MUDDY WALKERS 

エアフォース・ワン Air Force One

エアフォース・ワン 1997年 アメリカ 124分

監督ヴォルフガング・ペーターセン
脚本アンドリュー・W・マーロー

出演
ハリソン・フォード
ゲイリー・オールドマン
グレン・クローズ
ウェンディ・クルーソン
リーセル・マシューズ
ポール・ギルフォイ
ユルゲン・プロフノウ

スト−リ−

 ロシア大統領の要請で、カザフスタンの独裁者ラデク将軍の逮捕を成功に導いたアメリカのマーシャル大統領(ハリソン・フォード)はロシアを訪れ、レセプションで「テロには屈しない」とスピーチをして大統領専用機「エアフォース・ワン」で帰国の途についた。このロシア訪問には、大統領夫人のグレース(ウェンディ・クルーソン)と娘のアリス(リーセル・マシューズ)も同行しており、ロシアから取材のためテレビクルー6人も搭乗する。離陸からまもなくして、テレビクルーは正体を表す。エアフォース・ワンを乗っ取って、大統領以外の全員を人質に、大統領にラデク将軍の解放を迫るテロリストだったのだ。マーシャル大統領はシークレット・サービスの手で脱出用カプセルに押し込まれ、カプセルは機外へ。大統領を見失ったテロの首謀者コルシュノフ(ゲイリー・オールドマン)は怒り狂い、ホワイトハウスにいるベネット副大統領(グレン・クローズ)に対して、30分ごとに1人ずつ人質を処刑すると通達してきた。一方、機外へ脱出したかに思われたマーシャル大統領は密かにカプセル放出前に機内に身を隠していた。大統領VSテロリストの熱い戦いが始まった!

レビュー

 舞台は一般人が決して見ることの出来ないアメリカの大統領専用機。そしてその大統領を演じるのが、ハリソン・フォード。それだけで、もうお腹いっぱいの映画である。何が起こってどうなって、最後はどうなるか、これだけでオチまで読めてしまいそうだが、それでいいのだ。最後は大団円!と分かっているからこそ、安心してハラハラ、ドキドキできるんじゃないか。そういう映画である。

 この映画のツボは、なんといってもアメリカの大統領専用機「エアフォース・ワン」である。実際に大統領専用機の実物を取材した上で作り上げられたセットだけに、その豪華さ、司令部としての機能の充実度、内部で銃撃があっても機体が損傷しない頑丈さは折り紙付き。「そんな無茶な」という場面もあるが、これは普通の航空機ではないのだ。

 もう一つのツボは、ハリソン・フォード「大統領」である。いくらベトナム戦争で従軍経験があったとはいえ、いくらなんでも強すぎじゃないかというようなツッコミはさておき、これまでも数々のアクション映画で名をなしてきたハリソンが、八面六臂の大活躍である。なにしろこの人以上に殴られて、追い詰められて眉間にしわをよせている姿が似合う役者が他にいるだろうか。  そんなハリソンを、大統領という身分でありながら、あの手この手でひどい目に遭わせるテロリスト。窮地を脱したと思ったらまた次のピンチ、とだんだんエスカレートしていく様は、ハラハラドキドキを通り越して爆笑さえ誘われる。

 そんなこんなで、あれこれとツッコミどころも満載の映画だが、ハリソンを追い詰めるアイデア盛りだくさんで、最初から最後までたっぷり楽しめること間違いなし。そもそも大統領の名前はマーシャルなのだが、映画を見終わったあとでも「ハリソン」か、彼の持ち役だった「ジャック・ライアン」の名前しか出てこないほど大統領としてのキャラは希薄だが、最後は大統領自ら操縦桿を握り、果てには飛行機からの宙づりアクションまでやってくれるのだから、まあいいじゃないか。
 なんといっても痛快なのは、ラストの「当機のコールサインは〜云々」という一言だ。これを言わせたいがためだけに、これだけ体を張ったアクションを見せてくれる。やっぱりハリソンはこうでなくっちゃ!

評点 ★★★★

<<BACK  NEXT>>

 MUDDY WALKERS◇