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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第13話「異次元の狼」 脚本:森田繁


あらすじ  (人類滅亡まで317日・潜宙艦攻撃に1日)

 潜宙艦UXー01に襲われたヤマトは小惑星帯に逃げ込む、沖田が倒れ、真田の指揮するヤマトで新見と古代は各々作戦を提案する。

Aパート:ドメル赴任、潜伏するヤマト
Bパート:古代出撃、潜宙艦対ヤマト

コメント

 例によって乗らないダイジェスト話パート5、今回は15話と17話のチャンポンに加え、どこかの潜水艦映画である。潜伏して待つこと4時間、沖田の手術が続く間、新見はエンジンの動力を転用した亜空間ソナーの計画を提案。これに対し、ヤマトの位置が露見することを恐れた古代はシーガルによる対潜作戦を提案する。新見とのやり取りは自称ヲタクの軍事知識の底の浅さが分かる話だが、もう一つ、スタッフが宇宙戦艦ヤマトのコンテクストの一つを読み取っていないことが明らかになる。

 原作や実写版でこういう場合、率先してクルーをまとめ、敵に立ち向かったのは古代であった。だからこそ沖田は古代を艦長代理に指名したのであり、実写版では木村拓哉が起用されたのである。木村はリーダーシップに富み、スタンドプレーではなく、監督の意に沿い、スタッフ全体を盛り上げて引っ張っていくことのできる役者だった。真田や新見にはなくて、沖田や古代、木村拓哉が持っているもの、それはカリスマという資質であり、これある故に木村拓哉と古代進は年齢も見てくれも人柄もだいぶ違うが、木村は古代になり得たのである。設定を大幅に変えた実写版のスタッフは多くを変えつつも、宇宙戦艦ヤマトの物語で変えてはいけないものを良く分かっていた。

 潜水艦映画として苦言すれば、所詮パクリのためヤマト・ガミラス双方に緊張感が欠け、一歩間違ったら撃沈されるといったムードに欠けることがある。こういう映画として見るならば、この作品はB級かそれ以下だろう。それに全編に登場するフラーケンが2199キャラにしてはやけにカッコ良く、全編彼のプロモーションムービーみたいな話である。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 新見と対立して独断専行する古代が、らしさを取り戻した感あり。異次元で活動できる潜宙艦があったのなら、ガミラスは異次元断層で救援してもらえば良かったのに…。

★★ フラーケンと潜宙艦ズ(含むハイニ)のプロモーション以外の話はグダグダ、全然なってない。(小林)
★★★ 敵キャラがイキイキしていたのと、古代ががんばっていたので+1点。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第13話 テレザート上陸作戦・敵ミサイル艦隊を叩け!」


あらすじ

 後継者の育成のため、ゴーランドはノルを砂竜惑星に誘う、一方、ヤマトはテレザート上陸作戦を敢行する。

Aパート:ゴーランド砂竜狩り、ヤマト作戦会議
Bパート:テレザート上陸作戦、ゴーランドの最期

コメント

 いまいち頼りない後継者ノルをゴーランドは砂竜惑星での砂竜狩りに誘う、砂竜の親を射殺してピーピー鳴く子竜をノルに始末するように促すゴーランドだが、感情過多のノルは涙ながらに引き金を引く。ゴーランドの言によれは彼は19代目で、ノルが成人すれば20代目となるらしい。一代20年として19代で380年、案外浅いガトランティスの歴史である。一方ヤマトでは空間騎兵隊のモビルスーツがコスモタイガーの牽引する上陸艇に乗り込んでいた。

 ガトランティスにより全球を岩盤で覆われたテレザート星に上陸すべく、古代はヤマトとモビルスーツを惑星の前面を覆う岩塊の背後にワープさせ、しかる後に岩塊を波動砲で吹き飛ばす戦術を立案する。が、背後を襲われたゴーランドは破滅ミサイルを岩盤に撃ち込み、古代はゴーランド艦を波動砲の照準に捉える。それにしてもあのコスモタイガーがモビルスーツ運搬機とは。モビルスーツ無双の戦いの合間にパイロットの鶴見が被弾して戦死する。そして岩盤が崩壊する中、モビルスーツに支えられたヤマトは波動砲をゴーランド艦隊に向けて放つ。

 そもそも障害物があるのにワープできるのかとか、ワープ直後に波動砲を撃てるのかといった(ヤマトシリーズなら当然の)疑問があるが、この脚本と副監督は作品を物していながら視聴者と対話する気がないので、制作者以外に意味不明な独りよがりな展開はまだまだ続く。作戦は作戦になっていないし、設定は設定になっていないことがこの作品を視聴していていちばんフラストレーションの溜まるところである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ガトランティスの将軍ゴーランドが登場。この星の慣例にしたがってクローン子息を育成中である。感情はないというガトランティス人だがクローン子息は感傷的で、親の愛を渇望する様子が見てとれる。一方ヤマトはいつの間にかテレザード星に到達し、蓋つき茶碗のような形状のその星へ突入するための作戦会議を行っている。蓋状の岩盤の内側にワープして岩盤を波動砲で撃ち、向こう側のゴーランド艦隊をやっつけるという作戦だが、いまだに波動砲で「人」を撃つのを躊躇する古代という構図を引きずっているようだ。その古代の逡巡がまったく視聴者の共感を得るものでないだけに、イライラが募る。
 驚くべきことにこのヤマトにはモビルスーツが搭載されていることが明らかになる。なぜかここで斎藤や永倉とともに山本までがモビルスーツで発進し、そのあまりの無様なコントラストに話がすべてすっ飛んでしまった。
 盾にするつもりだった蓋状岩盤はゴーランドの先読みで爆破されてしまったが、おかげで障壁がなくなりヤマトは波動砲でゴーランド艦隊をきれいに片付ける。最後にゴーランドがクローン子息に見せた親の情けが無理に涙を誘おうとする作者の「甘さ」に見えてならなかった。

評点
 映像は派手だがそれ以外はメチャクチャ。(小林)
 ヤマトにモビルスーツが似合わなすぎる。(飛田)


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