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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第8話「星に願いを」 脚本:村井さだゆき


あらすじ  (人類滅亡まで343日・グリーゼ581で12日)

 冥王星を脱出したシュルツはデスラーから最後のチャンスを与えられる。グリーゼ581に達したヤマトは恒星の荷電粒子に捕らえられ、ガス生命体に追われて恒星に向かう。

Aパート:ガミラス建国千年祭、沖田発病
Bパート:恒星に向かうヤマト、シュルツの最期

コメント

 例によってやる気のない前作ダイジェストパート3、今度は11話と12話のダイジェストである。宇宙機雷を手で取り除く話はやりたくないんだなと分かる。どこまでも頭でっかちでオタクなスタッフである。冒頭はガミラス帝国の建国千年記念祭、しかし、大国家の大祝賀祭の割には会同している市民の数もごく少なく、見せ場はデスラーの演説だけとどこまでも地味な祝賀祭である。こういうのこそ前話の乗りで一晩中花火を打ち上げるとか、征服した諸民族の食材で彩った屋台の群れを出すとか、ヒルデなんぞはデスラー演説で騒ぐより、ガミラスカバブの屋台で串焼きを売っている方がよっぽどらしかった。で、地味な祝宴祭が終わり(たぶんお祭り自体嫌いなんだろう)、座興としてヤマト撃滅作戦が開陳される。前作の「夕食後の座興」よりも後に引けない出し方で、これからデスラーはガミラス国民全員の面前で大恥を掻くことになる。

 酔漢がピッで処刑されるのは前作11話だが、後はお定まりのイベントが散漫とやる気なく続く。比較的話の構造がしっかりしていた前作では、この2話は総統デスラーの残虐性と嗜虐性の話だった。ヤマトの敵とはこういう連中というコンセプトが明快だった話だが、祝賀祭の直後にイズモ計画の話を持ち出す話は相変わらずGdGdである。始まって5分でもう眠くなり、10分で気が遠くなる。とにかくガスに追われ、ヤマトは恒星に突撃する。波動砲で突破するのも前作通りだが、合間にシュルツが戦死する。デスラーは作戦の失敗を認め、戦死したシュルツらに2階級特進と1等ガミラス人の栄誉を与える。

 前作で恒星に突入したヤマトに佐渡が「艦長を殺す気か」と叫んだ台詞に説得力があるのは、前のカットで沖田が宇宙放射線病を隠していたことがきちんと描かれていたからである。恒星突入の際に島が徳川に状況を説明するのは、やはりその前で徳川と怒鳴り合いの喧嘩をしたからである。そして古代は最初のミサイル迎撃失敗で艦長の判断力に疑問を持っていたものの、ガス生命体の始末に病にあっても判断力の確かな沖田に信頼を深めるのである。このように前後できちんと流れがあったものをバラバラにしてしまっては、話としてもこれはまとまらない。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 へなっとしたデスラーが、ガス生命体作戦をヤマトに破られて、全国民の前で大恥をかく話。悪の独裁者を、こんな目に遭わせていいのか〜?!

 2話も忙しくまとめて、スタッフはいったい何をやりたいのか。(小林)
 2199のヤマトは随分強いらしく、あまりピンチらしいピンチもない。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第8話 惑星シュトラバーゼの罠!」


あらすじ

 11番惑星を離れたヤマトはキーマンの提案で惑星シュトラバーゼに向かう。惑星でヤマトはガミラス反乱勢力に遭遇し、アケーリアスの遺跡でズォーダーに憑依されたレドラウズ教授が古代を追い詰める。

Aパート:雪との再会、くだを巻く古代
Bパート:惑星シュトラバーゼ、反デスラー派の攻撃

コメント

 冒頭で損傷した艦を修理しないガトランティス乗員の様子に真田らは戸惑う。元がマクロスなので連中は小2程度の知能で修理という文化を持っていないのだという真田に納得する古代。去りゆくヤマトを見送りつつ(去るまでに10分以上かかったが)、プカプカ浮かぶ大戦艦でメーザーは不合理な感情に囚われる。収容した民間人は200人程度だが、ガミラス艦隊への引き渡しにヤマトは太陽系外の惑星シュトラバーゼに向かう。惑星で会合したキーマン派がキーマンに反波動格子(機動戦士ガンダムのミノフスキー粒子のようなもの)を渡し、どうも腹に一物あるらしいことが明かされる。

 取ってつけたようにガミラスの反デスラー派がヤマトを攻撃するが、何か偏向混じりのパヨクのおっさんとその艦隊が古い出渕裕デザインのゼルグード戦艦に乗って突撃してくるさまは例によって陰湿な小林誠の前任デザイナーいじめだが、肝心の古代はレドラウズに誘い出されて桂木に殴られるとダメ指揮官ぶりを露呈している。気がついた古代にレドラウズに憑依したズォーダーが「愛を知る者」と紀州のドンファンが銀座のママさんを口説くような口調で自己紹介を始める。しかし、この場面は本当に必要か? やるなら定番通りヤマトのビデオパネルでやれば良いだろう。

 雪の立ち位置は良く分からない。密航して古代に見咎められた後、許されてクルーの一員に加わったはずだが、次のカットでは避難民を引率してそのままガミラス艦に乗り組んでいることから、どうもそのまま送り返されたようだが、経緯から彼女がこの措置に納得するのも変だし、それで納得するくらいなら最初から密航などしないだろうといえる。理由は次の話でヒロインのスカイダイビング(ガンダムUC)を福井がやりたかったからで、そうとしか説明できない辻褄の合わなさである。どうも福井という人は場面をツギハギすればストーリーになると本気で思っているらしい。バカに付ける薬がないとはこのことを言うのだろう。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 密航してきたユキが古代と再会する場面は原作では印象深いところだが、そもそも2202の古代はユキがいない第一艦橋に何の違和感も感じておらず、したがって、見ている側にもユキのいない欠乏感が認識されてこなかった。そこで再会のドラマを中途半端に見せられても、正直何の感慨も湧いてこない。かように一つひとつのエピソードが唐突に表れてくるだけで、全体としての大きな物語の流れがないところに問題がある。
 11番惑星で助けた避難民がこれからの航海の足かせになるとようやく気付き、またもやキーマンの提案でシュ何とかいう惑星でガミラス艦に移乗させることになる。前作ではヤマトを導いていたのは宇宙の危機を伝えるテレサだったが、本作では怪しさたっぷりのキーマンで、宇宙のロマンどころかきな臭さしか感じないのが残念でならない。どうもメガネ教授と共にいてしれっとヤマトに乗って来る女も胡散臭いが、こういう輩の陰謀めいた話で底の浅い話を深く見せようとしているのが鼻につく。

評点
 とにかく内容の薄い話。(小林)
 見ているうちに、どんどんと感情が「無」になっていく。(飛田)


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