レビュー
「オレオレ詐欺」やら「振り込め詐欺」やら、人を騙す金を取る犯罪が蔓延している昨今ですが、いけませんね〜。あれは。すぐにバレるようなウソで、人を騙すのは下っ端のすることです!などと言いたくなってしまうんです、この映画を観ると。
華麗なる大物詐欺師、ゴンドーフと若手のフッカーが、シカゴの街の大物、ロネガンに大規模な詐欺を仕掛るというお話。まずは列車の中で行われている紳士のポーカーで、イカサマ自慢のロネガンの鼻を折ってやると、「有線」と呼ばれる大規模な競馬を使った詐欺で、大金を騙し取る計画を立てる。ところがそこに、フッカーに偽札をつかまされた汚職刑事が割って入って、事態は意外な方向へ…。
ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードは大物ときかん気の強い若手という意外な組み合わせ。二人が共演した『明日に向かって撃て』とは逆な感じだけど、そこがいい。FBIに負われて隠遁生活を送っている落ちぶれたゴンドーフだが、人員を招集してどうやってロネガンをはめるか、作戦を立てるうちにイキイキし始める。彼の信条は「騙された、と気付かせずに騙すこと」だ。チンピラまがいのフッカーとは、レベルが違う。
紙芝居か何かのように、イラストつきの小見出しが出てきて、それがぺらりとめくれてストーリーが始まる。連続ドラマのような感じがするが、タイトルバックに流れるおなじみの音楽(絶対一度は聞いたことがあるはず!)が、次はどんな展開になっていくのか?とワクワク気分を盛り上げてくれる。映画というのはもちろん、筋書きのあるドラマなのだが、それをこういう演出で見せるところが、実にニクイ。初めてこの映画を観たとき(高校生だったな〜)見終わって20秒ぐらい、口をぽか〜んと開けたまま呆気にとられていたのだが、今思うと、あの紙芝居的演出で、監督は多分こういうふうに言いたかったんだろう。「だから言ったでしょう、筋書きが出来ているんだって」。
1930年代のシカゴの雰囲気、ファッションから詐欺師という独特な世界の事情まで、丁寧に描き込まれていて、手抜きがない。筋書きが分かっていても、それはそれで最後まで何度も楽しめる、娯楽映画の最高峰だ。見終わったら、一度は必ず鼻を人差し指でこすってしまうはず。もちろん私もやりました(笑)
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