機動戦士ZガンダムDefine 第1話

   テレビ版「Zガンダム」のレビューをはじめようかと思ったところ、角川書店から発刊されている「ガンダムエース」というマンガ雑誌で、新たに「Zガンダム」のコミカライズ作品の連載がスタートしたと聞き、「これは取り上げた方がいいかな?」と思い、創刊10周年にして初めて、このオタクな雑誌を購入しました。
 実は私がホームページ作成を始めたのは今から11年前、サイトのテーマはずばり「ガンダム評論」でした。本サイトには、その評論の一部を今も掲載していますが、ここにきてちょっとした原点回帰というところでしょうか。「ガンダムって(一部マニア)では今も人気があるよね」と良く知らない人は思っているのかもしれませんが、実はそうではなくて私の感じでは2005年前後を境に衰退の一途をたどっております。どんな作品でも一部マニアの人気に支えられてはいるのですが、そのマニアの分母が減って来た。私のようなオールドファンは離れていき、小学生や10代の若い層の獲得には至っていない、というのが私の現状分析です。なんでか? だって、面白くないんだもの。

 2006年に肝いりで連載がスタートした「機動戦士ガンダムUC」。雑誌こそ買わなかったものの、単行本は5巻までは買いました。作家の福井晴敏氏を起用して、ということだったので私も一応期待したけど、いやー、面白くなくて読むのが苦痛でしたね。だって、なんだか20年前、30年前と、物語のパターンとかテーマとかが、まったく変わっていないんだもの。同じテーマ、同じパターンを、キャラやメカを変えて延々と繰り返しているだけ? 読みながら「もうええわ」と思いました。面白くない理由については、本サイト「An another tale of Z」特集の中でも語っていますので、興味のある方は下記をどうぞ。

ファーストガンダムは、続編のために何を残したか?    
SF小説”An another tale of Z”小林昭人さんインタビュー

 さて、前置きが長くなりましたが、そんな中での「原点回帰」。どうやら上記のようなことには、制作者サイドもきっと薄々感づいているんでしょう。だから、新作よりもリメイク、なのですよ。ファーストガンダムをリメイクした「ジ・オリジン」の連載が終わるので、「次」ということになったのでしょう。Zガンダムを描くのは、テレビ版で作画監督を務めた北爪宏幸氏。インタビューによれば、「シャアをメインに、シャアの気持ちの変化を描く」のだそうです。うむ。そんなに変化があったかな? Zではジャブロー降下作戦で連邦軍本部を制圧するはずが大失敗。ダカール演説では「実は赤い彗星で、ジオン・ダイクンの息子なのだ!」と捨て身のネタバレ作戦を決行するも民衆の支持は得られず。積もる失敗と恥と恨みを晴らそうと、「逆襲のシャア」で隕石落としたるー! …ってなったんじゃなかったんでしょうか。
 まあいいや。さっそく第一話を読んでみました。ちょうど先にテレビ版の第一話も見たところだったので、比較もしやすい。

ストーリー

 エウーゴのクワトロ・バジーナはアポリー、ロベルトとともにティターンズが開発したという新型ガンダムを奪取すべく、スペースコロニー「グリーンノア」を偵察している。その頃、グリーンノアに住む高校生カミーユ・ビダンは、憧れのブライト・ノア「大佐」にサインをもらうため宇宙港へ行く。ちょうどそこにティターンズの面々が現れて、ジェリドがブライトはただの定期便の艦長だから、オレが代わりにサインしてやろう、と茶々を入れる。怒ったカミーユがジェリドを殴り警察沙汰に。取り調べで警官から叱責されるが、両親が軍に勤めている関係で身元がはっきりしたため釈放に。そのとき、新型ガンダムで訓練飛行中のジェリドが操縦ミスで建物上に墜落、カミーユはそのモビルスーツを見て「ガンダムMk-II?」と叫んだ。コロニーに侵入したクワトロもガンダムを発見し目を輝かせる。

レビュー

 で、感想は。「うすーい」。
 複雑な話をわかりやすく、という目的は十分に果たしているとは思うのですが、実は「Zガンダム」第一話って、ストーリー展開自体は遅くて内容は薄い話なんですよ。でも「こってり」しているように感じるのは、現在の状況や主人公の心境を、説明的な表現でなく彼の態度や言動によって視聴者に「感じさせ」「考えさせよう」としているからなんですよ。そんな脚本を書いたのは、斧谷稔。富野監督の別名ですね。

「ZガンダムDefine」は、そういうふうにしてカミーユのワケのわからない言動に注目させることはやめて、すっきり明快に説明してくれています。まるで「答えあわせ」をしているような感じです。うん、わかりやすい! でも、第一話ってそれでいいのだろうか? 
 私が「Zガンダム」第一話で最も衝撃を受けた場面があっさりなかったことになっています(「怖いんです、怒鳴る人は」とおびえた次の瞬間、警官を飛び蹴りり。吉本新喜劇ですか?)。シャアをメインに、ということで、ものすごくアクの強い暴力少年の主人公、カミーユの個性はかなり控えめになり、その言動にはちゃんと筋が通る説明がつけられているんですね。それはそれとして、彼が「いらない子」になっていかないかと心配でもあります。まあ、確かに「いらない子」なんだけれども。

 もう一つ感じたのは、この作品は読み手が既存作品や前作のファーストガンダムを知っている前提で描かれていることです。もちろん、続編だからある程度それはゆるされるとは思うのですが、「何を」「どう」知っているか、について、描き手は再確認し、自分の解釈はこうなんだ、ということを表現していかなきゃいけません。読者が「知っている」ことを前提にその解釈と表現を「手抜き」しては、単なるマニア向けの二次創作、新しい読者を獲得できる作品にはなり得ないと思います。それがなければ「答え合わせ」以上のものは生まれてこないんじゃないでしょうか。

 最後につっこみたいところは、シャアって主人公にして良いキャラなのか? ということです。なぜって、彼は「苦悩しない」人なんですよ。そのことについては、別に考察しようと思うので、今日はこのへんで!

ZガンダムDefineのブログ記事
http://ameblo.jp/addicto/entry-10904286651.html 
→もっともだと私も思います!とにかくZはつまらない話!

http://d.hatena.ne.jp/ganota/20110622/1308742390
→へー、そこなのか?とガノタの目のつけどころがわかります!

http://plus-alpha-space.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/20118-d40e.html
→テレビ版よりも濃い、と感じられる私とは違った感性をお持ちです!
ぶっちゃけ、ブログ記事は少ないです。盛り上がってなさがひしひしと伝わります。

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