■第21話「ゴーラム!悲劇の戦士」
あらすじ
太陽系に到着し、小惑星帯を航行するアルカディア号は潜入してきたトカーガ戦士ゾルの襲撃を受ける。撃退してゾルを捕虜にしたハーロックは彼から恐るべきマゾーンの実態を知る。
Aパート:小惑星帯突入、トカーガ戦士ゾル
Bパート:戦士の挨拶ゴーラム、ゾルの死
コメント
この作品の宇宙図については、もはやあまりとやかく言わない方が良いと思うが、太陽系に戻ってきたアルカディア号を待ち受けていたのはトカーガ人戦士団と彼らを運んできた光り輝く巨大マゾーン母艦であった。目の前の侵略者に切田長官と地球防衛軍は何をやっていたのだろうか。
トカーガ族は松本の作品にしばしば登場する悲劇の民族で、本作では外見は首のない半球型の頭部を持つ男性体だが、女性は地球人と変わらず、男性でも地球人タイプがいるなど、同じ作品内でもかなり混乱している。母星をその当時のハーロックの敵(マゾーン、イルミダス)に滅ぼされ、その敵に傭兵として使役されている設定は同じで、侵略される前は平和で美しい星だったということも共通している。
本作の他の話でも言えることだが、この作品には不思議な所があり、話そのものにはさほどの中身がなく、今回もゾルがアルカディア号で酒盛りして死んだくらいの内容だが、台詞回しや音楽、話の盛り上げ方で中身が薄くてもついホロリとしてしまうことがある。やれ特攻賛美だ自己犠牲だのと一部だけ切り取って見るものではない。
後になって見るとキツネに摘まれたような気分になるが、この作品が作られたのは1970年代、まだ浪曲や落語の経験者が業界に数多くいた事に留意されたい。というよりアニメ主題歌自体が浪曲の焼き直しであり、同じ作曲家が作っていたこともある。落語家にネタを考案して提供するコンサルタントもおり、「のらくろ」の田河水泡の副業はこれであった。浪花節の技法には文学や音曲を取り込める極めて高い柔軟性があり、アニメと浪曲は実は意外と近い所にいるのである。
評点
★★ ゾルはもう少し出しても良かった。
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