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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第6話「冥王の落日」 脚本:森田繁


あらすじ  (人類滅亡まで361日・冥王星攻略戦2日目)

 シュルツの攻撃で海に沈んだヤマト、しかし、コスモゼロで冥王星上空に侵入したヤマト航空隊の山本は隠された敵基地に近づきつつあった。

Aパート:沈没しているヤマト、山本の基地捜索
Bパート:基地発見撃破、シュルツ逃走

コメント

 本来ならかなり面白い話をここまで面白くなくできるのはもはやある種の才能なのかもしれない。まず、冒頭のヤマト沈没シーン、前話で一度やったものをもう一度クドクドと再現する必要性はなく、前作はもっと簡潔だった。シュルツによる戦勝報告は前作では前の話だったが、前話は前話で山本の転属話などに尺を使っているのでこちらに移っている。が、この報告もゲールにより中間報告が握りつぶされていたために、報告を受けるデスラーも白け顔である。そもそもこの設定のためにデスラーがヤマトの名を知るのはこれが最初で、セレステラらの説明台詞がうざ長い。とにかく、2199では定番の初めから5分のGdGdタイムである。補修のシーンとかあるが、これも百合亜など女子キャラを見せたいだけだし、沈没寸前なのに太陽系を出られるかとぼやく藪も、これはこの場所で言う台詞じゃないだろとツッコミを入れたくなる。

 なお、反射衛星砲の原理は前作では3回ビーム攻撃を喰らって沖田などには分かっており、説明場面も特になかったが、今作では新見による説明が加わっている。視聴者には既知の内容なのだから、そんな説明は要らないし、それでも尺が余ったのか、山本が鼻歌を歌ったり、加藤が経を唱える場面まである。しかし、これはそんなに余裕のある話だろうか。とにかく戦闘機隊による小戦闘の後、山本が基地を発見し、三式弾を撃ち込んだヤマトにより基地は崩壊する。シュルツは旗艦で逃走し、司令官の盾になったヤレトラーはヤマトの主砲で爆死する。こうして、地球に遊星爆弾の脅威はなくなったのだった。

 基地攻略を三式弾と航空隊による攻撃にしたのは、原作による特殊工作班による爆破をやりたくなかったためと思われるが、矛盾を潰すと新たな矛盾というヲタクの方程式はここでも生きており、こんな攻撃ならヤマトを使うまでもなく残存地球艦隊でできたのだった。戦闘機は地球でも調達できるし、母艦になる艦も多少は残っていた。そもそも艦載機を使わないで戦った冥王星会戦の戦法が間違いだったわけで、こんな基地の攻略こそはヤマトはイスカンダルに先行させ、地球軍でやるべき話だったのである。原作の防衛軍ではほとんど全滅していて無理だが、メ号作戦を成功させた防衛軍にはそれくらいの余裕はありそうだったことによる。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 航空隊なんかいらない、砲撃でやっつけられると主張する南部くん、見た目は爽やかさんになったけど、性格悪いよ…。結局山本の大活躍と主砲一発で一件落着。死闘はどこへ?

★★ 前作にあった駆け引きがなく退屈。どんな話でもGdGdにできるスタッフの才能に脱帽。戦闘シーンは多少は評価。(小林)
★★ 昔とくらべて、戦い方も随分スマートになったものだ。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第6話 死闘・第11番惑星」


あらすじ

 ガトランティスに襲われた11番惑星はテレザート同様殺戮の荒野となる。脱出した長倉により基地の危機を知ったヤマトは惑星の救援に向かう。が、それはヤマトを誘い出す大帝ズォーダーの罠であった。

Aパート:破壊された11番惑星、永倉の脱出
Bパート:11番惑星救援作戦、合体ビーム攻撃

コメント

 11番惑星の戦いは前作では防衛軍によるヤマト免罪の理由となった戦いだが、2202ではヤマトはすでに免罪されているので、防衛軍は惑星は他の艦隊に任せてヤマトはテレザートに向かうよう指図する。が、防衛軍の有言不実行に対する不信と山本の進言で古代は独断で惑星の救援を決める。より近い艦隊として後に登場する土星のエンケラドゥス守備隊(戦艦含む100隻ほど)があったが、この話ではほぼ無視されている。先の反逆といい、こうも命令違反が頻発しては防衛軍の組織は瓦解寸前だろう。

 2199の時から感じていることだが、戦艦ヤマトの大きさは元の戦艦大和が全長263メートル、6万9千トンの戦艦で決まっていることがあり、宇宙戦艦の方もそれほど大きくできない制約がある。が、旧作でもヤマト3以降はメカのインフレ化が著しく、作中では「大型戦艦」であるヤマトもガミラスやガトランティスの標準艦と比べると中型艦程度の大きさで、この辺意識していたパート1のガミラス艦がおしなべてヤマトより一回りから二回りほど小さな艦であったことを考えると、新作なら大きさの方も戦艦らしく見直した方が良かったとなる。実写版は全長500メートルの艦とし、それなりの威容を誇ったが、これは尺が短すぎた。

 作戦会議の場面で、永倉からの情報として十数隻の侵攻艦隊の映像が開陳されたが、見たところ軽艦艇ばかりで、この程度の艦隊ならヤマトが「戦艦」であれば一隻で蹂躙できたはずである。ワープも波動砲も旧作では軽々に用いることのできる装置ではなかったが、その辺のコンセンサスがきちんと取れていないので、視聴者も「戦術」や「作戦」を意識することができず、実際の映像はニードルスレイブを初めとする小林オリメカが所狭しと活躍する何だか分からないものになっている。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 たしか3話のラストで爆撃を受けていた11番惑星が、ようやく日の目を見る話。霊界通信で飛び立つヤマトも、そんなヤマトを阻止しようとするアンドロメダも、同胞の危機にはまるで気づかなかったようである。ガトランティスの攻撃を受けて壊滅した11番惑星に駐留していた空間騎兵隊の女性隊員が、救いを求めて脱出しヤマトを連れて戻ってくる。そこで避難民がヤマトに乗り込み...と話は続くが、これからはるかテレザード星を目指そうというこのときに、避難民どころではないだろう。それこそ時間断層でモヤシのように促成栽培されている艦艇を呼びつければいいのではないか。もっともガンダムといいマクロスといい、避難民を乗せての逃避行がつきものだったことを思うと、そういう話をやるために仕込んだ設定だな、とうんざりさせられる。
 どうでもいいことだが、土方と面談する博士の書類にちらっと見えたのがQRコード。そんな技術が200年先もまだ生き延びているのだろうか?

評点
 救援に行くならさっさと行こう(小林)
 早くも何のためにヤマトが旅立ったのか忘れかけている(飛田)


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