなのだが、作中設定ではミレーネルはセレステラより年下の設定である。声だけ聞いているとまるでミレーネルの方が姉みたいに聞こえる。

 話自体はヤマト原作ではなく、松本零士のスピンオフ漫画「サイレンの魔女」のオマージュだと分かるが、前話のメルダの話ではガミラスには映画という文化はないはずであった。しかし、森雪のバックに「3、2、1」と映画的秒読みが使われていたり、場所がシネコンだったり、前回否定された映画的手法が存分に使われているところを見ると、ホントにこの連中、考えて作ってないんだなと呆れる思いがする。

 幻覚に掛けられた乗員の中に沖田はいなかったが、元々の松本零士の作品はむしろ沖田が過去に戦死させた守ほか宇宙戦士の亡霊に苦しめられる話であった。なお、2199ヤマト名物となった古代進の「ユキー!」はこの話が初見である。あと、この話は映画版では森雪の股間のラインを強調するなどやらしい映像が目に余ったので、テレビ放送されたこの話では全般的に輝度が調整され、どの場面も映像が暗すぎる明るすぎる、絵として非常に見にくいものになっている。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 超能力を持つ異星人ミレーネルの幻惑で薄気味悪い古代の回想(?)を見せられる。記憶のない雪は罠に陥らず、波動エンジンを再始動させる大活躍。オカルト趣味の話に幻滅。

★★ ある程度見れる話だが、百合亜が邪魔なので減点して★2つ。(小林)
★★ ヤマトらしくない気持ち悪さが後を引くので−1点。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第14話 ザバイバル猛攻・テレサを発見せよ」


あらすじ

 ゴーランド艦隊を屠ったヤマトは岩盤を抜け、テレザート上空に飛来する。戦いはモビルスーツ戦に移り、ザバイバルを倒した斉藤と古代らの前にテレサが姿を現す。

Aパート:テレザート上陸作戦、衛星砲の攻撃議
Bパート:ザバイバルの最期、テレサ出現

コメント

 例によって小林誠の前任デザイナーいじめ第二弾、前回はゼルグードだったが、今度はメダルーザが戦車に改造されてモビルスーツの餌食となる。コスモゼロは波動掘削弾の運搬機、コスモタイガーはモビルスーツ輸送機と小林メカ以外はロクな使われようをしていない。モビルスーツの活躍で地上戦車は掃討され、残りは斉藤モビルスーツの投げた山塊に踏み潰されて全滅する。ザバイバルはガミラス譲りの反射衛星砲で反撃するが、キーマンにより衛星砲は誤動作して自滅する。とにかく、オリキャラ、オリメカしか活躍しない話である。良く見ると機甲甲冑の頭部は永野護のエルガイムマーク2に似ている。気の毒なほどオリジナリティのない人っているんだなあとため息をつく。たぶん機甲甲冑も生樗ヘ義か加藤直之のパクリだろう。

 蓮の花から現れたテレサの下りはこの作品の変さ加減がてんこ盛りの場面である。真田が熱弁を振るい、「生きながら「天国」に行ったテレザート人」と言い出した時にはコイツほんとに科学者かと思え、また、テレサが「はるか遠い昔に(たった380年前だ)」、アケーリアス人が自ら撒いた種の安全装置としてガトランティスを創造したという下りは中学生あたりが考えそうな中二加減といえ、とても2018年の作品とは思えないものである。あと、縁(えにし)についてなにか難しい話をしているがどうにもインチキ臭く抹香臭い。というより、この場面はほとんど仏教マンガである。そしてなぜかデスラーがやってくる。

 なお、テレサが関心を持った大和とは、元は奈良県天理市の新泉町あたりを指し、元の意味は「山に囲まれた処(と)」という意味である。後に奈良県全域や倭(ヤマト)国(日本全体)を指すようになったが、この倭国とは冊封体制の中国では「従順で矮小な遠い国」という蔑称であった。この呼び名を嫌った聖徳太子らが倭を大和と書くようになり、後の大和国につながったという歴史がある。強いて言うなら同じ太子の十七条憲法に具体的な用例があるが(第一条)、この憲法自体、当時の漢籍の雑多な寄せ集めで、これと言って深遠な意味のないものである。大和(ヤマト)は「大いなる和」と強引にこじつけ、大霊界に収斂するのはたぶんに福井の半可通のでっち上げだろう。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ゴーランドの次はガトランティスの猛将ザバイバルの出番である。なぜか将軍なのに部下の姿が見えないが、どうもガトランティスは将軍といえどもボッチが基本のようである。降下したヤマトのモビルスーツ隊はザバイバルの大戦車隊と対戦するが、しょせんボッチのAI戦隊なので、あっという間にモビルスーツに蹂躙され、ボッチ将軍ザバイバルは斎藤との一騎打ちに追い込まれる。
 流れるように派手な戦闘シーンが繰り広げられるが、それに先立つ作戦説明もなく、敵はメカばかりで戦う兵士の姿もなく、人物画を描く予算が足りなかったのかと邪推してしまう。
 そうして普通に見ていても2倍速ぐらいの速さで戦闘が終わると、いよいよテレサとの面談になるが、ここで突然作風が宗教アニメに変わり、創価学会か何かの宣伝アニメを見ているような気分になる。蓮の花から現れた金色のテレサは古代や真田に向かって「和」だの「縁」だの抹香臭い話をはじめ、そんなことならもっと丁寧に戦闘シーンを描けよと恨めしくなった。毎回びっくり箱方式で驚かす仕掛けで盛り上げる本作だが、ここではデスラーの登場がその仕掛けである。そろそろびっくりするのにも飽きてきた。

評点
 何を見ているのか分からなくなってきた。(小林)
 大物キャラの説法合戦に飽きてきた。(飛田)


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