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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第51話「地下都市大激戦」

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この連中は、ガルベストンの何だったのだ?
飽くなき野望の果てに待っているものは、
いったい何だというのだ!

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地下都市
 ガルベストン本星の地下にある居住区画、表層からの放射能の浸透が進み、居住不可能な部分を放棄してその下層に街を建設するという建設方法のため、街は幾重にも渡って築かれ、その規模は不明であるが、相当大規模なことは確かである。作品では王宮や司令部のある首都周辺しか映らなかったが、同様の都市はガルベストン星各所に築かれていると思われる。放射能の浸透により地下への居住が限界に近づいたため、内務長官テスは移民船を建造しての他惑星への脱出を企図している。

あらすじ

 ついにガルベストン本星の地下都市に突入したラガーチーム、並み居るバトルアタッカーを倒しつつ、ダイラガーはカポネーロの司令部に迫る。一方、テレスをリーダーに蜂起したゲリラはカポネーロと皇帝を追い詰めつつあった。

見どころ

 地下都市に突入したクウラガー、ガルベストンの地下都市は地表から地下奥深くまで伸びている巨大な建造物だった。地表からの放射能は地下も着実に侵し始めており、居住不能となったエリアから現在の居住区へ抜けた安芸は都市に軍事施設らしい施設を発見する。

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 カイラガー、リックラガーも合流し、ダイラガーに合体して施設を攻撃する安芸たちに地中から這い上がった本星2号と別のアタッカーが現れてダイラガーを攻撃し、さらにサザアキの艦隊を殲滅した地球艦隊も地下都市に降下して施設に艦砲射撃を加える(先のデュカスの攻撃と比べてもらいたい)。

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 バトルアタッカーも、もはやダイラガーの敵ではなかった。ミラクルビームで本星4号を破壊し、ダイラガーランサーで2号を仕留めた安芸は伊勢の命令でさらに地下都市の奥深くに進む。「ガルベストン星の崩壊は近いぞ!」、軍事施設は地球艦隊の艦砲射撃で破壊され、ガルベストンの戦争機構が破壊されていく。

 「地球の連中との戦いはどうなっているのだ」、一方、カポネーロの司令部では各所で起こる戦闘で司令部それ自体が機能不全に陥っていた。星の崩壊を観測した部下の一人はカポネーロに皇帝を連れての首都脱出を進言する。「ば、ばかな! 地球の進撃を許したまま、コソコソと逃げ出せというのか!」、そこにテレスのゲリラが司令部を襲撃する。「裏切り者めが!」、もはや防ぎきれないというドランにカポネーロは呪詛の言葉を吐く。

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ゲリラA 「怯むな!」
ゲリラB 「カポネーロを倒せ!」
テレス 「一歩も退くな! 我々に残された未来への道はわずかしかない! ガルベストンをここまで追い込んでしまった指導者を、打倒するのだ!」

「ここを倒して、一刻も早く戦争を終結させるんだ」、テレスはサークに司令部の制圧を命令する。ダイラガーの攻撃を待つまでもなく、脱出して民衆のリーダーになったテレスにより、圧制を敷いていたガルベストンの政府は民衆の手で倒されようとしていた。

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 次々と現れるバトルアタッカーを倒しつつ、安芸は司令部に突き進む。テレスの父テスはゲリラによって救出され、司令部を制圧したテレスはサークからカポネーロ脱出の報告を受ける。カポネーロたちが王宮に逃れたという報告を受けたテレスは顔を歪める。王宮ではカポネーロらが皇帝に本星脱出を勧めていた。

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カポネーロ 「現在の戦況は、我が方に有利とは言えなくなっております。敵は、すでに地下都市を進撃中であります。ガルベストン星の命も、刻々と終わりに近づいていることを考えると、、今のうちに、脱出すべきではないかと、、」
ゴメス 「私も、総司令に賛成です。ゲリラの活動が活発化している今、これ以上戦力を無駄遣いしているよりも、他の星へ移ってガルベストンの再興を考えた方が良いでしょう。」
ベンチュラ 「コルセール帝、ご決意を。」
コルセール 「ならん! わしはガルベストン皇帝として、最後の最後までここを明け渡すわけにはいかん!」
カポネーロ 「皇帝! 銀河からガルベストンを消滅させるわけには行きません。どうか、わたくしと共に、、」
コルセール 「すでに戦力の大半を失い、脱出してもガルベストンの再興は考えられん。みじめに生きるより、むしろ誇りを持ってこのガルベストン星と共に死を選ぶ。」
カポネーロ 「皇帝!」

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コルセール 「行け! お前たちは行くがいい!」
兵士 「報告しまーす!」
ゴメス 「どうした?」
兵士 「皇帝! ゲリラが王宮まで押し寄せてきました!」
カポネーロ 「何!」
ゴメス 「総司令、皇帝を。」
ベンチュラ 「いやここは我々に任せろ。」
コルセール 「カポネーロ! わしは動かん!」

