レビュー
アメリカの大手運送会社フェデックスに勤めるモーレツ社員のチャック・ノーランド(トム・ハンクス)。学位を目指すケリー(ヘレン・ハント)とは結婚間近だったが、自社の貨物輸送機で太平洋上を飛行中、嵐にまきこまれ、飛行機は墜落。一人無人島へと漂着する。4年間のサバイバル生活を経て島を脱出するものの、帰国したチャックにはさらなる試練が待ち受けていた…というお話。 144分の上映時間のうち60分以上はトム・ハンクスの一人芝居。素晴らしい演技で、これはもう天晴れというしかない。無人島生活は実にリアルで、音楽もほとんどないため、本当に無人島生活をのぞき見しているような感じを受ける。 しかし、最後まで見た感想は「あの熱演の末がこれかい」と不満が残った。4年間のサバイバル生活で得た教訓が「人生とは息をしつづけること」とはなあ。リアルな無人島生活の描写のあといきなり「4年後」と出てまずがくっ。なんで4年も粘るのかと思ったら、それは恋人が結婚して子供もできてるというのに適当そうな年月ってことか〜、みたいな。1分1秒に追いまくられる序盤の生き方が漂流生活によってどう変わったか、というところに興味があったが、これで「結局恋人を失いました」というところに焦点が移ってしまった。恋人を失うなんて正直ありきたりで、わざわざ4年の無人島生活をさせなくても、と思ってしまう。救出後の主人公は、無人島から帰ってきたというより、ベトナム戦争から帰ってきたみたいな感じで鬱々とさせられる。その後、ウィルソンと会話しながら最後に届けた荷物の女性をストーカーした挙げ句大統領暗殺を企て始める「宅配ドライバー」に…という展開が頭をよぎった。なんか、トムは演技うまいね、ということの他に作り手のメッセージが伝わってこなくて残念だった。
評点 ★★★ |