◇MUDDY WALKERS
■連合艦隊司令長官 山本五十六
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スト−リ−太平洋戦争を背景に、山本五十六の活躍を描いた戦争映画。円谷英二による流麗な空中戦が印象深い。高まる戦争の気運の中で、山本五十六に開戦準備の軍令が降った。やがて日本は真珠湾奇襲によって開戦、山本五十六司令長官の指揮のもと日本軍は善戦していくが……。 | ||
レビュー2011年に公開された役所広司主演の映画「聯合艦隊司令長官 山本五十六―太平洋戦争70年目の真実―」があまりにもひどかったので、そも元となったともいうべき、三船敏郎主演の本作を鑑賞してみた。本作は1968年に公開された映画で、山本五十六を、アメリカと開戦することに大しては反対していたが、いざ戦うとなると大胆な作戦を立てて勇敢に戦った人物、として描いている。
しかし、それだけではない。本作は役所五十六に比べて大きく違っているところがあるが、それはミッドウェー海戦後の展開である。役所五十六ではミッドウェーの敗戦の責任を南雲中将に押し付けて、面談の席で罪責感から涙ぐむ南雲に茶漬けをすすめて笑いを取るというお粗末な展開で、その後はガダルカナルに取り残された陸軍兵士を決死の作戦で無事救出、などという話を、史実にはないような作戦をでっちあげて作り上げていたが、ミッドウェイの敗戦後、航空母艦を失った日本海軍がそれでも太平洋上に散らばった島嶼に飛行場を建設して米軍を攻撃しよう、と撤退せずに粘りつづけたことが、悲惨な結果をもたらしたというのが真実であって、その責任は、当然ながら連合艦隊司令長官なる山本五十六にあるのである。本作は、餓島といわれたガダルカナル島で、武器も糧食もなく取り残されて飢えに苦しむ兵士の姿を、明らかにセットと分かるような描写ながらもしっかりと描き、この人物の光と影、功と罪との両面をしっかりと描いている。
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