MUDDY WALKERS 

忠臣蔵1/47 FLAGS OF OUR FATHERS 

忠臣蔵1/47 2001年 日本(フジテレビ)

監督河毛俊作
脚本井上由美子

出演
木村拓哉/佐藤浩市/深津絵里
堤真一/岡田准一/妻夫木聡 ほか

スト−リ−

 2001年フジテレビの年末時代劇として放映されたテレビドラマ。赤穂浪士47人のうちの一人で、剣豪として知られた堀部安兵衛にスポットを当てたドラマ。堀部安兵衛を木村拓哉が演じる。大石内蔵助は佐藤浩市、浅野内匠頭は堤真一、そして吉良上野介は津川雅彦、浅野内匠頭の妻の瑤泉院を松たか子、内蔵助の妻りくを小林聡美が演じている。その他、深津絵里、妻夫木聡、神山繁、國村隼などアイドルからベテランまでそろう超豪華キャストとなっている。

レビュー

 堀部安兵衛を主役に描く忠臣蔵。これはこれで面白い試みではあると思う。高田馬場の決闘での中山安兵衛の戦いぶりに感動した堀部弥兵 衛は、彼を婿養子に迎えようとする。一方で吉良上野介も噂を聞きつけ、家臣にしようと画策する。あれやこれやで、前半は中山安兵衛が堀部の家に婿入りする 話しがメインとなる。中盤あたりでようやく松の廊下。討ち入りに向けての話しは毎度おなじみだが、大石内蔵助のエピソードのおいしいところはほぼ、キムタク安兵衛が持っていってしまうという展開。内蔵助は昼行灯、というのは定番の設定だが、そのおかげで、それにしても昼行灯に過ぎる、やる気のない内蔵助になってしまった。逆に堤真一の浅野内匠頭は、切腹前に「乱心にあらず」と言い残すなど、ものすごくまともな人に見えて、これまた困惑。佐藤浩市と堤真一を逆にした方が良かったのではないだろうか。

 ひと味違った忠臣蔵、という意味では面白いが、なんせキムタクである。どんな役柄も、見事にキムタクでもともと割と一本調子の単調な演 技をするうえに、トレンディドラマに出ているのとあまり変わらないような言葉使いだったり立ち振る舞いだったりするだけに、盛り上がるべき泣かせどころも 淡々と流れていく。もちろん、最後の討ち入りもキムタク無双。キムタク好きにはたまらない、しかし忠臣蔵で泣きたい人には物足りない。予想に違わぬ出来だった。まさにキムタクの、キムタクによる、キムタクのための忠臣蔵である。 しかし悲しいかな、キムタクといい佐藤浩市といい、よくぞこのキャスティング、というくらいちょんまげが似合わない役者ばかり。それも、イマイチ入り込めなかった理由かもしれない。

 ところで大石内蔵助の息子の主税を演じているのは、岡田准一である。キムタクよりはるかに時代劇に向いている。のちに大河ドラマで主役を演じるようになるのも、不思議ではない存在感だった。

評点 ★★

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