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 宇宙戦艦ヤマト2199(2013)各話レビュー →宇宙戦艦ヤマト2022レビュー

 第1話「イスカンダルの使者」 脚本:出渕裕


あらすじ  (人類滅亡まで???日)

 西暦2199年、地球は大宇宙からの侵略者ガミラス星人との戦いに敗れつつあった。しかし、冥王星で壊滅した最後の地球艦隊は囮として起死回生の策「アマノイワトヒラク」に成功しつつあった。命令を受け、火星に待機していた古代と島は飛来してきた異星宇宙船の飛行士サーシャからメッセージカプセルを回収する。

Aパート:冥王星会戦、古代守の最期
Bパート:古代地球に帰還、ガミラス偵察機との戦い

コメント

 40年前のアニメSFの名作「宇宙戦艦ヤマト」のリメイク、その第一話ということで冒頭からの美麗な戦闘シーン、新しく描き起こされ、40年前よりも遙かに精密に表現されているメカには技術の進歩を感じるが、早くも引いてしまうのはAパートのおよそ半分を使って歌を歌いながら突撃する古代守の場面だろう。降伏勧告に「バカめ」と返信した沖田にニヤリと笑って頷くクルーも違うと感じさせる。とにかく、この作品は第一話にして話全体に隔靴掻痒、スッキリしない感が漂うのである。

 話がモヤモヤしている理由は多岐に渡るが、一つは沖田が我々には「あれ」を防ぐことができない、と、台詞に指示代名詞が多用されていること。遊星爆弾の副次的被害といえる「ガミラス植物」の増殖にしても、構成の問題で説明が森雪の台詞一つで済まされ、重要な問題を軽く流してしまうこと。そして、同じ雪の説明で地球軍はある程度の期間はガミラスの攻撃を防ぎ切り、「火星沖では勝利を収めた」とあるが、冒頭からガミラス艦にビームを弾かれているような地球艦隊がどうやって勝ったのか、全く説明がないために状況が分からないことなどがある。それに、メッセージを持参してきたサーシャの服装もあまりにもケバく下品で特に下半身の線がやらしすぎる。その姿態を下から映すカメラアングルもいやらしい。ヤマトはこんな作品じゃない。

 音楽にしても、新曲も含め筆者は曲数が少ないと感じる。2199でリバイバルされた宮川泰の曲は作品で用いられた全てではなく、それらは作品における状況に適合的なものだったが、2199の宮川彬良の曲ではその一部しか表現できない感じである。これでは視聴者の心を揺さぶる幅のあるドラマはできないだろう。

 もっとも、筆者がこういう疑問を感じてしまうのは、筆者がこの作品を偉大な前作、アニメ史の金字塔「宇宙戦艦ヤマト」とついつい比べてしまうからかもしれない。その後に2199支持者による、ある意味罵倒、誹謗、人格否定とも言える品のないコメントを受けてみて考えると、やはり筆者は間違いを犯していたと気づいた。

 要するにレベルが違うのである。筆者がファンやスタッフに正当な指摘をしても分かってもらえるはずがない。「宇宙戦艦ヤマト2199」は前作ヤマトと比較するような作品ではなく、その作話のレベルと言い、ファンの質といい、これは前の作品ではなく、実は、このレビューの上に置いてある別の作品「機動戦士ガンダムAGE」あたりと比較した方が良かったような作品だったのである。
(レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 歌いながら特攻して行く古代守と「ゆきかぜ」にドン引き。そもそも、これが陽動作戦とは。あらかじめイスカンダルと連絡とってたってこと? それだけで、悲壮感が半減する。

評点
★★ これがあの宇宙戦艦ヤマト? 全然違うじゃない(笑)。(小林)
★★★ 絵がきれいなので、+1点。(飛田)


関連レビュー
「宇宙戦艦ヤマト2202第1話 甦れ宇宙戦艦ヤマト」


あらすじ

 西暦2202年、復興成った地球はガミラスの同盟国としてガミラシア宙域でガトランティスと交戦していた。ガトランティスの大帝ズォーダーはテレザート星を蹂躙し、戦いでは新戦艦アンドロメダが来援し、拡散波動砲で敵軍を一掃する。

