宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー
■第7話「太陽圏に別れを告げて」 脚本:大野木寛
■あらすじ (人類滅亡まで355日・冥王星から6日)
太陽系の外縁ヘリオポーズに近づいたヤマトは地球への最後の交信と赤道祭を行う。家族を失った古代は同じく孤児の山本と談笑し、沖田は徳川と酒を酌み交わす。
Aパート:ヘリオポーズ到達、藤堂との交信
Bパート:赤道祭、乗員の交信
■コメント
地球との交信で冥王星基地の撃破が地球市民を安堵させたことを知った艦長沖田は新見の進言で地球との最後の交信と士気高揚のための赤道祭を企画する。この辺からして少し違うのだが、様子を見るとどうも交信は沖田の発案ではなく、イズモ計画に関わる新見が交信にかこつけて地球の上官芦沢に指示を仰ぐというのが動機のようである。「要らぬ里心などついては」と新見案に苦言を呈する保安部長伊東の言葉もあり、本来は別にやる必要のなかったイベントのようである。
地球は配給が滞りヤミ市が立っているというのに、ビールにご馳走の赤道祭に仮装して浮かれ騒ぐ乗員も変なら、合間に家族と交信する会話の内容も変である。放射能が地下に浸透し、友だちがバタバタ倒れているというのに(前作)プレステで遊んでいる島の弟も変なら、ヤミ物資に手を出した長男を叱る徳川もこの状況でこれは的な変さ加減がある。そして、ヤマトを建造した南部重工業大公社(どうもこの時代の日本は中国に併呑されたらしい)の御曹司南部の会話も、そもそもヤマトを建造した会社のVIPにしては跡継ぎ以外何の関心もないなど、どこまでも無責任でステロタイプの会話が続くので見ていてダレてしまう。
聞けば「ガミラスの攻撃で家族を全員失ったのは沖田や古代だけじゃない」という理由で、故郷を破壊されたもっと悲惨な山本を登場させたと思うのだが、そういう後付けの理屈こそはこの作品に要らない最たるものである。それにこの話で欠けているものはもう一つある。原作ではアルファ星のコロナ溶解炉まで続いた総統デスラーの高笑い、懸命な沖田以下ヤマト乗員の労苦をあざ笑うこれなしではこのエピソードはそもそも締まらない。そういうわけで、2199ヤマトに欠けているこの部分は筆者が補うこととしたい。
(第7話、新見がメガネを光らせた後に追加)
ボヨヨ〜ン <映るガミラス星>
デスラー 「フッフッフ、ヤマトめ、とうとう銀河にしゃしゃり出てきたな。宇宙の広さとそれを統べる大ガミラスの偉大さに縮み上がる姿が目に浮かぶようだ。ウワーッハッハッハ!」
これがなければヤマトではないのである。 (レビュー:小林昭人)
カオルのひとこと
地球と通信する理由が士気高揚のためではなく、新見の陰謀通信のためだったとは…。滅亡の危機に瀕する人類をよそに、仮装パーティーで酔いつぶれるバカどもが許せん!
★ 元の話をちゃんと見たのかと疑いたくなるひどい出来栄え。(小林)
★ 原作の、あの感動を返せ〜!(飛田)
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