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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第40話「デノン少年と大鹿」

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私たちが来なかったら、
デノンの鹿は死ななくても済んだのよね。

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第71惑星
 ガルベストンの未探査宙域にある惑星、すでに惑星Kの住民が先行して植民していた。惑星J同様、自然も豊かで比較的住み心地の良い星であるが、ガルベストンが手を出さない理由は惑星Jと同じと思われる。

あらすじ

 先の戦いで損傷した地球艦隊の護衛を伊勢に依頼する艦隊司令アシモフ、損傷艦を狙ってハドラー艦隊も動き出す。が、艦隊が不時着していた第71惑星には惑星Kからの植民者がいた。

見どころ

 別の宙域で敗走した地球艦隊の行方を巡って会議中のガルベストン探査基地司令部。二枚舌管理職ローチャー対テレスの第5ラウンドは、「修理中の地球艦隊」編。珍しくサークがローチャーの受け答えをしています。

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ローチャー 「サーク、例の第29恒星系の戦いで敗走した、敵地球艦隊はどうしている?」
サーク 「はい、報告では我々が未探査の第71惑星上に艦隊の修理のためとどまっているようです。」

 エンマ殺しの件で前話ローチャーに嫌味を言ったサーク、男性社会ガルベストンでは逆恨みを買いそうな話です。色々言われたのでしょうか、なぜかサークが参謀みたいな仕事をしています。しかし、元王宮警備隊の隊長は参謀仕事もサクッとこなしているようです。

ローチャー 「なにいっ! ということは奴らが我々の重点探査宙域に向かう可能性があるということか!」
サーク 「その恐れは、、十分にあります、、」
ローチャー 「よし! 直ちに一番近い宙域にいるバトラー艦隊を地球艦隊撃破に向かわせよう!」

 ああ、またこのパターンかとテレスは思ったに違いありません。サークをローチャーに取られたテレスは面白くありません。顔に出ています

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ローチャー 「テレス司令、異存はありますまいな?」
テレス 「、、、、」
ローチャー 「我々の惑星探査を安全に行うために、これは必要な作戦です! テレス司令!」
テレス 「やむを得まい、、」

 何か不戦敗みたいな感じでローチャーに押し切られましたが、第5ラウンドはローチャーのうっちゃり勝ち、3勝2敗で二枚舌の優勢が続きます。「ヌハハハ、今度の作戦はまるで赤子の手を捻るようなものだ、ハハハハハ!」、意気揚々と初登場から1月半(6話)のブランクを経てバトラー氏は出撃していきますが、これでいいんでしょうか? しかし、この話はここで終わらなかった。

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テレス 「また無益な戦いが、血が流される、、」
サーク 「テレス司令、カポネーロ総司令との定時通信のお時間です。」
テレス 「ウム、、」

 前線基地時代はこういうのはテレスは出ないと決まっていて、「進展なし」とか部下に報告させていたはずでは、相手あのカポネーロだし、話しても無駄では? 案の定、画面に出たカポネーロは開口一番詰問調です。

カポネーロ  「テレス司令! 何をやっておる! コルセール帝は大層ご立腹である! エンマ艦隊を失いながら、まだ可住惑星の発見ができんのか!」

 ローチャーに舐められ、カポネーロに怒鳴られ、何も好んで中間管理職の悲哀を演じなくても、、しかもカポネーロがローチャー式詭弁術を使っているし、しかし、驚くのはこの次。

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テレス 「カポネーロ総司令、間もなく朗報をお届けすることができると思います。」
カポネーロ 「何! それは確かか?」

 驚いたのはカポネーロだけではありません。筆者も驚きました。実はすでに可住惑星発見の目処を付けていたんです。ローチャーに艦隊を削られながら、やるべきことはちゃんとやっていたテレス司令、彼が「朗報」というからにはただごとではありません。

テレス  「はい、先日未探査宙域に向かった艦隊より、有望な情報が届き、目下重点探査のため、支援艦隊がその空域に向かっている所でございます。」
カポネーロ 「ウム、その吉報、早速コルセール帝にお伝えしておこう。二度と間違いの無いようにな。」
テレス  「ハッ!」

