レビュー
レンタルDVDに入っていた予告編を観て、つい「面白そう!」と思って借りてしまった。これまでの経験から言うと、予告編の面白い映画は、つまらない。でも予告編が面白いと、ついそんな経験則を忘れてしまう。困ったものだ。本作を観て、そのことを思い出した。その意味では、観た意味も多少はあったかもしれない。
本作は、もともとはNHKの30分枠の歴史教養番組で、さまざまな時代にタイムワープして歴史の裏側に迫る「時空ジャーナリスト」が、過去の人々の生活を記録するというもの。そんな時空ジャーナリストが、あの日本史上最大の謎(?)ともいうべき「本能寺の変」直後にタイムワープするという。タイトルからして、誰が安土城に火を放ったか、という犯人探しだろうと思うと、そうは言ってもやっぱり歴史好きとしては期待してしまうではないか。
ところが、やっぱり元がたかだか30分の番組だけに、間が持たないのである。1分そこそこの予告編でちょうどいいぐらいの内容しかなく、肝心の「本能寺の変」は終わったあとだし、タイムスクープハンターは歴史が改変されてしまわないように、行方がわならなくなった幻の茶器を追って右往左往するだけ、たまたまやってきた安土城で、誰だかよくわからない下々の侍の乱闘に付き合ううちに、あ、安土城が燃えてる!みたいな話で終わってしまった。しかも主役のタイムスクープハンター、沢嶋の相棒のヒカリが邪魔ばかりするという、非常にイラつく展開。そういう出来のよくない話なので、そもそもそんな未来の服装そのままで戦国時代にやってきて、そのままの格好でウロウロしているなんておかしいだろう、といらぬ突っ込みを始めてしまい、少しも話に集中できなかった。もっとも、集中しようとしても結局うたた寝してしまっただろうが。
しかも、安土城の場面がどう観ても現代の安土城「跡」なのだ。これでは、安土城焼失前にタイプワープしているように少しも見えない。安土城には3、4回は行ったことがあるからなおさらだ。せめて豪華絢爛な天守閣内部を、とも思ったが、安いセットで済ませてしまったようだ。
借りてきたDVDだから良かったが、これを劇場で観ていたら・・・と思うとぞっとする。元の番組は「市井の名もなき人々の生活を記録する」のがテーマらしいが、映画では「安土城最後の1日」と銘打っているのだから、本能寺の変から安土城焼失までの動乱を、逃げずにしっかり描いてもらいたかった。0点という設定がないので仕方なく、★1つで。
評点 ★
映画レビュー|劇場版タイムスクープハンター 安土城最後の1日http://www.muddy-walkers.com/MOVIE/tsh.html
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