キャプテンハーロック

第5話「はるかなる星の涯(はて)に…」

あらすじ
 意気揚々とアルカディア号に乗り込んだ台場は、怠惰な乗組員に大きな失望を味わう。切田は人形作戦をハーロックに仕掛け、マゾーン艦と交戦したアルカディア号はマゾーンの戦士ヌレームを捕虜にする。

Aパート:アルカディア艦内、ノイローゼになった台羽
Bパート:切田の人形作戦、マゾーンの戦士

コメント

 この作品のタイトルは「宇宙海賊」だが、おおらかなタイトルに時代を感じると同時に、放映当時でも疑問を感じたのはハーロックらは「海賊」を名乗りながら、その行いは少しも賊らしくなかったことである。たまに船を襲って略奪はするが乗組員は殺さない。高価品や宝石には関心を示さず、商家を襲って金品をねだることもない。女性はマスおばさんと有紀蛍しかいない。
 ハーロックと40人の乗組員は栄光も富も求めず、地球を狙う侵略者とひたすら戦っているように見える。海上で残虐行為を平然と行った史実の海賊が処刑されなければ年老いて叙爵し、貴族となって海賊時代の自慢話をしつつ余生を終えたのとは対照的である。
 レジスタンスやゲリラでもない。軍事訓練は行われていないし、戦闘のないときは乗組員は好きなことをし、思想教育が行われている気配さえない。装飾の施された豪華な艦長席は普段は乗組員の遊び場になっており、ヒーローの権威主義もない。これはいったいどういう集団だろう?

「我らの旗を掲げろ、ふやけた腰抜けの地球人どもに良く見せてやるんだ。キャプテン・ハーロックの偉大な旗をだ」

 大げさな言い回しでハーロックが誇るのは自身の武勇ではなく、彼らが掲げる旗の崇高さである。海賊旗(ジョリー・ロジャー)はいかなる勢力にも属せず、いかなる法にも従わない。
 台羽が初めて目にしたマゾーン戦士ヌレームは毅然とした態度で簡単な質問に答えた後に自爆して果てる。その旺盛な闘志と忠誠、強固な戦意はだらけ切った地球人には全く見られないものだった。彼女の死に、台場は地球に迫る危機を実感する。

評点
★★★ ヌレームの闘志、クスコ教授の預言が現実に。



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