キャプテンハーロック

第27話「アルカディア号の意志」

あらすじ
 ハーロックと対峙した女王ラフレシアは司令クレオにハーロックの弱点を探らせる。まゆの存在を掴んだクレオは女王に誘拐を進言するが、女王らしからぬ作戦にラフレシアは逡巡する。マゾーンの一派が反抗を起こし、事態を収集できなくなった女王はやむなくクレオにまゆの誘拐を命じる。

Aパート:連戦、脅迫された切田
Bパート:マゾーンの反乱、さらわれたまゆ

コメント

 つい先日まで地球にいたのに、ロケット加速で100万光年を踏破したアルカディア号はもうマゾーン艦隊の目前にいる。立ちはだかる壁として八面六臂の活躍をする海賊戦艦だが、乗組員の疲労も限界に達していた。艦内でインフルエンザも流行し、ハーロックは市民船団を盾に乗員を休息させる作戦を実施する。
 が、地球を目指すマゾーン急進派にその策は通じず、市民を巻き込んだ戦闘はラフレシアを苦悩させる。アルカディア号を撤退させるため、司令クレオは地球の現住マゾーンにハーロックの調査を依頼し、マゾーンは休暇中の切田を襲う。
 マゾーンの調査員に脅迫されて切田が取り出した連邦軍のハーロック関係の資料はコマ送りすると結構ひどいことが書いてある。ハーロックは「アルカディア号がなければ無能」、副長は「プラモ狂人、なぜか副長、通称ブタ」とあるが、それでもまゆの保護者がハーロックであることは書かれている。この資料だけでは情報不足のため、アルカディア号との関係などはマゾーンで補足して報告したものである。クレオの報告でラフレシアはハーロックが地球のために戦う理由を知る。
 この話では実際にマゾーンと遭遇したことで打倒ハーロックの切田の心境に変化が生じたことも見逃せない。今までもそうだったように彼は首相にご注進するが、スポーツ大会に夢中の首相は地球侵略の危機には取り合わず黙殺する。たぶんこの時点までは首相と切田は運命共同体だったのだろう。首相が富や娯楽で市民をたぶらかし、切田が裏仕事で反体制の市民を密かに始末する。陰湿な弾圧で異端者を量産していた切田が今度は彼自身が異端になったことで目が覚めることになる。
 ラフレシアからまゆ誘拐を知ったハーロックはアッサリと防衛線を放棄して撤収する。もとより地球防衛の集団ではなかったが、マゾーンの進撃を許しても彼らが奉じる価値観とはいかなるものか、明確に語られることは作中ではついぞなかったために、視聴は謎掛けのようなものである。いずれにしろ、艦に宿ったまゆの父トチローの選択にある種の爽快感があったことは疑いない。

評点
★★★ 資料ファイルのカットに松本に対するスタッフの本心が垣間見える。



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