◇MUDDY WALKERS
■ラブ・オブ・ザ・ゲーム For Love Of The Game
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スト−リ−ビリー・チャペル(ケヴィン・コスナー)は40歳、殿堂入りは間違いなしというデトロイト・タイガースの右腕エース。彼はチームとともに、ニューヨーク・ヤンキースの本拠地ヤンキースタジアムに向かっていた。監督から先発を告げられてはいるものの、右腕はボロボロ、痛みをこらえての登板である。ヤンキースは東地区優勝をかけて意気軒昂だがタイガースにとっては消化試合、バッテリーを組むガス(ジョン・C・ライリー)は無理せず他のピッチャーに替えてもらうよう勧めるが、ビリーは大丈夫だという。内心ビリーは張り切っていた。試合前夜、久しぶりにニューヨークの恋人ジェーン(ケリー・プレストン)と過ごすことになっているのだ。高級ホテルのスイートで待つビリー。だがジェーンは現れなかった。失意のうちに酔いつぶれて一夜を過ごしたビリーを待っていたのは、オーナー(ブライアン・コックス)からの引退勧告。チームの売却が決まったのだが、次のオーナーはビリーをトレードに出すというのだ。試合が終わるまでに、トレードか引退かを選ぶよう、ビリーは過酷な選択を迫られる。さらに連絡してきたジェーンは、編集者として今日、ロンドンへ立つという。チームからも、そして恋人からも「別れ」を告げられたビリーは、万感の思いで敵地ヤンキースのマウンドに立った…。 | ||
レビュー
野球が他のスポーツと際だって異なる特徴が二つある。一つは「君がいた夏」のところでも書いたように、「ホームに帰る」スポーツであること。そしてもう一つは「回想する」スポーツであること。日本のプロ野球中継を観るとよく分かるのだが、バッターが打席に立つたびに、今シーズンに打ったヒット、ホームランの本数や打率が表示されたり、前の打席、あるいは前の試合で打ったホームランのシーンが繰り返しリプレイされる。投球と投球の間に、ピッチャーも、バッターも、それを見守る観客も、それぞれの過去を振り返りながら、今それぞれの内に起こっている無言のドラマを想像する。野球は実に映画的なスポーツなのだ。そんな野球の特徴をとらえ、1つのゲームの中に5年間のラブストーリーをすっぽりおさめてしまったのが、この映画である。 | ||
MUDDY WALKERS◇