■機動戦士ZガンダムDefine 第11話
ストーリー
ライラの死を悼むジェリドは、カクリコンから、次の作戦の指揮はエマ中尉が執ることと、彼女がティターンズに入隊した特異な状況について知らされる。エマは白旗を掲げてアーガマに交渉に赴き、バスクの親書をブレックスに手渡すが、それはカミーユの両親を殺すという脅迫だった。
レビュー
テレビ版では3話、5話で展開されたカミーユ両親の人質事件。こちらでは、さすがにこれはなくなったかな?と思ったら今になってようやく出てきました。バスクから届いた脅迫状には「カミーユ・ビダンと共に2機のガンダムMk-IIを返さない場合には、カミーユの両親を殺す」とあります。テレビ版ではここでカプセルに入れられているのは母親だけでしたが、北爪版では父母が一緒に入れられています。原作では父は一旦ティターンズを裏切ってカミーユとともにエウーゴに合流し、そこでリックディアスを盗み出してティターンズに戻ろうとしてカミーユに殺されましたが、そこのところはカットして両親一度に始末しちゃうんでしょうか。どちらにしても、不快な話であることに違いはありません。
しかも、エウーゴによるガンダム強奪直後の話なら、人質を取って交渉という方法もわからなくもないが(そもそも、ティターンズが自らの部隊の技術者を人質に取ることがおかしい、カミーユ両親を殺されたって、エウーゴ側は痛くもかゆくもないではないか)、すでに、ボスニア隊も交えて交戦しているのです。ここでこの作戦はないでしょう。
この人質事件の構図がそもそもおかしいことに作者が気付いたからかどうなのか、バスクの脅迫状にはさりげなく、ガンダム2機を「カミーユとともに」返せという文言が付け加えられている。しかしですね、この脅迫、エウーゴにとっては脅迫でもなんでもないですよね。両親を見殺しにさえすれば、ガンダム2機とカミーユはもらっておいても良いわけですから。良心の呵責に耐えさえすればいいわけですよ。脅されているのは、実はエウーゴじゃなくてカミーユ個人だったんですね。この場合、カミーユがエウーゴ内部で、ティターンズの脅しを真剣に取り合って両親を助けてくれ、と交渉しなきゃ成り立たない。
リメイクするなら、いい加減このお話しのトンデモ具合に気付いてくれよ、と思うのですが、こういうおかしな展開のオカシサ具合にも気付かない作者に、一体何を期待すれば良いのでしょうか。
ちなみに、ここでカクリコンにより、エマが上からのご指名でティターンズに入隊したことがバラされるが、今更どうでも良いことではあります。バスクは彼女の乗機にも爆弾を仕掛けており、10分経っても戻らない場合は起爆タイマーをオンにして、敵モビルスーツを奪えというのがカクリコンに与えられた任務。ここでも特別推薦のエマを犠牲にしてロートルのカクリコンを残すとか、ガンダムを犠牲にして敵モビルスーツを奪うとか、バスクはつくづく損得勘定の出来ないバカだと思えてしまいます。これのどこが、ティターンズにとって有利な作戦なのでしょうか。エウーゴにしてみれば、エマを引き止めておけば敵ガンダムは爆破処分され、カミーユ両親を見殺しにすればガンダム2機とカミーユをそのまま置いておけることになる。ソンするのは、ティターンズばかりではないですか。これでバスクを策士呼ばわりしているブルックスが哀れでなりません。
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