MUDDY WALKERS 

テルマエ・ロマエ 

テルマエ・ロマエ 2012年 日本 108分

監督武内英樹
脚本武藤将吾
原作ヤマザキマリ
「テルマエ・ロマエ」

出演
阿部寛/上戸彩/北村一輝
宍戸開/笹野高史 ほか

スト−リ−

 古代ローマ、アイデアが行き詰まり失業した浴場設計技師のルシウス(阿部寛)は、友人に誘われた公衆浴場でタイムスリップしてしまう。たどり着いた場所 は、何と日本の銭湯。そこには「平たい顔族=日本人」がいて、彼は漫画家志望の真実(上戸彩)と出会う。ルシウスは日本の風呂の文化に感銘を受け、そこで浮かんだアイデアを古代ローマに持ち帰り一躍有名になっていくが……。

レビュー

 古代ローマ、ハドリアヌス帝の時代。テルマエと呼ばれる公衆浴場の設計者、ルシウスは斬新な公衆浴場のアイデアを求めつつ、騒がしいテルマエで静寂を求めて浴槽の中に潜る。すると浴槽の割れ目の穴に吸い込まれてしまい…たどり着いた先は、現代日本の銭湯だった!

 古代ローマ人が現代日本の銭湯や風呂文化に驚愕するさま、知らない人から見た日本の風呂のある種キッチュな面白さに加えて、古代ローマ人を、顔の濃い日 本人俳優が演じるというバカバカしさが相乗効果となって、前半は爆笑できる。ルシウスを演じる阿部寛の熱演もすばらしい。それと、イタリアにある映画村み たいなセットで撮影されたという古代ローマの都市の風景や、古代ローマ風呂のセットも本格的でまったく違和感がないだけに、なおさら笑える。コメディー映画として、前半は最高の出来。

 残念なのは、お話が進むにしたがって、その笑いのボルテージが保てない、ちょっとシリアスなお話になっていくことだ。平たい顔族の上戸彩演じる真実との 絡みはいいが、彼女をはじめ、彼女の父や湯治客はローマに行ってはいけなかったと思う。シリアス展開にするならば、出来ればルシアスが現代日本の経験をもとに、自分自身のアイデアで独自のテルマエを造ってみてほしかったなー。

 湯治客の竹内力は、実はルシアスより先に古代ローマからワープして温泉に居着いてしまったローマ人、かと思ったが、そうでもなかった。ハドリアヌス帝の市村正親はさすがの貫禄。

評点 ★★★

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