■第41話「決闘!女王対ハーロック」
あらすじ
ついに旗艦ドクラスに乗り込んだアルカディア号、司令クレオが倒され、一対一でハーロックと対峙した女王ラフレシアは剣で決闘を挑む。
Aパート:マゾーン特攻隊、クレオの最期
Bパート:女王対海賊、私は去る!
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天の川のように何千何万といたマゾーン艦隊もアルカディア号との激戦で残り数十隻、特攻と旗艦ドクラスの主砲でアルカディア号も大破したが、海賊の本領は白兵戦と乗り込んできたハーロックらにマゾーン兵は次々と倒される。ラフレシアの替え玉となったクレオも倒され、残るは女王一人ということだが、少し弱すぎないか?
あまり良く分からないが、旗艦はマゾーン生命体の誕生や再生も行えるらしく、ドリルメカ(ポレット2号)で突入した艦内は植物園といった様相で案外広大である。毎週映っていた女王の玉座はタジン鍋の内部の植物園の中心にある半球型のドームだが、クレオがいたのは無重力室であり、乗り込んできたハーロック以外の乗員はここに拘束される。そして肝心のハーロックはドームの一角の賽の河原のような場所、多分マゾーンの墓地で待ち受けていたラフレシアと対峙する。
決闘前の独白で、ドラマを通じて凛とした指導者としての姿しか見せなかったラフレシアが心情を発露する場面は、最初で最後のラフレシアのテーマ曲の荘重さと相まって孤独な女王の真の姿を見せる名場面である。それに対するハーロックの返答はおざなりで、何か不貞な夫と貞淑な妻の離婚前の掛け合いのように見える。
不実な対応に怒ったラフレシアはこれまでハーロックに殺されたマゾーンの亡霊を召喚して彼に懺悔を強要する。トチローの介入で幻影が消え、玉座に戻ったハーロックはラフレシアと一対一の剣戟を繰り広げる。視聴者補正で戦いに勝った宇宙の無法者は女王を助命して地球から去るように告げるのだった。
あれほどいた大艦隊が突然いなくなるとは、いかにも時代でご都合主義だなあと思うが、あまり深く考えてはいけないことである。ラフレシアもクレオも戦いには幻術を用いたが、特に女王のそれは次元が違っており、マゾーン女王はある種の巫女(シャーマン)でもあるようである。
植物園から玉座、賽の河原に無間地獄と、戦艦の艦内という設定を超越して入れ替わる場面はほとんど能や歌舞伎の世界である。死霊に襲われあわや最期のハーロックがトチローを呼び、ドンとアルカディア号が突入して異界が元の玉座に戻る場面転換は歌舞伎の大道具であり、当時の制作者の豊かな古典芸能の素養を感じさせる。
評点
★★★★★ 能と幽玄の世界だが、マゾーン戦闘服の材質は気になる。
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