◇MUDDY WALKERS
■ライトスタッフ THE RIGHT STUFF
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スト−リ−
1947年のアメリカ。砂漠の中にある空軍基地には、「音速の壁」を突破することに情熱を燃やすテストパイロットたちが集まっていた。彼らが集う店の壁には、パイロットの写真が所狭しと貼られている。事故死すると、その壁に写真を飾られることになっているのだ。空軍は、最新鋭機で音速の壁突破を実現させるべく、優秀なパイロットをスカウトしようとその店を担当者が訪れる。声をかけた民間のテストパイロットは「金次第だ」と高額な報酬を要求する。その話を隅で聞いていた空軍のパイロット、チャック・イェーガー(サム・シェパード)は「給料だけで」その仕事を引き受ける。そして、音速の壁を突破した最初の人間として、歴史に名を残すこととなった。このことがさらにパイロットたちの競争心に火をつけ、基地には次々と、自分こそナンバーワンだと自認するパイロットたちが集まってくる。そして次々と記録が塗り替えられていく一方、パイロットの妻たちは、事故と隣り合わせの夫の日常に、神経をすり減らしてゆくのだった。 | ||
レビュー
1979年に出版されたトム・ウルフのドキュメンタリー小説「ライトスタッフ」を映画化。音速の壁突破から、アメリカ初の有人宇宙飛行計画「マーキュリー計画」に最終号機打ち上げまでを描く超大作である。米ソ冷戦時代に突入した1947年から宇宙開発競争への展開、そして「マーキュリー計画」が終了する1963年までの現代史を、実際の映像を織り交ぜながらあくまで物語的にドラマで語るという手法で見事に描ききっている。それにしても、193分は長いのである。秋っぽく落ち着きのない私は、長過ぎると感じた映画の評価をどうしても下げてしまうので(例えば「タイタニック」)、★の数を正直いくつにしょうか迷ったのだが、ここは最初の30分を観ながら感じた通り、5つ星でいくことにした。これだけの長尺、しかも歴史を扱ったドキュメンタリー的映画となると、監督はいろいろな視点を入れてみたくなるものだろう。過去を振り返るときには、いろんな立場のいろんな見方を試したくなるものである。しかしフィリップ・カウフマン監督は、この長い時間のすべてを「パイロットの視点」で貫き通した。語り得る要素が多々ある中で、タイトルにあるように、そして原作がテーマとしていたものに忠実に、ただパイロットたちの示す「ライトスタッフ」を描き出そうとしているのが、よくわかる。「ライトスタッフ」は正しい資質というふうに訳される言葉だが、それは何であるか説明するのは、多分とても難しいのだろう。映画を見終わった後でも、確かにそれは描かれていたと感じはするが、説明するのは難しい。逆に言えば、だからこそ長い長い映画を作る必要があったのだろう。 | ||
MUDDY WALKERS◇