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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第5話「死角なき罠」 脚本:出渕裕


あらすじ  (人類滅亡まで362日・冥王星攻略戦1日目)

 遊星爆弾を発射し続ける冥王星基地を叩くことを決めたヤマトは冥王星に向かう。冥王星では司令官シュルツが遊星爆弾製造装置を転用した強力ビーム砲「反射衛星砲」で待ち受けていた。

Aパート:衛星砲登場、ヤマト作戦会議
Bパート:反射衛星砲の攻撃、ヤマト沈没

コメント

 前話でバラン星のゲール司令官から叱責を受けたシュルツはヤマト撃破のために遊星爆弾を製造していた装置「反射衛星砲」を兵器に転用することを思いつくが、なんで優勢なガミラス艦隊や超大型ミサイルが手元にありながら、わざわざ爆弾製造機を兵器に改造しなければいけないのか分からない。その優勢な艦隊はつい4話前まで地球軍相手には圧倒的な威力を誇っていた部隊であり、超大型ミサイルはヤマトより大きいにも関わらず移動する戦艦ヤマトを追尾でき、主砲でやっとのことで撃破した兵器なのだから、別に衛星砲を使わなくてもこの時点ではガミラス有利である。

 そして、再度冥王星の攻略を決めた沖田の作戦コードは「メ2号作戦」、いい加減、この作戦内容バレバレな一見オタク風、しかし中身はザル(軍事作戦っぽくない)の言い回しはやめてくれと思うが、とにかく第1話での地球艦隊惨敗の復讐戦にヤマトは冥王星に向かう。そもそも、「2号作戦」など立案するまでもなく、メ号作戦はサーシャの宇宙船シェヘラザードを誘導した時点で(多大の犠牲にも関わらず)「成功」していたはずである。成功した作戦を今さらなぜ蒸し返す必要があるのだろうか。蒸し返す必要があるということは、やはりカプセル回収に関わらず、地球軍内部の認識では「作戦は失敗」ということであり、成功を吹聴した沖田らは古代らに嘘を言っていたということになる。そうなると、その尻馬に乗って浮かれ騒いでいた森雪がますますバカに見える。

 それともう一つ、この話は冥王星基地攻略という前作の中でも盛り上がるイベントのはずである。それがシュルツの話の後は始まって5分で主計科の山本が航空隊に転属するかったるい話で、それが前半5分から11分目まで続くので、前作の戦艦大和のエピソードよりも長い、こんな話を延々と続けられてもうんざりするするだけである。それで、肝心の攻略戦は5分足らずで終わってしまうのだから、これは構成も悪い。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 反射衛星砲は、もともと遊星爆弾の発射装置だったそうだが、なぜ反射衛星砲を浴びせると、ヤマトは爆発するのに遊星爆弾はピューっと地球に飛んでいくのだろうか?

 面白い話をGdGdにできるのはスタッフのある種の才能か?(小林)
 おかしな変更で、シュルツの巧妙な作戦が台無しに。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第5話 激突!ヤマト対アンドロメダ」


あらすじ

 地球を発進したヤマトは山南のアンドロメダとその艦隊の追撃を受ける。

Aパート:コスモタイガー隊脱走、病身の加藤親子
Bパート:キーマン乗艦、ヤマト対アンドロメダ

コメント

 ヤマト脱走話の前半は演習中のアンドロメダ隊から脱走する山本と篠原の空戦アクションシーンと病気の息子を抱えた加藤一家の湿った話でほぼ占められる。前作が地球を離脱したヤマトに加藤率いる航空隊が颯爽と来援したノリの良い話であったことを考えると少々かったるい話である。追撃隊に追い詰められた山本らを飛来したキーマンのガミラスファイターが救う。沖田の遺影についていけないとこぼした山南はアンドロメダ単艦でヤマトを追う。

 古代らを育てた厳格な教師という印象だった前作の土方から少しトボけた山南がアンドロメダ艦長になったことはそれはそれで味があるが、褒められるのは声優の演技だけで、前作がここはヤマト以上のハイテク艦である同艦の強大さを存分に描いていたことを見れば、「重力子スプレッド」など小技はあるが、数段見劣りすることは否めない。それにあのアンドロメダ、最新式の主砲を何十発も撃ち込んでもヤマトのアステロイドリングや波動防壁を貫けないあたり、先に大戦艦に通用しなかったこともあり、あまりすごそうに見えないこともある。ヤマト2の花形戦艦をヘタレ艦にしたスタッフの罪は重い。

 前作ではすれ違ったヤマトに土方は独断で追撃を中止したが、2199の下っ端艦長山南にはその胆力はなく、防衛軍長官の命令で地球艦隊は追撃を中止する。中止命令の背後には時間断層の秘密がこれ以上漏れることを恐れたガミラス大使の進言があった。なお、前回被爆した11番惑星のその後はこの話では全くフォローされていない。本来ならヤマトもアンドロメダも救援に赴くべきはこの星だろう。そして状況があらかた片付いた所で月から増加燃料タンクを背負った加藤が飛来する。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 ヤマトの花形、コスモタイガー隊隊長の加藤は不治の病に侵された息子を抱え、もう一人のスター山本は女性になって、まったく華がなくなった。颯爽と彼らが反乱戦艦ヤマトに加わる話に湿ったテイストは似合わない。一方、戦闘衛星を撃ち落とされて激高した参謀の芹沢はアンドロメダにヤマト追撃を命じる。しかし、さすがに10倍早送りの促成栽培戦艦では、旧式とはいえ頑強なヤマトに歯が立たなかった様子である。沖田の子供たち、と言いつつヤマトを見送る山南艦長はそれなりに渋く見えるが、それに釣り合わないことがばれてしまったアンドロメダであった。
 それはそうと、コスモタイガー隊を助けてしれっとヤマトに乗り込むガミラス人のキーマン。名前からして見え見えな存在感で、これから先もいろいろと降りかかる困難を解決してくれる(作者にとって)便利なキャラになりそうである。

評点
★★ 山南以外に良い所がない(小林)
 おいしいところは、みんなガミラス人が持っていく構図か(飛田)


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