■ニュー・ワールド　The New World

2005年　イギリス　アメリカ　135分 監督■テレンス・マリック 脚本■テレンス・マリック 出演■コリン・ファレル クオリアンカ・キルヒャー クリスチャン・ベール　ほか

スト−リ−

　 1607年、新大陸を開拓し、黄金を手に入れようとするイギリスの船が北アメリカのヴァージニアに漂着した。ネイティブとの交渉を命じられた遠征隊員ジョン・スミス（コリン・ファレル）は川上に暮らすネイティブの戦士たちに捕らえられ、処刑されそうになるが、族長の娘ポカホンタス（クオリアンカ・キルヒャー）に命を救われる。

レビュー

　ディズニーのアニメ映画で有名なポカホンタスとアメリカ開拓史をテーマにした実写映画。ポカホンタスの映画らしい、ということしか知らずに観たのだが、映像美追求芸術型の退屈系映画だとは思わなかった。監督は巨匠、テレンス・マリックで、実はこういうタイプの映画を撮ることで有名だったようだ（映画監督に“巨匠”とついたら要注意である）。確かに映像は美しく、新世界・アメリカ大陸の雄大な自然美を感じさせてくれる。その点は嫌いではなかったが、映像優先であまり俳優はしゃべらないし、話の筋はぶつ切りな感じだし、インディアンは何を話しているのか分からないし、そもそもイギリスから来たジョン・スミス（演じるのはコリン・ファレル）ら開拓者たちの事情も、先住民であるポカホンタスの一族たちの事情も何も説明されないので、ただ、起こっていることを眺めているだけ、物語に入っていけないまま終わってしまった。

　とくにがっかりしたのは、インディアンの一族が、厳冬を前に餓死寸前だったイギリス開拓団に食糧を分け与えるという、アメリカ建国史の伝説的エピソードが、単なるポカホンタス個人のジョン・スミスに対するご好意とされたこと。それだけしてもらって、スミスがポカホンタスを捨てちゃう展開もがっかりなら、その後のストーリーも、ポカホンタスがロルフと結婚しながらもスミスを忘れられなくて…という恋愛モノに小さくまとめられてしまい、作品をつまらなくしてしまった。しかも、台詞が少なく風景ばかり映しているので、登場人物が何を考えているのかよくわからない。というわけで、とても残念な一本なのだった。これを観るなら、ディズニーの「ポカホンタス」が断然オススメ。

評点　★★

■関連作品：「ポカホンタス」

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