「カポネーロ! わしは動かん!」、ゲリラがついに王宮まで押し寄せてきたという報告を受け、カポネーロは皇帝に再び脱出を勧める。しかし、皇帝の意思は固く、隊長のドランを皇帝の護衛に残し、カポネーロらはガルベストン星再興を皇帝に約束して王宮を脱出する。すでにテレスたちが王宮にまで踏み込んでいた。

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「テレス、お前か」、護衛を倒し、謁見の間に乗り込んだテレスとサークは皇帝と対面する。玉座に腰掛け、瞑目したまま次々と倒されていく護衛兵の悲鳴を聞いていた皇帝は立ち上がると穏やかな声でテレスに声を掛ける。「皇帝、お覚悟を」、安堵した表情で彼に近づいてきた皇帝にテレスは銃を向け、向けられた銃口に皇帝は驚愕の表情を浮かべる。

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 抵抗を跳ね除け、王宮に近づいたダイラガーではウォルターが脱出していくカポネーロらのバトルアタッカーを見つける。「大物が脱出するんじゃないのか?」、キーツの言葉でアタッカーを追った安芸は逃れようとするアタッカーの前に立ちはだかり、ラガーソードでこれを倒す。最後のアタッカーの爆発の閃光はテレスらのいる謁見の間も照らしだした。カポネーロらの最期に皇帝コルセールは嘆息する。全ては終わったのだ。

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 「どうした? テレス!」、カポネーロらが死に、一度向けた銃を降ろしたテレスに皇帝が声を掛ける。皇帝を撃とうとしたテレスの表情には明らかに躊躇の色があった。再び銃を向けたテレスに負傷して倒れ伏していたドランが立ち上がる。「裏切り者!」、テレスの銃を撃ち落としたドランをサークが射殺し、倒れながらドランが乱射した銃の一弾が皇帝に命中し、皇帝コルセールは玉座に倒れ込んで息絶える。玉座に駆け寄って皇帝の死を確認したテレスは皇帝の両瞼を閉じ、死んだ皇帝を見下ろして肩を震わせる。「オーッ!」、振り返り、鬨の声を上げたテレスにゲリラたちが呼応し、皇帝の死とともに市民たちに圧制者からの解放と戦争終結への機運が高まる。

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 テレス対皇帝の描写は実はこの話では難しい部分である。皇帝に対峙した時、テレスは明らかに躊躇していた。カポネーロらを倒すことには躊躇しなかったテレスだが、クライマックスで尺の足りない中、皇帝に対してテレスが微妙な感情を抱いていることをドラマはできる限り長い時間を割いて説明しようとしている。サークからカポネーロらが王宮に逃げ込んだと知った時の彼は不快な顔をし、王宮に踏み込むことに苦痛を感じていたように見える。民衆の味方であると同時に皇帝の近縁者、テスと共に強固な体制派の一員でもあるソクラット・テレス、そこに彼の矛盾と本質がある。

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テレスと皇帝の間に何らかの関係があるらしいことは、実は中盤あたりから作品の所々で間接的に表現されてはいた。24話で帰国したテレスを迎えたのはサークという王宮の女性であったし、また、皇帝も謁見の際に罵倒するカポネーロらを制してテレスに発言を許すなどしている。さらに皇帝はルチアーノ後は自ら指図してテレスとテスを復職させており、皇帝がテレスに悪感情を持っている描写は見られない。会議などの際も、カポネーロなど他の重臣はテレスの悪口を数多言っているが、皇帝自身がテレスを批判している描写はない。また、王宮に軟禁されていたとされるテレスだが、抗命罪ならば軍の刑務所にいるはずである。テレス自身、救出を伝えるバッキへの態度も消極的で、これは皇帝が処刑を主張するカポネーロらからテレスを保護していたのではないか。

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 父親であるテスがテレス救出にほとんど助力しなかったことも気になる点である。が、軟禁による保護という暗黙の合意が皇帝とテス、両者の間にあったなら、テスの態度も頷けるものである。そういう関係であるから、テレスに銃を向けられた皇帝の心境はさながら飼い犬に手を噛まれるようなものだったに違いない。若くして皇帝直々に司令官に任命されたテレスはガルベストンでは王室に連なる人間、特別な人間であったと同時に、皇帝のお気に入りだったのである。そしてそのことはラストでの彼の運命に影響していく。

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 いずれにしろ、皇帝は死に、その死を伝えられた諸部隊は次々とゲリラに降伏する。「サーク、一刻も早く戦争を終結させなくてはならない」、テレスは死んだ皇帝の面前でサークに戦争を終結させることを誓う。そして、地下都市の中心近くまで進出したダイラガーでは、安芸が撃墜したカポネーロのアタッカーを見下ろしていた。

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「この連中は、ガルベストンの何だったのだ? 
飽くなき野望の果てに待っているものは、いったい何だというのだ!」


