■第28話「ユリシーズの星雲」
あらすじ
まゆの捜索と乗員の休養のため、アルカディア号はユリシーズ星雲の人間の星に停泊する。南国の楽園のような場所で旧知のアイン博士に再会したハーロックと乗員は連戦の疲れを癒やす。が、マゾーンの魔手はすでにこの星にも伸びていた。
Aパート:アイン博士との再会、ハーロック海に出る
Bパート:襲う巨大津波、残された子どもたち
コメント
ハーロックが放映された時代は海外旅行はまだ高く、芸能人がハワイで正月を過ごすのがステータスだったが、それもありふれてきたので、注目されたのがタヒチを含むフランス領マルケサス諸島である。主島のボラボラ島は日本から1万キロ離れた常夏の島で、豊かな自然とポリネシアン文化が特徴だが、旅行自由化の折、スタッフも誰かが無理して行ったのかもしれない。寅さんシリーズでスターになった渥美清がスタッフを引き連れてタヒチ旅行に出かけたのもこの頃である。そのまま観光局のパンフレットに使えそうな夕暮れに、盗み見をしていた女王ラフレシアもつい目を奪われる。
そして南の島といえば地震と津波。1960年のチリ大地震はタヒチでは被害はなかったが、東北やハワイでは津波被害があったため、地震でトレーラーごと埋められた後、ドクロ旗を掲げたヨットで船出したハーロックを大津波が襲う。辛うじてアルカディア号に合流したハーロックはレジャーを台無しにしたアイン博士の地殻コントローラーを衝角(ラム)で切り刻み、博士はマゾーンに殺され、彼らの休息は終わりを告げる。
「アルカディア号御一行様」慰安旅行という以外、見るべき所のない回だが、戦闘シーンはそれなりにカッコ良い。およそ放映開始20分で始まる当時30分番組の王道パターンで、据物斬りのような無抵抗の地殻コントローラー相手でもそれなりに盛り上がったのは作画が良いせいもあるが、やろうと思えば30回でも40回でも繰り返せるこのパターンのせいでもある。これが千回続くとサザエさんになる。
ラストの(まゆと同じ歳くらいの)幼児置き去りは台羽すらビビったように非人道的だと思うが、タヒチ回だし、タイトルが宇宙海賊だしで、他でやったら幼児虐待だろうが、この番組はこれで良いのだろう。せめて学校くらい入れてやれよ。
評点
★★★ 話はともかく絵の美しさで星3つ。
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