レビュー
ストーリーを簡単にまとめてみようと思っても、うまくまとめられない。要するに、よく分からないのだ。アクション映画としては、これは致命的。途中、何度も眠ってしまいそうになった。 主人公のショー(ウエイズリー・スナイプス)はブライ(マイケル・ビーン)やノヴァクとともに活動する、国連の秘密工作員。もちろんこの活動は非合法である。そして彼らが孫子の兵法を意味する「アート・オブ・ウォー」の実践者なのだ。アクション映画としては、これだけで十分お話になると思う。わずか数名のチームが、ハイテク機器と狙撃、格闘術を駆使して、強大な組織や国家を内部から寝返らせてゆく。面白いではないか。ところがストーリーのメインは、何者かにはめられてチャイニーズ・マフィアにつけ狙われるようになったショーが中国人通訳者のジュリア(マリエ・マチコ)を連れて逃げ回るというものだ。 問題は、ここまでの流れが観ていてよく分からないことと、それなのに裏切ったのが誰か簡単に気付いてしまうことである。ショーは裏切られたかもしれないが、観客は裏切られていないのである。いっそのこと観客に裏切り者を隠しておくより、裏切り者になるキャラクターに愛着を持たせて、ショーと裏切られたショックを共感させた方が良かったのではないか。 そうすれば、ラストの「男同士の対決」も生きてくる。そのためには、チャイニーズ・マフィアとかFBIとかは要らないから、ショーとブライとの関係、チームワーク、その腕前に対する誇り、秘密工作員としての人生の悲哀などを描くべきだった。でないと、なぜそういう対決をしたがるのかが、さっぱり分からない。「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」でマルボロマンが、なかなか引き金を引くことができないハーレーダビッドソンに「引き金は握るんじゃない、絞るんだ」と言う場面があって心に残っているのだが、ショーとブライとの間に、そういうカッコいいやりとりが欲しい。必要なカットが撮りきれず、スローモーションや回想で時間をもたせたような映画だ。ノヴァクが惨殺されるシーンなど、観ていて不快なだけ。ウエズリー・スナイプスとヒロインのマリエ・マチコも恐ろしく似合っていないから、ラストシーンは「なんでそーなるの」という感じ。久しぶりにマイケル・ビーンが観られたのが唯一良かったところか。いい雰囲気を出していたと思うので、もっと存在を生かして欲しかった。
評点 ★★ |