 今週の言葉は安芸マナブ、コクピットから覗くカポネーロ、ゴメス、ベンチュラ三名の死体、死んだ彼らは安芸やラガーメンバー、地球艦隊、そしてガルベストンの国民に際限のない戦争を強いてきた権力者たちだったはずである。「安芸、見ろ!」、ウォルターの声で安芸はダイラガーに近づいてくる人々の一団に視線を送る。「くそおっ! 奴らまだ戦うつもりか! 蹴散らしてやる!」、ダイラガーを発進させようとした安芸をキーツが制止する。「あれはガルベストン市民だ、市民が白旗を掲げてやって来るんだ」、白旗を掲げ、ダイラガーの周囲に集まってくる民衆を見回した安芸は、長かった戦いがようやく終わろうとしていることを悟る。

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「白旗だ、俺たちは勝ったんだ!」

 白旗を掲げて集まってきたガルベストン市民に安芸は快哉を叫ぶ。兵士も国民も文字通りボロボロになるまで戦ったガルベストン帝国、皇帝は死に、政府は崩壊し、民衆は白旗を掲げた。そして、テレスによるガルベストンの降伏を経て、物語は最終章に突入していく。

キャラクター紹介

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ドラン

 カポネーロの側近である警護隊長、カポネーロらの身代わりに王宮に居残り、王宮に侵入してきたテレスらのゲリラに抗戦する。その戦闘で負傷し、テレスと対峙した皇帝を見守るが、皇帝を射殺しようとしたテレスを射殺しようとしてサークに撃ち殺される。倒れ際の彼が放った銃弾が皇帝コルセールを撃ち抜いたため、結果的に意図しなかったとはいえ、彼が皇帝を射殺したことになる。登場した最後の隊長クラスの将校。

今週のバトルアタッカー

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武器:ビーム砲、巨大鉤爪

 軍事施設に配置されていた本星4号は巨大な鉤爪による格闘戦を得意とするアタッカーである。本星2号とともにダイラガーに組み付くも振りほどかれ、ミラクルビームの餌食になった。


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武器:ハンドキャノン

 旧市街に配置されていた本星5号は巨大なハンドキャノンを持つ長距離支援型である。ダイラガーを砲撃しようとしたが戦車を投げつけられてキャノンが誘爆し、電磁ビュートで切り裂かれて爆散した。


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武器:ハンドビーム

 中心街近くの本星6号はビームとソード戦を得意とする両用型である。7号と8号に攻撃されているダイラガーに格闘戦を挑もうとしたがダイラガーが蹴りあげた鉄球で損傷し、ソード戦を挑んだがラガーソードに切り裂かれて爆散した。


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武器:ハンドビーム

 8号と共に中心街に布陣していた本星7号はビームでダイラガーを攻撃したがミラクルビームの反撃を受けて転落して大破した。以降、破壊されたと思われる。


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武器:首ビーム

 7号とともにダイラガーをビーム攻撃した本星8号はシイラ隊の歩行戦車型に似た双頭のアタッカーである。スピンカッターで頭部を切り取られ、6号とともにソード戦を挑んだが、ラガーソードを突き刺されて爆散した。


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武器:ソード

 本星9号はカポネーロらが脱出に用いたアタッカーである。他の機体にはない頭髪や、内部には玉座が設けられているなど、要人(皇帝)脱出用に作られた機体で、性能的にはおそらくダイラガー以上の最高級の機体だと思われるが、乗機したカポネーロが脱出を優先させたため、ダイラガー相手には全く相手にならないまま一方的に撃破された。


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バトルアタッカー語録

ゴメス 「ん! ダイラガー!」
(ダイラガーを発見してビビる)
カポネーロ「ん?」
(気まずそうに立ち上がる)

ウォルター 「安芸! まだバトルアタッカーが残っているぞ!」
(鬼さん見っけとはしゃぐウォルター)

キーツ 「おっ! 逃げてくぞ! 大物が脱出するんじゃないのか?」
(さりげなく事態を冷静に観察しているキーツ)

安芸 「そうはさせるか! たあっ!」
(ジャンプしてアタッカーを追う)
安芸 「てえいっ!」
(ラガーソードでアタッカーのソードを弾き返して墜落させる)

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安芸 「待てっ! バトルアタッカー! この期に及んで逃げる気か!」
(逃げるカポネーロを追う)

ゴメス 「カポネーロ! なぜ戦わんのだ!」
(カポネーロの臆病さにやきもきするゴメス)
カポネーロ 「今は脱出が先だ!」
(恐慌して逃げ廻るカポネーロ)
ベンチュラ 「奴を倒さずに脱出はできん! 戦え!」
(司令官を督戦)
カポネーロ 「脱出が先だ!」
(立ちはだかったダイラガーにビーム剣を投げつける)

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安芸 「うおっ!」
(ビーム剣をかわす)
安芸 「たあーっ!」
(逃げるアタッカーにラガーソードを投げつける)

ゴメス・ベンチュラ 「おわああーっ!」
(ラガーソードに貫かれ、アタッカー爆発)
カポネーロ 「うわああああああーっ!」
(総司令の最期)

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