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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第46話「探査基地陥落」

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支援艦隊到着まで、
なんとしても持ちこたえるのだ!

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ガルベストン探査基地
 ガルベストンの未探査宙域にある可住惑星探査の拠点、司令官は惑星探査隊長でこれは前線基地司令官・地球艦隊攻撃司令官より格下の地位である(以前はラフィット)。前線基地司令官を解任されたテレスが赴任し、可住惑星探査の指揮を取っていた。軍事拠点としてはさほどの戦力ではなく、また、駐留艦隊数も劣っている。惑星探査という性格上、組織も前線基地より複雑なようであり、ガルベストンの本星守備軍も含む雑多な出自の隊長が所属しており、命令系統も複線的なようである。このことは対地球艦隊戦において指揮が混乱するという同基地の弱点となった。

あらすじ

 ガルベストン本星を探索中の戦艦ラガーガードと連合艦隊はガルベストンの基地らしい小惑星を発見する。探査基地を発見されたことを悟った新司令ローチャーは増援が到着するまで基地の死守を命じる。

見どころ

 前回の前線基地は移動基地だったが、探査基地は赤色矮星の周辺を巡る惑星基地である。当然、ワープなどできず、断片的な手がかりからどうも第3惑星の近辺にあること、ガルベストン本星からそう遠くないこと、本星への航路上にあるらしいことは分かってはいた。つまり、本星発見を目指す地球艦隊にとって発見は時間の問題だったが、やはり発見され、テレスを追い出して新司令となったローチャーは増援到着まで基地の死守を命じる。

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 「状況は極めて良くない」、ルチアーノ以降もブランク、エンマ、ダントン、ハドラー、ジャクソン、ズッカとすでに6人の隊長が倒れており、本星から来たハームも含めると犠牲者は7名に及ぶ。ノーラン艦隊は解体されてローチャーの直率になっていたらしく、ローチャーはザイデルに艦隊指揮を命ずる。副司令官はガーロ、ローチャーが防衛隊から連れてきた艦隊もすでにほとんど失われ、1個艦隊弱程度の迎撃戦力である。しかも、バトルアタッカーは建造中で、当座の投入はできない。前回の前線基地の戦い(3個艦隊強)と比べると、艦隊戦力の弱体化が著しい。大半は主戦派による艦隊の逐次投入がもたらした結果である。そして、劣勢のガルベストン艦隊に対してアシモフは躊躇なく攻撃を加える。

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ザイデル 「ガーロ艦隊は左右に散開、防御ラインを敷き、攻撃せよ。敵艦隊を惑星内に突入させるな。」
アシモフ 「全艦、隊形を崩すな。敵艦隊の中央を突破する。命令あるまで攻撃するな。すれ違う一瞬が勝敗の分かれ目だ。」

 地球艦隊の戦法は第2話で赤城司令が行い、伊達艦隊の得意技で、もはやお家芸となった中央突破・背面展開戦法。ガルベストンは包囲殲滅戦や挟み撃ち戦法を得意とするが、最近では地球艦隊がガルベストン戦法を使うこともあり、両者の実力は個艦レベルでも伯仲している。ゾルゲル艦隊が先に砲門を開く中、アシモフ艦を先頭に距離を詰めた地球艦隊は反撃を開始する。

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「砲撃開始!」

 地球艦隊の砲火が包囲戦を目論もうとしたガーロの艦隊に集中し、展開途上の旗艦が爆破されてガーロは戦死する。第3惑星発見の功労者でもあるガーロだが、その功績は報われることなく地球艦隊の砲火に斃れることになった。ガーロを戦死させ、ザイデルの戦術展開を頓挫させたアシモフはそのままザイデル艦隊を圧倒する。その頃、先行した安芸は惑星上の探査基地を発見していた。

「ガルベストンの基地だ」、先の要塞戦で第一連合艦隊が被害を受けたことを受け、安芸は対空砲の飛び交う中、慎重に基地を探索する。幾多の戦いを経て、すでに戦闘技術でも地球側が上回りつつあった。艦隊戦で敗れたザイデルは艦隊を撤退させ、戦いは基地周辺に持ち越される。探査基地の存在を見て、アシモフは追撃を中止する。新連合艦隊はガルベストン本星攻略のための艦隊で、こんな前線基地と刺し違えるわけにはいかないからだ。アシモフは安芸の調査の結果を待つ。

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「支援艦隊到着まで、なんとしても持ちこたえるのだ!」

 今週の言葉はローチャー司令。増援到着まであと5時間、アシモフの追撃中止で再編の猶予を得たゾルゲルが再び地球艦隊に戦いを挑む、バトルアタッカーの完成までは2時間、その間に地球艦隊も作戦を練り直し、出撃してきたザイデル艦隊にアシモフは包囲殲滅戦を命じる。ガルベストンの戦術でガルベストン艦隊を葬る。ラガーチームも探査基地の攻撃を開始し、地球艦隊優勢のまま、基地の失陥は目前に迫っていた。

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ローチャー 「総司令! 地球艦隊が来ます! もはや基地が敵の手に渡るのは時間の問題です!」
カポネーロ 「ローチャー! ならんぞ! 基地を敵の手に渡すことはならん!」
ローチャー 「しかし、、総司令!」
カポネーロ 「くどい! かくなる上はお前の命を賭けて、1隻でも多く敵艦隊を撃破するのだ!」

