宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー
■第4話「氷原の墓標」 脚本:大野木寛
■あらすじ (人類滅亡まで363日・エンケラドゥスで1日)
ワープと波動砲に成功し、土星付近を航行するヤマトは土星付近から発信されている防衛軍の救難信号を受信する。折しも波動砲の影響でエンジンが壊れ、補修物資であるコスモナイトの採掘と遭難船の救援のため、ヤマトは土星の衛星エンケラドゥスに向かう。
Aパート:ヤマト作戦会議、エンジン故障
Bパート:ガミロイド襲撃、ゆきかぜ発見
■コメント
前作はシンプルな話だったが、混乱した話である。まず、冥王星攻略の是非を議論する古代と島、太陽系脱出の最短航路とは正反対となるために攻略に反対する島だが、会議中に受信した船の救援には賛成する。古代は島と反対の意見だが、なんとも言えず子供っぽい。エンジンが壊れなければ小田原評定のまま、そのまま土星を通過しそうな勢いのヤマトだったが、コスモナイト採掘のためにエンケラドゥスに向かう。なぜこんな複雑な話にしたかというと、コスモナイト採掘場の位置は情報長の新見によって明らかだったからである。そして、採掘は真田に、救援は古代と雪が出動するが、シーガルでの2人の会話はやたら刺々しい。そして、2人はゆきかぜ墜落現場に到着する。
衛星を原作タイタンではなくエンケラドゥスに変更したのは、その後の天文学の発展により、タイタンが前作ヤマトで描かれたような環境でないことが分かっていたためだが、この話にはそんなことよりもっと深刻な話がある。主人公とヒロインというのは視聴者に対してはいわゆる目で、視聴者は彼らの視点を通して登場人物に感情移入したり、感動したりするのだが、この2199はキャラの性格を変えすぎているのである。キツい言葉で話し、性格も悪い2199の森雪では原作6話のこの話をガイドするには役者不足、いや、不適格といえるだろう。古代が兄の姿を求めて叫んでいる間、この雪は「あ、空に雪が」と、主人公から視線を逸らしているのであるから。前作6話のテイストの一つが狂乱する古代を心配しつつ、不安げに見守る雪の視線であったことを考えると、この変更は非常にまずいものである。2199の雪には家族の記憶もなければ、原作にはあった母性も包容力もないのであるから。
冒頭の作戦会議の場面でも、制作陣は「古代と島の性格を入れ替えた」と得意満面のようだが、キャラクターの性格というのはこういうリメイク作品では非常に重要な構成要素である。それに無配慮な制作姿勢を見ていると、「ああ、この人たちはヤマトが動いているのが見れれば良いという程度の人たちなんだな」と、ため息ばかりが漏れてしまう。冒頭のゲールがシュルツらを2等ガミラス人とイジメ抜く場面も、ハッキリ言って要らない場面の最たるものである。原作ではヤマトワープの報告を受けたのは総統デスラーだったのだから。 (レビュー:小林昭人)
カオルのひとこと
墓標に「24名の〜」と刻むからには、遺体を数えたんだろうな? だったら守の遺体がないことに気付いてもおかしくないのに…。え? 数えもせずに死んだことにしちゃったの?
★ 話は5分でグダグダ、感情の機微を描く素質の欠如、どれを取っても悪い。(小林)
★ おかしな変更で原作の古代の慟哭が台無しに。(飛田)
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