キャプテンハーロック

第18話「魔の幻影戦士(シャドウソルジャー)」

あらすじ
 ブレーブス号と山中を弔った後、ハーロックらはさらに宇宙の深淵に進む。艦内にシャドウソルジャー(幻影戦士)が現れ、魔地はその中に娘ミドリの姿を見る。

Aパート:マゾーンの幻影戦士、ミドリとの再会
Bパート:ミドリの正体、永遠の別れ

コメント

 だいたい日頃は地球侵略を狙う敵として散々殺しているくせに、前回のような人間味溢れるエピソードはどうなのかとはスタッフも迷ったらしく、18話は前話で行方不明になった魔地の娘ミドリとの再会話である。が、体構造が根本的に異なる人間とマゾーンの間に混血が生まれるはずはなく、それでも存在しているミドリに艦内の面々は戸惑うが、やはり騙されていたという話である。
 しかしながら、前妻の亜希がマゾーンの工作員だったことは仕方ないとして、それで魔地との間に家族を作り、子供まで用意する必要があったかといえば、魔地は連邦軍の高官ではなく、機密にアクセスできる立場でもなかったことから、そこまでする必要はなかったと思われる。他の工作員はタレントや秘書に偽装して普通に任務を遂行している。思うに亜希は魔地に助けられた時には本当に死にかけており、助けられたことで彼に恩義に似た感情を感じたのではないだろうか。
 娘のミドリにしても、幻影戦士として破壊工作に従事することはともかく、魔地をマゾーンの森に案内して真実を突きつける必要はなかった。子供の頃に魔地にプレゼントされた鈴も成人後に身につけている理由も必然性もない。これは種族は違えど、やはり整理できない感情を彼女も抱えていたのではないだろうか。
 結局、敵と味方という立場の違いが彼らを引き裂き、魔地は砲撃でミドリの乗る母艦にとどめを刺す。死亡シーンがなかったので生死は明らかではないが、戦いの中にあってはそれが彼が唯一示すことのできた父親としての愛であった。
 話を見直すと、魔地とマゾーンの亜希、ミドリは血の繋がりのない疑似家族だったが、それでも彼らは個々に互いを家族と認め合っていたのではないだろうか。全般的に説明不足だが、この事件を契機に台羽を筆頭とする反マゾーンの乗員たちの見方も少しづつ変化を始めることになる。

評点
★★★★ ミドリの仕草などで異なる解釈のできる話。



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