宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー
■第3話「木星圏脱出」 脚本:出渕裕
■あらすじ (人類滅亡まで364日・木星まで1日)
宇宙に出たヤマトは火星に向かい、人類初のワープテストを行う。木星の引力に捕らえられ、引きずり込まれたヤマトの目前にはガミラスの運び込んだ巨大な浮遊大陸があった。
Aパート:新見の説明、ワープ
Bパート:ガミラス艦隊との戦い、波動砲
■コメント
2199の乗らないダイジェスト編パート2、今度は4話と5話である。前作では月から火星だったワープテストが火星初に変更されたのは、ワープ直前に火星に花束を投げる森雪の姿を見せたかったからである。2199では森雪はイスカンダル人(かも知れない)という設定であり、この思わせぶりな行動のために番組の丸々4分の1が消費される。
島 「救えるんだろうか、あの地球を。」
古代 「救うんだ、絶対に救うんだ! パレードで見送ってくれた人々の叫びをお前は忘れたのか!」
と、いうのは前作で超大型ミサイルを撃破し、離れていく地球を遠望したクルーの会話であるが、この場面も沖田が土方に敬礼して離れていく場面だけとなっている。彼らの見る地球は赤く焼けただれ、海は干上がり、遊星爆弾によるクレーターが随所に空く惨憺たる姿なのだが、2199の世界では不毛の火星もテラフォーミングできるようなので、このくらいの被害では何でもないのだろう。だったら波動エンジンはヤマトなんかに積まずに発電機に使えば、後は科学者の手で地球は再生でき、かったるい作話ももっと効率よく進んだかもしれない。
ただ、2199の科学者のレベルは前作では曲がりなりにも説明していたワープ理論の説明を「人為的ワームホール」とごまかす程度のレベルである。波動エンジンを過負荷で廻しただけでなんでワームホールがヤマト前方にできるのか、結局、この話では説明されなかった。
ヤマトは波動砲を撃ち、浮遊大陸を宇宙の塵にして冥王星に向かう。この大陸もガミラスが持ち込んだものなので壊しても良心の呵責はなく、波動砲の基礎原理は地球人が考えたものだ。そういうものなので、大量破壊兵器を使ったことによる何の悔恨も後悔もなく、話はこれで終わってしまう。これは単に作られたメカが設計通りに作動し、予期された性能を発揮しただけである。もちろん、そんな話を見せられても面白くもなんともない。しかし、ワープと波動砲という本来なら各々1話丸々掛けて説明してもおかしくないイベントを圧縮して時間を稼いで、この制作陣は「ヤマト」でいったい何をやりたいのだろう? (レビュー:小林昭人)
カオルのひとこと
あっという間にワープと波動砲発射。こんなにあっけない話だったっけ? 浮遊大陸はガミラスが人工物なのか〜。じゃあ別に波動砲でぶっ壊したって良心は傷まないよね〜、という話だった。
★★ ヤマトの二大イベントをぞんざいに扱うスタッフに怒りが。(小林)
★★ それにしても、新見という女性キャラのせいで、真田さんの影が薄いような…。(飛田)
|