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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第42話「危機迫る可住惑星」

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ジャクソン、戦いを避けろ!
戦いで傷つくのは星ばかりではない。
人の心も荒れ果ててしまうぞ!

あらすじ

 惑星の東大陸と南大陸に停泊して対峙する両艦隊、貴重な惑星を戦火で荒らさないためにテレスと伊勢は紛争の回避を試みるが、ノーラン艦隊の到着を見たジャクソンは独断で地球艦隊に決戦を挑む。

見どころ

 バトルマシン同士の対決の後、惑星の両大陸に布陣して睨み合う両艦隊。ガーロが集めた資料を分析した伊勢たちは第3惑星がガルベストンの拠点として有用な惑星であることを知る。

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 「この第3惑星を中心にして、9つの惑星から成る太陽系をガルベストンの支配権にできるという報告書だ」、ドクター・サーチの分析でガルベストンの計画を知った伊勢たちは彼らがこのまま引き下がるはずはないと確信する。一方、南大陸に布陣したジャクソンは軌道上に配置した偵察艦から地球の大艦隊が惑星に接近していることを知る。

「ちょっとでも手を出してきたら叩き潰せ!」

 アシモフの艦隊はジャクソンの偵察艦を無視して降下し、ラガーガードと合流する。ジャクソン艦隊が無抵抗で艦隊を通したことにラガーチームは奇妙な印象を感じる。「戦力のバランスを取った所で交渉するんだ」、探査司令部のテレスはノーラン艦隊を送り、ジャクソンに地球軍との交渉を命じる。「バトルアタッカーを!」、ジャクソンの要求にテレスは無言のまま通信を切る。「舐められてたまるか!」、テレスの応答に不満なジャクソンは発見した潜航中のカイラガーを攻撃するよう命じる。

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「伊勢、こうなったら断固奴らを撃破する!」、出来る限り戦闘は避けたいという伊勢に、到着したアシモフはジャクソン艦隊の排除を主張する。「おい、奴らがそんなことに乗ってくると思うか、今までも再三裏切られてきているんだぞ」、話し合いのきっかけがあればという伊勢にアシモフは悲観論を提示する。

「ジャクソン、戦いを避けろ! 戦いで傷つくのは星ばかりではない。
人の心も荒れ果ててしまうぞ!」


 今週の言葉もテレス司令。伊勢も戦闘を拡大しないようにラガーチームに命じますが、ガルベストン側もテレスがジャクソンに攻撃中止の命令を出します。先の伊勢とアシモフもそうですが、このジャクソンとテレスのやり取りも両者の違いが出ていて興味深いです。「人の心も荒れ果てる」、しかし、ジャクソンには通じる様子もないようです。

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 海底ではダイラガーが戦っていますが、戦いで海の生命がどんどん失われていきます。アタッカーのエネルギー球で子イルカを殺された親イルカがアタッカーを損傷させたことにより、勝機を見出したダイラガーはラガーソードを抜き放ちアタッカーを倒す。「司令、お任せ下さい。何としてもこの戦いは避けて見せます」、接近するジャクソン艦隊に伊勢は事態の収拾を任せるようにアシモフに頼む。ついに両艦隊が相対し、地球側は戦艦ラガーガードを先頭に押し立ててジャクソン艦隊と対峙する。

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ノーラン 「待てジャクソン、奴らは一隻で来た。地球艦隊と交渉しよう。戦うのはそれからだ!」
ジャクソン 「ノーラン、貴様テレス司令の影響を受けてから人が変わったぞ!」
ノーラン 「とにかく、俺に任せてくれ!
ジャクソン 「ええい、しつこい! では、やってみろ、奴らはこれまでまるで銀河の平和の使者のような顔をして我々と戦ってきた。ハハハハ、、その仮面を剥がしてやる! 交渉が上手く行くかどうか見ててやる。」
ノーラン 「すまん、協力に感謝する。」

 ガルベストンの将校に地球コンプレックスがあることが分かるジャクソンの発言だが、ノーランの剣幕にひとまず矛を収める。ノーランは交渉を呼び掛ける伊勢に回線を繋ぐ。

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伊勢 「ガルベストンの司令に告ぐ! 我々はこの惑星について君たちと話し合いたい。応答してくれ!」
ノーラン 「ガルベストン戦闘隊長ノーランだ。」
伊勢 「君たちの最高責任者は誰だ。」
ノーラン 「ソクラット・テレスだ。」

 テレスの名前は以前にドレイクやローチャーが話しているので地球側でも知られているはずだが、両者との交渉は物別れに終わっている。今のところ、地球側との交信で名前が出たのはドレイクとラフィット、それにこのテレスだけである。

伊勢 「ぜひテレス司令と会いたい。我々もアシモフ司令が直接会う。」
ノーラン 「まさか罠に掛けて、テレス司令を!」
伊勢 「何を言うんだ! それは君たちがしばしば行なってきたことだ!」