 目が点になったとはこのことで、そういうことならテレスが地球艦隊との戦闘を避けていただけでなく、時にローチャーの主戦論に乗っていた理由もわかります。彼はすでに可住惑星の目処を付けており、少なくともその方向には地球艦隊を導かないようにしていたわけです。そうなるとスコアは現在2勝3敗ですが、格上のカポネーロに勝ったということで3勝3敗に修正することにしましょう。

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 修理中の第2艦隊を支援に第71惑星に向かったリックラガーチームは飲料水の調査に向かいます。地獄惑星で過失でヘルメットを脱いでという、あのリックラガーチームですから、そんな調査やらせて大丈夫かよと思いますが、目の前で轟々と吹き出す見るからに清浄そうな水にアナライザーを取り出します。「慎重にやれよ」、近くでは鹿が水を飲んでいます。過去の経験から彼らも学んだということでしょうが、人はそれを杞憂といいます。

 それから鹿と一緒に現れたデノン少年を追って彼らはある集落に辿り着きますが、原始的な集落と併存しているハイテク機器に彼らは目を見張ります。実はこここそが37話でダールが言っていた惑星Kの生き残りが逃れた星、番組の半分を費やしたデノン少年とリックラガーチームの追いかけっこはデノンの祖父の登場で一転歓迎ムードになります。ダールから連絡を受けていたと言い、デノン祖父はガルベストン艦隊の情報を彼らに教えます。

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「各艦とも惑星到着まで無線封鎖、隠密行動を取る」、このようにハドラーの艦隊は地球艦隊を奇襲するため無線を封鎖してエンジンを停止して接近していたのですから、これを掴んでいる惑星Kの人たちは見くびれません。これで惑星の裏側にいたハドラー氏の運命は極まったと言って良いでしょう。一応ハドラーは二手に分かれて地球艦隊を攻撃するようです。デノン祖父の情報でガルベストン艦隊の所在を掴んだ伊勢はクウラガーとカイラガーを出撃させます。一方、リックラガーチームは鹿と遊んでいます。

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 殺伐とした戦いが続いていたために、たまにはこういう微笑ましいのも良いかと思うのですが、そこはダイラガー、残り7分ですでに長老に探知されているガルベストン艦隊がノコノコ現れます。後はお定まりの戦闘なのですが、鹿と戯れすぎたリックラガーチームはキリガッスが逃げ遅れてしまいます。牧歌的な風景が突然戦場の修羅場に、何てったって番組のタイトルが「機甲艦隊ダイラガー」ですから。

「私たちが来なかったら、デノンの鹿は死ななくても済んだのよね。」

 今週の言葉はモーヤ・キリガッス、番組の三分の二まで鬼ごっこと鹿遊びでどうなることかと思いましたが、さすが東映制作陣、残りの時間できっちり泣けるドラマをやってくれました。戦いの巻き添えでデノンの鹿は親子とも死んでしまいましたが、一つ気になることとしてハドラー氏はどうなったんでしょう? 旗艦が撃沈される場面がなかったので、以前書いたレビューでは彼は「指揮艦隊なし」になっていたのですが、、

キャラクター紹介

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ハドラー

 今回登場するまで筆者も存在を忘れていたローチャー5人組の一人、おそらく最近顔を見ないベルトランの艦隊を引き継いで再登場したものと思われる。71惑星に不時着した地球艦隊の残存艦を屠ろうと試みるが、その動きはすでに惑星Kの生き残りであるデノンの祖父に探知され、伊勢に通報されていた。艦隊は地球艦隊に挟み撃ちを試みるも逆に挟み撃ちにされて1隻も残らなかったことから、ハドラーもおそらく戦死したものと思われる。


