宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー
■第12話「その果てにあるもの」 脚本:出渕裕
■あらすじ (人類滅亡まで318日・異次元断層脱出から7日)
メルダによる地球先制攻撃説は古代と島の間に亀裂を生んだ。一方、総統デスラーは名将ドメルを召喚し、ヤマト討伐の任を命じる。
Aパート:ドメル叙勲式、古代と島の対立
Bパート:森雪のヌード、潜宙艦登場
■コメント
ヤマト討伐のためにドメルが召喚されるのは原作通りだが、その背景はずいぶん異なっている。2199のドメルは辺境でヤマトより遙かに強そうなガトランティス帝国と戦っており、それをわざわざ呼び戻して地球の田舎戦艦ヤマトを討伐させる理由が薄弱である。原作の場合は、ヤマト撃滅には移住先地球を巡るガミラスの命運を賭けた事情があった。総統デスラーは二度に渡り自ら立案した作戦でヤマトを葬ることに失敗しており、シュルツも戦死したことからガミラス軍の切り札といえるこの将軍を召喚したのである。
が、2199のデスラーはヤマトには一度挑んだだけで、次元断層の戦いではドメルより劣るゲールの指揮でさえヤマトは遁走を余儀なくされている。シュルツの戦死は元より彼にはヤマトに対抗できる艦隊戦力が与えられていなかったし、さらに言うならメルダの言う通りガミラスは大帝国で、地球との戦いは別に帝国の死命を制するものではないことがある。そもそもドメルを用いるなら、彼は田舎戦艦など相手にさせずに、堂々と艦隊で進撃してヤマトの母星地球を制圧すれば良かったではないかとなる。
ヤマト側は古代に思いを寄せる山本に対する森雪の陰険さがクローズアップされている。思わせぶりな言葉でチクチクとライバル排除に勤しみ、その間に妖艶なポーズで古代を誘う彼女こそは「魔女」とか「悪女」という言葉が似合いそうな感じだが、ヒロインをこんな風に「ヤな女」に変えてしまったことが、この物語の作劇にどれほどのダメージがあったのか、作っている人間はどうも分かっていないようである。 (レビュー:小林昭人)
カオルのひとこと
原作のドメルは、小賢しいゲールへの容赦ないパワハラが痛快だった。本作のドメルはまともな人そうで味気ないが、なんか、いろいろデスラーに不満ありげで興味深い。
★★ ガミラスの内情に尺を割いた点は評価するものの、全般的にGdGdな話。(小林)
★★★ デスラーの周囲に不穏な動き? 展開に期待して+1点。(飛田)
|