レビュー 何となく「2」がありそうな終わり方だった。この話でどういう展開をしていくのか?が気になって、「2」を見てみたが、う〜む。「2」の難しさというものを、つくづく実感させられた作品となった。ギャグの一つひとつはそれなりに面白いが、やはり前作があるだけに「また同じパターンかよ」となってしまうのである。
ハドリアヌス帝から、「こんなテルマエ」と課題のついたテルマエづくりを命じられ、何のアイデアもなく悩むうちに溺れて現代日本へタイムスリップ、というのが基本パターン。「2」になったらさらにパワーアップしなければ、と感じたのだろう、それを、タイムスリップの回数で上回ろうとしたのだから始末が悪い。見ているこっちは、古代ローマと現代日本を都合よく行ったり来たりで疲れる上に食傷気味になる。しかも、困ったことに主人公のルシウスにとって、都合の悪いことは何一つ起こらない、というお約束つき。困ったことは、全部平たい顔族がヒントをくれて、解決してくれるというのが、この作品の構造になっているのだ。
さすがに「2」になると、根っこにあるものが見えてくる。これに似たものがネットにある。いわゆる「海外の反応」というやつだ。日本にはこんなものがある、これは素晴らしい〜! と、海外からの賞賛ばかりをあつめたものだが、本作は、突き詰めるとそういうものではないだろうか。古代ローマ人(=欧米人)が日本の銭湯や温泉に驚く様を見て、優越感に浸る。それがこの映画の醍醐味なのだ。(しかし、こういう優越感というのは、劣等感の裏返しである)
だから、平たい顔族と呼ばれる日本人が古代ローマに行っても、彼らはまったく驚くことがない。相手の文化・文明に対する尊敬の念というものが感じられないし、また、温泉などその土地の風土や環境と切り離せないものをそのままマネさせようというところには、自国の文化に対してさえ実は理解も興味もないのだと思わされた。
で、今回も結局ルシウスは日本で見た風呂をパクるだけなのだが、ケイオニウス問題がまだ解決していないので、多分「3」もあるのだろう。こういう「日本万歳」映画の需要が実は結構ある、ということが、ちょっとコワイ。
評点 ★★
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