■第36話「決戦前夜」
あらすじ
アルカディア号に乗り込んだ波野はラフレシアの命令で艦内を探りにかかる。同艦最大の謎、ハーロックの意思と42人目の乗組員について調べることを命じられた静香はある奇策に打って出る。
Aパート:アルカディア艦内、色仕掛け作戦
Bパート:ハーロックの真意、WX0作戦
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ラフレシアが指示したWX0作戦は潜入した波野とマゾーン艦隊で内と外から攻撃し、不沈艦のアルカディア号を亡きものにしようという作戦だが、この場合は波野も犠牲になることがあり、脱出の手筈が整っていたのかは定かではない。勝利は確実と見たラフレシアは波野にハーロックの人柄を調べるように命じる。すぐに宇宙の藻屑になる宇宙の無法者とはいえ、女王はハーロックに何か気になるものを感じているようである。
そこで波野が仕掛けたのが子供番組にはやりすぎというストレートな色仕掛けで、これにはハーロックも少なからず動揺するが、禁欲的な彼にそんな手が通じるはずもなかった。後に詫びに来た波野にハーロックは女王ラフレシアを憐れむ言葉を掛け、その言葉にラフレシアは激怒する。以下はそのお言葉。
「俺にはどんな考えも、ましてや信念などない。」
「俺はただ、死に場所を探しているだけだ。そして、その俺の行く手に、たまたまマゾーンがいた。ただそれだけのことだ。」
「願わくば、マゾーンとの戦いが俺の死に場所としてふさわしいように!」
(中略)
「今の言葉、ラフレシアが聞いたら、どんな顔をするかな、フハハハハハ!」
一介の宇宙海賊に路傍の小石扱いされた女王が怒り狂うのも分かるが、この言葉にしろ、これまで彼らの様子を眺めてきた目からすると、こうであろうと腑に落ちるものがある。彼らは無為に死を望んでいるわけではないが、マゾーンの大艦隊相手に智略と能力を使い切っての結果としての死なら、それは仕方ないと割り切っている所がある。彼らが求める自由の当然の帰結であろう。
波野の攪乱作戦で戦闘不能のアルカディア号は中枢コンピュータに戦闘を委ね、衝角戦でアドルフの艦隊を撃破する。海賊艦がだんびらを振りかざしてバッタバッタと敵艦をなぎ倒す場面はほとんど時代劇の殺陣であるが、それを見たラフレシアはハーロックの皮肉を理解すると同時に、作戦が失敗したことを悟るのだった。
評点
★★★★★ 波野の美貌とアルカディア号の豪快さでスペクタクルな話。
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