Aパート:テレザート壊滅、ガミラシア宙域の死闘
Bパート:アンドロメダ登場、沖田の亡霊

コメント

 2007年に福井晴敏氏がガンダムUCを企画した際、彼はうず高く積み重なった設定を整理して隙間を見つけたと言い(その作業自体福井のそれではない)、コソコソ泥棒猫のように「俺にもやれそうだな」と参画の正当性を説明していたが、10年後の2202では元となる作品はすでにあり、前の2199という作品もあったことから、これは隙間どころか本編そのもので、2199同様、2202は「リメイク」で30年前の作品を上書きするものであるが、今回も「俺にもやれそう」と脚本を担当している。

 が、できあがった作品を見るに、UCにしろ2199にしろ、要は何らかの方法で作品の執筆権を得た福井が原作へのリスペクトも何もなく、自分勝手に「俺作品」を開陳しただけのものであり、当時の説明にもあった「大人の事情」とは視聴者を煙に巻く、まなじりを決したファンの鋭い斬り込みを逃れるだけの方便でしかないことが分かっている。そしてこの詭弁とはぐらかし、視聴者(主権者)に対する不誠実な態度は2018年当時の腐敗した自民党政権の答弁にも通じるものがある。そして脚本の福井と副監督の小林は私生活でも水害で被災地を肴に酒宴に嵩じる堕落した権力の片棒担ぎのような自尊心に欠ける言動と行動が目立つ。(小林ツイッター

 と、最初から非難轟々だが、実は期待していたのである。2199はあまりにもひどかった。前作のテイストはほぼ無視、中途半端なミリヲタに見る影もなくヘタれた敵味方、水着大会の女子キャラ乱舞に辟易していたこちらとしては、続く作品はこの作品を「ほぼ無視」して欲しかったし、できそうな雰囲気もあった。なにせこの2199と来たら、地球が滅亡しかかり、荒れた星に置き去りにされた地球市民は塗炭の苦しみを舐めているというのに、それを横にヤマトビールで仮装大会に興じる乗員の姿を描いていた上に、ビーメラー星ではその市民を見捨て、ヤマトのみで人類生存を図ろうとした反乱分子をさも正当性があるかのように描くのだから、この感受性の欠如はこれは彼らを雇った人間と彼らそのものの姿だったのだろう。

 第1話について述べると、当レビューでは最初の話では作品解説をしないが、冒頭のガミラシア戦の時点で匙を投げたというのが本当である。視聴者は別に戦艦ヤマトの世界で現在の日米同盟に似た世界観や国際問題を提示してもらいたいのではない。40年前の作品の世界観に則って必要な部分はアップデートし、無理のある部分については現代に通用する、機知に富んだ解釈を求めたのであり、「地球とガミラスの同盟」という、前作2199に照らしても無理のある話は制作者が状況をトレースするばかりで自ら考える頭を持たないこと、縁故絡みのエゴを自分に都合の良い解釈でゴリ押しすることがせいぜいで、物事を理解できるほどの高度な知性を持たないことを如実に示している。 (レビュー:小林昭人)

カオルのひとこと

 私の知っていた「ヤマト」の世界では、リメイクの2199も含めて地球の戦艦=ヤマト一隻というのが基本だったが、いきなり大艦隊が対峙するナゾの展開に面食らう。しかも一方が宇宙征服をたくらむガトランティスであるのはわかるとして、もう一方がガミラスで、古代の言葉によれば地球の「同盟国」というので思考が停止してしまった。
 撤退する敵艦隊にアンドロメダの拡散波動砲を浴びせてやっつけたかと思えば、敵の大戦艦が地球に落下していくのを古代の「ゆきかぜ」が食い止めるという展開、「銀河英雄伝説」や「逆襲のシャア」など過去の別作品に出てきた場面のツギハギというのがいかにも福井氏らしいが、いきなりクライマックスのような盛り上がりにまったくついていけず。そもそもほとんど主人公をはじめとする人間はただメカを動かしているだけみたいな話で、「ヤマト」で連想されるドラマを期待するのははじめから諦めた方がよさげである。

評点
 失笑しかないオープニング、ヤマトでなければ次週で打ち切りだろう(小林)。
 状況説明が何もされないまま話が始まる。作者の自己満足か?(飛田)


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