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デノンの祖父

 惑星Kの生き残りで71惑星の集落の長老、ダールから地球からの訪問者について連絡を受けていた。ダール同様見た目に騙されてはいけない老人で、ラガーガードも探知していなかったガルベストンの奇襲艦隊(無線封止していた)をはるか遠方から探知して地球艦隊に伝えたことから、ダール同様の移民第一世代で、高度テクノロジーを密かに保持しているものと思われる。


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デノン

 惑星Kの生き残りの第三世代でデノンの祖父の孫、惑星K時代の記憶はなく、おそらく移住後に71惑星で生まれた子供と思われる。祖父らの教育方針からテクノロジーには触れず、自然と共にする生活を営んでいる。仲良しの二匹の鹿の親子がいる。


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長門カズト

 リックラガーチーム、長門マシン(左足首)の操縦士、チームのムードメーカーで非番の時は同じチームの伊豆と将棋を指したりトランプをしたりしている。伊豆と並ぶラガーチームのコメディ要員。ハンサムを自称し女性に絡むことが多い。


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伊豆タスク

 リックラガーチーム、伊豆マシン(右足首)の操縦士、長門同様のコメディメーカーで、伊豆がボケで長門がツッコミの関係である。特技はいかさまトランプで、長門にカードゲームを教えた。長門とつるんで行動することが多い。


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デノンの鹿

 71惑星の少年デノンと一緒にいた大鹿、惑星Kから持ち込まれたものか、元々の原住生物かは不明だが、おそらく農耕用に持ち込まれた前者であると思われる。通例鹿は立派な角を持つのは雄鹿なのだが、地球の生物でないことは確実なので、惑星Kの鹿は両性具有なのかも知れない。子鹿を庇うなどその行動は極めて母鹿的である。おそらく71惑星の重力は母星の惑星Kよりかなり小さいため、この鹿は惑星では驚異的なジャンプ力を持ち、ダイラガーを守るため、高さ50メートルはあるバトルアタッカーのコクピットにジャンプして体当りするなど地球上では考えられない動きをした。鹿自体の自重が1トン程度あるので、その破壊力は7階建てのビルから飛び降りた衝撃に相当するが、鹿も無事ではなく、アタッカーを行動不能にした後に転落して死亡した。

今週のバトルアタッカー(2分50秒)

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武器:超硬ニードル、ソード、機関砲

 ハドラー隊のアタッカー「バルゲンZU」は、「鹿にやられた情けないバトルマシン」の印象が先行してしまい、無人スナイパーにやられたドレイク7号、イルカにやられた42話のノーラン1号と並ぶ汚名を斯界に残しているが、実はダイラガーを上回るパワーと敏捷性を持つ優秀なアタッカーである。その秘密は軽量化された下半身であり、スリムな両足は重量減とともに同機のアクロバティックで敏捷な機動を可能にしている。

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 同様の理由で重量物は中央に集めてモーメントを最適化し、胸の超硬ニードルはダイラガーの強靭なフィールド防御を打ち破り、胸の甲斐マシンとパティマシンを損傷させるほどのものである(パティは本当に危なかった)。ダイラガーに対しては終始優勢を保ち、崖っぷちまで追い詰めて撃破寸前まで追い込んだが、デノンの鹿の決死の突撃とそれによる操縦不能で逆転され、弱点である膝下をダイラガーキルダーに切断され、ラガーソードで短冊切りにされて谷底に崩れ落ちた。


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バトルアタッカー語録

「ダイラガーそこまでだ、止めを刺せ!」
(崖っぷちにダイラガーを追い詰める)

デノン 「やめろっ!」(ダイラガーの危機に駆け出すシカ)

シカ 「ヌヒヒヒーン! ギャアッ! ギャアッ!」 (アタッカーに向かって飛び上がる)

「な、何だっ!」(コクピットに衝突)

シカ 「ヌヒヒヒーン!」 (そのまま転落して死亡、動揺するアタッカー乗員)

キリガッス 「チーフ!」 (シカの尊い犠牲に驚愕するキリガッス)

安芸 「くそおっ! 仇を取ってやる! ダイラガーキルダー!」
(アタッカーの両足を切断してラガーソードで短冊切りにして葬り去る)

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