MUDDY WALKERS 

仮面の男 The Man In The Iron Mask

仮面の男 1998年 アメリカ・イギリス 132分

監督ランドール・ウォレス
脚本ランドール・ウォレス
原作アレクサンドル・デュマ
「ダルタニアン物語」
第三部「ブラジュロンヌ子爵」

出演
レオナルド・ディカプリオ
ジェレミー・アイアンズ
ジョン・マルコビッチ
ジェラール・ドパルデュー
ガブリエル・バーン
アンヌ・バリロー
ジュディット・ゴドレーシュ
エドワード・アタートン
ピーター・サースガード

スト−リ−

 ルイ13世に仕えた親衛隊、アラミス(ジェレミー・アイアンズ)、ポルトス(ジェラール・ドパルデュー)、アトス(ジョン・マルコビッチ)、ダルタニアン(ガブリエル・バーン)の四銃士。ダルタニアン以外の三人は引退し、ダルタニアンだけが後継のルイ14世(レオナルド・ディカプリオ)のもとで銃士隊長として勤めていた。アトスの息子ラウル(ピーター・サースガード)は宮廷はクリスティーナ(ジュディット・ゴドレーシュ)に結婚を申し込む。がベルサイユ宮殿で開かれた園遊会でクリスティーナを見初めたルイ14世に彼女を奪われ、自身は戦地に送られて不運にも戦死してしまった。食糧不足に苦しむパリ市民に対して腐った食糧を配布して民衆の怒りを買うなど、悪政と傍若無人な振る舞いに加えて、この息子を死に追いやった王の姦計に怒り心頭のアトスに対し、アラミスは「王をバスティーユ監獄に幽閉されている仮面の男とすり替える」という大胆な計画を提案するが…。

レビュー

  「タイタニック」(1997年)の世界的な大ヒットで、一躍トップスターの座に躍り出たレオナルド・ディカプリオが、育ちも性格も180度違う双子の兄弟の一人二役にチャレンジした、歴史大河ロマン。その脇を年老いた四銃士を、ジェレミー・アイアンズ、ジェラール・ドパルデュー、ジョン・マルコビッチ、ガブリエル・バーンという名優が固めるという、ものすごい豪華キャストである。そのせいなのか、製作がアメリカだからなのか、何となく、フランスが最も華やかだったルイ14世の時代だというのに、宮廷衣装がイマイチチープで、女性もなんだかアメリカーンな感じである。そんなチープ感がやや気になるものの、仮面の男の存在が明らかにされ、王とすり替える?!という計画が見えてくると、ぐいぐいストーリーに引き込まれていった。

 若かりしルイ14世と、一線を退いた老銃士。主役はレオ様だが、どちらかというと、原作は有名な「三銃士」の後日談だけあって、それよりも四人の銃士の「その後」の方にどうしても心奪われてしまう。むしろ、そっちが主役の映画といってもいいくらいだ。しかし、その彼らの存在感に負けないのが、レオ様である。見目麗しく、恋多き王。しかしその美しい姿の裏には、鼻持ちならない暴君の一面がある。そんな彼と「すり替えられる」仮面の男。監獄から出され、その仮面ははずされるとき、下からレオ様の顔が出てくるのだ、と予想はつくが、それでもドキドキしてしまう。もう一人の男はどんな男?と思うからだ。同じ顔でありながら、若くしてなにも分からぬまま仮面をつけられ牢獄につながれてきた男。その演じ分けは見事というほかない。

 とはいえ、クライマックスを飾るのは、そんなレオ様ではなくダルタニアンも加わって昔の制服を身にまとった四銃士の面々だ。最後になって、若造は引っ込んでろとばかりに美味しいところを持っていく四人の名優。レオ様の大スターへの試練の道は、まだ始まったばかりという感が残るのであった。

評点 ★★★★

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