キャプテンハーロック

第25話「ドクターゼロとミー」

あらすじ
 ゾルバとルシアの死に怒ったドクター・ゼロは仇討ちのため、戦闘機で出撃を決意する。愛猫のミーくんをマスさんに預けたドクターは訝るマスにミーくんとの出会いを語る。

Aパート:ハーロックの作戦、ドクターとミー
Bパート:ドクター出撃、マゾーンの客船星

コメント

 クルー紹介編の後半はいなくては困るが、いてもあまり存在感のないドクターの話、赤ひげよろしく地球で貧民相手の病院を経営していたドクターは怪我をした母猫から子猫を預けられる。その後母猫は死んだらしく、病院を畳んだドクターはアルカディア号にミーくんを連れて行く。逃亡者や反逆者の扱いには慣れているものの、猫を連れた医者の乗艦にハーロックがどんな顔をしていたかは興味深い。

「已前(いぜん)の曲節とはかはりて、文句を歌ふことは少なく詞のみ多し、芝居咄をするが如し。」<嬉遊笑覧>

 「天人是を許さず」という大時代なナレーションといい、この所は脚本家チームが浪花節合戦をしているような本作だが、松本零士の作品は途中で終わったり話が途切れたりすることが多いので、この際だから隙間で色々試しておこうという合意がスタッフ間にあったのかもしれない。脚本の山崎晴哉は天才バカボンなどマンガチックな話を得意とする脚本家で、「スペースウルフ(戦闘機)ぐらい操縦できる」と、ドクターが意気揚々と戦闘機に乗り込む場面はまんまバカボンのパパである。

「屯食と云はにぎり飯の事也。」<貞丈雑記>

 バカボンか八つ墓村のような形相でドクターの無事を祈っていた炊事係のマスさんだが、彼女がハーロックや乗員に配っていたのは「具の入っていないおにぎり」、先の東京オリンピックでもボランティアや外国人選手に配られて不平轟々だった代物で、貞丈雑記に記載がある「戦士の食事」として古い伝統を持つこれも、そのままでは誤解を招くだけで終わってしまい、古い芸能を今に活かすにはその時代の演出家によるアップデートが不可欠である。
 この話はメカ設定もおかしく、設定ではアルカディア号より巨大な空母ゾネスがまるで艦載機のような動きと大きさで戦っている。この作品の場合、同じ船でもスケールが変わることがあり、これらは別タイプと見るべきか作画ミスと見るべきかは迷う所だが、おそらく後者だろう。

評点
★★ アニメというより講釈物のような話。ラジオの方が聴きやすいかもしれない。



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