「残る方法はただ一つ、、」、上司(カポ)にゴマを擦り、ご注進すること数十回、天然君の司令官テレスを物陰で誹謗讒謗、二枚舌三枚舌四枚舌を使い分け、下には厳しく上には甘くをモットーに、多数派(タカ)こそ正義、「地球のテレス(筋金入りのハト)」伊勢シンジ暗殺未遂に加え、地球との和平を目指す司令官の足を引っ張り続け、頓挫させ続け、ようやく手にした司令の座、竹馬の友ザイデルも戦死し、こんなことなら司令はテレスのままにしておけば良かったと後悔するローチャー氏だが、このままではおかない。典型的なゴマスリ管理職であった彼がその真の力を示し、テレスを超える時がいよいよ来た。

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 「見ておれ、、」、カポネーロの冷酷さにガルベストン新自由主義者の心が洗われるような人間関係の現実を目の当たりにしたローチャー氏はバトルマシン工場に足を運ぶ。が、すでに彼と共に搭乗する士官すらその場にいなかった。人生いろいろ、司令官もいろいろ、そして、基地が機能停止したことを見て、あのラガーチームが司令部を占拠に乗り込む。そしてローチャーは「司令官のバトルアタッカー搭乗」、隊長クラスでは彼以外誰もやったことのない、ガルベストン軍建軍以来の壮挙を目論む。

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 ローチャーの司令部に乗り込んだ安芸とウォルターは散乱していた資料からガルベストン本星の太陽系を示した宇宙図を手にする。ついに掴んだ本星の存在、しかし、基地のバトルマシン工場では半完成のバトルマシンを操縦するローチャーが地球艦隊とラガーチームに完全敗北の雪辱を注ごうとしていた。

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「俺は最後まで諦めんぞ!」、ラガーガードとダイラガーを道連れに最後の戦いを挑むローチャー、バトルマシンも未完成ならルチアーノでもやらなかったアタッカーの一人操縦でダイラガーに挑む。本職アタッカー操縦者も顔負けの技量と勇敢さでダイラガーを追い詰めたローチャーだが(ある意味、彼がいちばんガルベストンの役に立っていた瞬間かも知れない)、戦いの勝敗はすでに着いていた。

 探査基地が崩壊し、ローチャーのバトルアタッカーがラガーソードの一閃で爆発した時、ガルベストンの可住惑星発見の未来は完全に絶たれた。銀河探査の拠点を失い、後は滅亡を待つばかりとなったガルベストン星。しかし、ことここに至っても、ガルベストンの皇帝と軍部は、その星の崩壊まで国を裏切り、国民を裏切り、かつて権力を掌握するために彼らが提示したはずの可住惑星移住という夢を信じて、地下都市で暮らす人々の塗炭の苦しみをただ引き伸ばすだけの、無益な戦争を続けるのである。

キャラクター紹介

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ザイデル

 ガルベストン探査基地、ローチャー麾下の隊長(タカ)、テレスとの会談の際には無傷だったノーランと艦隊の姿が司令部に見られないので、ザイデル艦隊はおそらくローチャーの司令官就任で探査任務を中断したノーラン艦隊を解体再編成したものと思われる。探査基地の前哨戦と上空戦で2回地球艦隊に戦いを挑むが、兵力で負け、戦術で負けと一方的に撃破される展開が続いた。最初の戦いで副将ガーロを失い、2度目の戦いで地球艦隊に包囲されて戦死する。ザイデルは司令官に就任したローチャーを「隊長」と呼ぶ唯一の将校だったことから、両者は気心の知れた仲だったと思われる。ただ、ガルベストン艦隊も少なくなってきた折、彼の艦隊はこんな場所では戦わず、いっそ本星に後退させて首都防衛隊に編入した方がむしろ良かったかも知れない。以降ガルベストン本土決戦までまとまった規模の艦隊は登場しないので、ザイデル艦隊はガルベストン太陽系外で地球艦隊と交戦した最後の艦隊になる。

今週のバトルアタッカー(1分40秒)

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武器:角ビーム、右腕ビーム、ソード

 未完のままローチャー司令の強請で出撃したローチャー2号は新理論を具現化した洗練されたバトルアタッカーだが、いかんせん問題だったのはローチャーの要求でエネルギーチャージ未了のまま、しかも、バトルアタッカーは通例3人以上の士官で操縦するものを単独操縦で出撃したことがあり、機体本来の能力を発揮できる状況がそもそもなかった。能力的にはダイラガーを上回る機動性とパワーの機体と思われるが、ダイラガーをソードで切り伏せながら角ビームを浴びせるなど陰険な戦い方には彼(ローチャー)の地の性格が出ていたが、フル装備のアタッカーなら容易にかわしたであろうダイラガーキルダーでビーム砲を破壊され、ソードを折られてコクピットにラガーソードを突き刺され、ローチャー共々ラガーソードの露と消えた。

 ローチャー2号はローチャーが2代目司令官を襲名しなければ、これに乗っていたのはテレスかと思うと感慨深いマシンである。しかし地は中間管理職のローチャーと違い、皇帝コルセールにも近いガルベストンの貴人であるテレスはこんなものには乗らないだろう。

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