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伊勢 「しかし、、それほど疑わしいなら、君たちの指定する所へ、決められた者だけで出向く。君たちもグズグズしていられないはずだ。我々はこの星を戦闘で荒らしたくない。それは君たちも同じだろう。だったら承知してくれ!」
ノーラン 「全艦、撤退!」

 このパターン(騙し討ち)はローチャーだが、申し出を受け、ノーランはジャクソン艦隊も含む全艦に南大陸への撤退を命じる。良識派二人の仲介で辛うじて戦いは回避される。

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ハルカ 「チーフ、何を考えているの?」
安芸 「また、裏切られるんじゃないかと、、」
ハルカ 「何度裏切られても、努力している限り、いつかは通じると思うわ。」

 テレスとの直接交渉が決まり、深夜の戦艦ラガーガードで安芸は交渉への不安をハルカにこぼす。こうして第3惑星の運命はテレスとアシモフの両司令官の手に委ねられていく。

キャラクター紹介

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ノーラン

 ガルベストン探査基地、テレス麾下の戦闘隊長(ハト)、ジャクソンと同格の艦隊指揮官だが、地球艦隊への戦いを挑むジャクソンに戦闘の回避を主張する。ジャクソンに「人が変わった」と言われていることから、元はタカ派の人間だったがガルベストンの危機の深刻化を見てハト派に転向したものと思われる。第3惑星以降は別の探査宙域に向かったはずだが、その後登場せず、戦闘隊長はザイデルに変わっているので、おそらくテレス同様ハト思想を忌避されて解任されたものと思われる。


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イルカ

 ダイラガーとノーラン1号が海中戦に入った時、付近を泳いでいた親子イルカの親イルカ。子イルカがノーラン1号のエネルギー球攻撃の流れ弾に当たって死んだため、高い知能を持つイルカは仇討ちのためにダイラガーに加勢する。ダイラガーに向けて投げられようとしていたエネルギー球に体当りし、爆発させてアタッカーの装甲を傷つけた。水中速度はダイラガーよりも速く(時速100ノット以上)、各所で爆発するエネルギー球の爆風にもほぼ無傷だったことから、地球のイルカとはまた別種の宇宙生物であると思われる。

今週のバトルアタッカー(5分50秒)

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武器:エネルギー球、機関砲

 ノーラン隊のバトルアタッカー1号は強力なエネルギー球を装備した火力重視の機体である。フィールド防御を消耗させるエネルギー球はガルベストン独自の兵器だが、ノーラン1号装備のそれは従来のものより格段にパワーアップしたものである。近接格闘用の装備は装備していないが、火力兵器が十分と判断されたためのことと思われる。防御構造は最新アタッカーのそれに準じているが躯体構造の新理論は徹底しているとは言えず、腕足の防御にも構造材を割いたため、運動性ではダイラガーと互角かやや落ちる程度にとどまっている。胸部の装甲は十分なものが装備されていたが、エネルギー球投射時の親イルカの体当たりで損傷し、そこをダイラガーに攻撃されて誘爆し、跡形もなく四散した。シカにやられたハドラー1号と並び、イルカにやられたノーラン1号は動物によるバトルマシン撃破の第2号だが、エネルギー球の装備など、実はかなりユニークな機体であった。


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バトルアタッカー語録

ビヨヨヨヨーン(エネルギー球の音)

安芸 「うわっ!」(エネルギー球をよける)

イルカ 「ゴボッ!ゴボゴボゴボ!」 (避けたエネルギー球が子イルカを直撃、狼狽する親イルカ)

安芸 「この野郎!」(立ち上がりアタッカーに突撃)

イルカ 「ゴボゴボゴボゴボ!」 (戦いに巻き込まれ、子イルカを殺された親イルカがアタッカーに特攻)

安芸 「あっ! やめろっ!」(突撃するイルカを呼び止める)

ビヨヨヨヨーン(エネルギー球の音)

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イルカ 「ゴボゴボッ!」

安芸 「うっ!」(目の前で閃光に包まれる親イルカ)

グワーン!

安芸 「うわあああああーっ!」(アタッカーと一緒に吹っ飛ばされる)

安芸 「くっ、子供の仇を取ろうと、必死だったんだ。」(爆発から立ち上がる)

安芸 「俺が仇を取ってやる! ダイラガーソード!」(イルカの尊い犠牲にダイラガーソードを引きぬく)

魚 「ゴボゴボゴボゴボ」 (ダイラガーとアタッカーの間に割って入る魚たち)

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パティ 「チーフ、もうこれ以上海の生命を殺せないわ!」(チーフの自然破壊に抗議するパティ)

ウォルター 「安芸! 海から出ろ!」(リックラガーチームは自然保護主義者である)

安芸 「分かった!」(海上に出るダイラガー)

「逃げるか!」(イルカの特攻で破損したアタッカー)

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安芸 「まだあきらめないか!」(ショットアローでアタッカーを中破させる)

「ここまで傷めつけられて、黙って引っ込めるか!」
(イルカにやられ、ダイラガーにやられと散々なアタッカー操縦士)

安芸 「とりゃーっ!」(エネルギー球を跳ね返しアタッカー爆散)

作画ミス

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