◇MUDDY WALKERS
■Kー19 K-19 The Widowmaker
| ||
スト−リ−1961年のソビエト連邦。国家首脳部は新型の原子力潜水艦Kー19の処女航海を実施することを決める。直前に艦長のポレーニン(リーアム・ニーソン)が解任され副艦長に降格、艦長としてアレクセイ・ボストリコフ(ハリソン・フォード)が着任する。ボレーニンは経験豊富で乗組員からの信頼も厚かったが、ボストリコフは経験や人間関係よりも組織としての規律を重視するタイプで、テスト航海の最中、二人はことあるごとに対立する。航海の目的は、テストミサイルを発射させ、アメリカに、ソ連がアメリカを核ミサイルの射程に捉えていることを誇示することにあった。ボストリコフが強行する訓練で乗組員は鍛えられ、見事テストミサイルの発射に成功する。しかし厳しい訓練の連続に、次第に乗組員の不平不満は高まるのであった。そんな中、Kー19の動力源である原子炉内に重大な損傷があることが発見され、艦内は放射能漏れの危機にさらされる。原子炉の温度はグングン上昇し、メルトダウンは時間の問題となっていくが…。 | ||
レビュー
日米冷戦のただ中、核ミサイルを積んだソ連の原子力潜水艦の原子炉放射能漏れという実際にあった事故をもとに作り上げられた作品。事故の詳細については、ソ連崩壊後にはじめて明らかにされたそうだが、それをいち早く取り上げて、重いテーマを持つ映画を作るというところに、アメリカのアメリカらしい意気のようなものを感じる。一つは、この冷戦に勝利した側のプライドであり、もう一つは、世界を二分する勢力の一方としての自責であろう。ハリウッド映画として、出演するほぼ全員がロシア人という潜水艦映画の製作に取り組んだということには違和感を感じる向きもあるかもしれないが、そこに実はハリウッドの懐の深さと、素晴らしい題材は逃さないという良い意味での貪欲さがあるように思う。 | ||
MUDDY WALKERS◇