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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第45話「第3惑星を守れ!」

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原住民にも第3惑星にも被害を出さなくて
済んだのがせめてもの救いだ。

あらすじ

 新司令官ローチャーの下で第3惑星奪回を目論むガルベストン艦隊、ズッカ艦隊が惑星に密かに接近し、設営中の地球通信基地に奇襲を掛ける。キーツの予感で基地を偵察していた安芸は通信が封鎖される中、ガルベストンの大艦隊相手に孤軍奮闘する。

見どころ

 「おそらくもう、この銀河に出て来ることはないだろう。ガルベストンは、どうなるのか? 地球とのことはどうなるのか?」

 冒頭はテレスの離任の場面、ガルベストン本星の窮状、地球との関係、気がかりな事を多く残しつつ、テレスはサークを連れて本星への帰路に就く。「司令のこれまでの努力に対し、見送る人もないというのは、どういうことなのでしょう?」、ローチャーたちの冷たさをやじるサークだが、テレスは運命に従うと副官に言い、探査基地を離れる。「これで疫病神は去った」、テレスが去り、ラガーガード艦隊が第3惑星を離れつつあることを見たローチャーはズッカ艦隊に惑星攻撃を命じる。

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「しかし何か不安を感じるといっても、それで我々の行動を変更するわけにもいかんな。」

 一方、惑星を出たばかりの戦艦ラガーガードではキーツとキリガッスが超能力でローチャーの邪悪な計画を探知していた。今までも悪い予感の1秒後に攻撃されたりしていたとはいえ、ミラ星人の予言は的中率だけは100%のため、安芸は第3惑星の偵察を伊勢に申し出る。疫病神(ジンクス)テレスを追い払ったローチャーの計画は別の疫病神(ラガーマシン)を呼びこもうとしていた。こうして安芸は単独で第3惑星に向かう。

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 第3惑星では少数の守備隊が基地の建設を進めていた。作業員の佐藤と森川は工事の合間、周辺に林立するヤシ林でヤシの実をもぎ取り、工事の疲れを癒す。作業は順調に進み、基地周辺は何の不穏もないようだった。空中から一通り様子を確認した安芸はヤシの実を手土産にするため、佐藤と森川の近くに降り立つ。平和そのものという佐藤に安芸は渡されたヤシの実で喉を潤す。しかし、それは束の間のことだった。惑星に到着したズッカ艦隊が通信妨害バリアを張り、基地を孤立させて総攻撃を開始する。安芸はラガーマシンで母艦と交信を試みるが、ズッカの妨害で通信機は使えず、基地と一緒に安芸マシンも第3惑星に封じ込められてしまう。ズッカ隊はバトルアタッカー・ナルバSS-58を出動させて孤立した守備隊を攻撃し、惑星Kの悲劇が第3惑星で再現されようとしていた。

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ズッカ隊は通信基地と守備隊を全滅させ、部隊を上陸させて惑星の確保に掛かる。上陸作戦の合間にラガーマシンを発見したズッカはアタッカーに安芸マシンの攻撃を命じる。が、ズッカの過失で艦隊がアタッカーを砲撃してしまい、その隙を突いた安芸が妨害衛星を破壊する。しかし、その間に戦火は離れた場所にいた佐藤や森川にも及んでいた。負傷した森川と共に洞窟に逃れようとした佐藤が戦闘機の銃撃で重傷を負い、佐藤のためにヤシの実を取ろうとした森川も銃撃されて安芸の目前で息を引き取る。直後に佐藤も死に、一度に二人の死を見た安芸は悔し涙を流す。そこにラガーチームが到着し、安芸はダイラガーでバトルアタッカーとズッカの旗艦を倒す。アシモフの命令で到着した戦艦ラガーガードと艦隊がズッカ艦隊を掃討し、地球艦隊は第3惑星を奪回する。

「原住民にも第3惑星にも被害を出さなくて済んだのがせめてもの救いだ。」

 今週の言葉は伊勢艦長、地球側の被害は甚大である。基地の生存者はわずかに3名、が、戦死者の報告を受ける伊勢の関心は惑星襲撃の暴挙に出たガルベストンの窮状と本星攻略後の戦後処理に向けられていた。「早く本星を解放して、市民を移住させてやらなくては」、破壊された基地を見渡し、安芸は死んだ森川と佐藤に思いを致す。戦争の冷酷さと非人間性を彼は追悔する。

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「あれほどのことが、いざ報告となるとたった数行の言葉で言い尽くされてしまう。死んでいったあの人たちの楽しかった日や、苦しかった時間はいつか忘れられ、殉職1名、2名、わずかな数字だけが記憶として残るだけだ。こうして戦争は、個人の歴史を摘みとってしまう。」

 「戦わなくていい方法はないんだろうか?」、佐藤と森川の死を問い掛ける安芸に第3惑星の夕日は答えることなく、基地の廃墟と殉職した彼らの墓標を照らし出すのだった。

キャラクター紹介

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ズッカ

 ガルベストン探査基地、ズッカ艦隊の隊長(タカ)。親ローチャーのテレスの部下でローチャーの就任の際には就任祝いなどしていた将校、ハームよりは格上の隊長のようであり、カポネーロの意を受けたローチャーの命令で最初は第10惑星、次いで本命である第3惑星を攻撃する。ラガーガード艦隊の進発を見送って攻撃するなど兵力的には当初より劣勢であったようであり、通信基地を途絶させて一気に本星からの移住を行う計画を提示していた。しかし、味方によるバトルアタッカーの誤射、たまたま近くにいた安芸の妨害衛星破壊で作戦意図を伊勢に看取され、艦隊の側背攻撃とダイラガーの攻撃によって戦死する。この戦いでズッカがむしろガルベストン側が得意とした戦法(側背攻撃)によって敗れ去ったことは、長い戦いで艦隊の戦闘力が低下していることを如実に示していた。ズッカ艦隊の壊滅で探査基地にはゾルゲル艦隊しか残らなくなり、その点でも作戦は失敗であった。


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佐藤

 地球通信基地の建設隊員、同じく隊員の森川と共に通信基地の建設に当たっていた。ガルベストンの襲撃を受け、戦闘機の爆撃で受けた傷が元で死亡する。


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森川

 佐藤と同じ建設隊員、重傷を負った佐藤に水を飲ませるため、椰子の木に登った所をガルベストン戦闘機の銃撃を受けて重傷を負い、直後に死亡する。その後死亡した佐藤と共に、その死は二人を看取った安芸マナブに衝撃を与えた。

今週のバトルアタッカー(1分40秒)

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武器:ビーム砲、巨大ばさみ

 ズッカ隊のバトルアタッカー・ナルバSS-58の不運は最初にたまたま第3惑星にいた安芸マシンと交戦した際に味方の艦砲射撃を浴び、損傷修理を終えないままダイラガーと対戦したことである。未完成やエネルギーチャージ未了のバトルマシンの戦闘力はダイラガーも含めて相当低下するが、ナルバはその双方の条件を背負ったまま、先の損傷箇所から煙を吹きつつダイラガーと戦った。当然相手にならず、ダイラガーキックやパンチに蹴られ殴られ、実質30秒ほどで抵抗らしい抵抗もできないまま、あっという間に撃破され、ラガーソードの露と消えた。不完全な状態での破壊のため、その性能能力は不明である。

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