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体脂肪計タニタの社員食堂 

体脂肪計タニタの社員食堂 2013年 日本 100分

監督李闘士男
脚本田中大佑

原作タニタ
「体脂肪計タニタの社員食堂
〜500kcalのまんぷく定食〜」

出演
優香/浜野謙太/草刈正雄
檀蜜

スト−リ−

 健康機器メーカーのタニタは世界初の体脂肪計を開発したものの、売り上げは芳しくなかった。モニターからは「社員がみんな太っている」などの声があり、社長の谷田(草刈正雄)は激怒する。しかし病に倒れてしまい、息子で肥満体型の幸之助(浜野謙太)に新商品発表会のプランを一任する。彼は社員自らダイエットに挑戦し、その経過を発表するプロジェクトを提案。高校時代の同級生で栄養士の春野奈々子(優香)を社員食堂の責任者として招聘する。

レビュー

 ベストセラーは、映画化される運命にある。本作も、そんな運命によって生まれた映画である。原作本は売り上げ累計488万部を突破。押しも押されもせぬミリオンセラーであるからして、映画化されても不思議ではないとはいえる。これがレシピ本でなければ・・・。

 はかることを通じて健康づくりに寄与する、という経営理念を実践する場としてタニタに社員食堂が開設されていることは事実だが、本作のストーリーはフィクションである。「おいしくて、お腹いっぱい食べて、自然にやせられる」がウリのレシピ本のコンセプトを生かし、ダイエットを新商品のキャンペーンのために行う、そのために社長の息子である優柔不断で肥満体の主人公と、主人公と同じく体脂肪率が40%を超える男女をまじえた3名が、自然にダイエットできるような社食の献立を考える、というのがストーリーの核となる。

 そうした設定がうまく出来ているだけに、なかなか面白く、ちょっと笑えて、ちょっと泣かせる話にはなっているが、やはり、ベストセラーに便乗してノリで作った感のある映画だけに、ドラマの奥行き不足が否めない。主人公の幸之助をはじめ、ダイエットに挑戦する体脂肪率40%超えの3人、そして過去には肥満だったという栄養士の奈々子には、それぞれに「食べることに走る」理由があることが伺えるのだが、いつから、どんなことをきっかけに、どのようなときに「食べる」ことに走るようになり、それが心の安らぎをもたらすものとなっていったか、そういった、内面を掘り下げるところまでもう少し突っ込んでもらえると、単なるノリを超えた作品になったのではないか、と思う。その意味では、素材を生かしきれないやや残念な出来、といえるだろう。献立のカロリーは抑えるのはいいけれど、ドラマのエッセンスを削っては、映画は面白くならないのだ。どうせなら、とことん「なぜ太ってしまうのか」に向き合ったドラマづくりに挑んでほしかった。

 あと、せっかくの体脂肪計がほとんど登場せず、機能の説明もなかったのももったいない。とはいえ、この映画を見て、昔買った体脂肪計(オムロン製)を押し入れから引っ張りだしてきて、また体脂肪チェックを始めたのだから、この映画はそれなりの役割を果たした、といえるかもしれない。

評点 ★★★

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