キャプテンハーロック

第12話「母よ、永遠なれ」

あらすじ
 ローラに幻術を掛けられ、脱走を許した台羽は後悔の念に苛まれる。金星に到着したアルカディア号は分厚い雲の下に古代マゾーンの遺跡を発見するが、そこにローラとアレルギアスの操る古代戦艦がハーロックらを襲う。

Aパート:苦悩する台羽、燃えるマゾーンの森
Bパート:化石大陸の基地、ローラとの再戦

コメント

 金星の地上で燃えるマゾーンの森を見たハーロックが「(炭化マゾーンからの)自己放出」と言ったが、作品のマゾーンは植物人間で、この石炭になりかけのマゾーンの図は60〜70年代にたびたび起こっていた炭鉱火災がモチーフと思われる。中には坑道閉鎖後100年以上燃え続ける山もあり、酸素もなしに長期間燃え続けるメカニズムは今だに解明されていない。
 金星で超古代のマゾーン基地を発見したハーロックたちだが、これほど高度な科学力を持つマゾーンが、なぜもっと早く地球を侵略しなかったのかは明らかでない。松本の説ではマゾーンは温暖だった1億年前の金星が「第一の故郷」で、金星が高温化して居住できなくなったので「第二の故郷」地球に移り住んだが、地球の環境はマゾーンには寒冷すぎ、彼女たちは時機が来るまで植物に擬態して活動を停止したのだという。樹木に化けることが多いことから、中には法隆寺や百済寺の建材にされたマゾーンもいたかもしれない。
 アレルギアスは斃され、脱出したローラと台羽は再度対戦する。幻術を破られて消滅しながら哄笑する彼女だったが、それが彼女の死で台羽が二度と母と対面できないことだったとすれば、彼女は降霊術を使うマゾーンだったことになる。
 ハーロックにしてみれば、ローラに呼び寄せられた彼の母親の霊に憐れみを感じていたのかもしれない。死霊をも操るその能力の一端を垣間見せたことで、彼はマゾーンを心底恐れると同時に、地球での戦いの常識が通じないことを悟るのである。

評点
★★★ 「人の心を弄ぶ」ハーロックが恐れる理由を掘り下げて欲しかった。



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