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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第36話「決死の海中合体」

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だが、最初に戦いを仕掛けてきたのは
あなた方ガルベストンです。
それに我々は過去何度も休戦を申し入れてきた。
しかし、その度に申し出を跳ね除けてきたのは、
あなた方です!

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先史惑星
 3億年前のデボン紀に相当する発展段階の小惑星、魚類から進化した肺魚が住んでおり、シダ類に似た植物が繁茂している。ローチャーが伊勢との会談場所に選んだ星。

あらすじ

 ローチャーらの行動が探査活動の停滞をもたらすことを恐れたサークはテレスに司令官就任を強く勧める。攻撃艦隊の司令官に就任したテレスはローチャーに地球との和平交渉開始を命じる。

見どころ

 副官サークの励ましでようやく攻撃艦隊の指揮権を受諾したテレス。カポネーロの策略に乗ってやったことになるが、司令官に就任した彼は早速ローチャーたちを呼び集める。

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テレス 「本日ただいまより、諸君は私の指揮の下で行動してもらうことになった。」
 顔を見合わせる一同
テレス 「さて、今後の我々の任務だが、諸君も知っての通り我々ガルベストン本星の状況は極めて逼迫している。」
ローチャー 「で、テレス司令、我々にどうしろとおっしゃるのですか?」
テレス 「我々の最優先の任務は一刻も早く、本星に代わる可住惑星を発見することだ。」
ローチャー 「しかし地球の連中は、今やすぐそこまで来ています。連中の進撃を阻止することも重要な任務だと?」

 いつもの人を喰ったローチャー式受け答えである。確かに地球軍の阻止も重要な任務だ。しかし、テレスもここまでは予期していたようだ。

テレス 「確かにローチャー、君の言うことももっともだ。だが今は、何より可住惑星を発見することが先決だ。そのためには彼らと休戦協定を結ぶ必要がある。」
ローチャー 「休戦協定!」
テレス 「ローチャー、直ちに彼らと休戦交渉をするのだ。」
ローチャー 「この私が?」
テレス 「これは我がガルベストンの興亡を賭けた重要な任務だ。」
ローチャー 「、、、、」
テレス 「「命令だ!」

dairugger 第1ラウンドはテレスの勝利、位討ち作戦で柄でもない平和の使者に仕立て上げられたローチャーは廊下で仲間たちに憤慨する。「この期に及んで何が休戦交渉なものか」、考えがあると言い、ローチャーは艦隊を進発させる。

「頼むぞローチャー、これが最後の和平のチャンスかもしれんのだ。」

 この時期のテレスは立ち直ったばかりで少し不安定です。ルチアーノが地球艦隊を一手に引き受けていたために、小規模ながら順調に進んでいた惑星探査、そこに余計な不協和音を再び入れられたことで彼も少し混乱しているようです。いずれにしろ、地球側の対応次第でローチャーの交渉が成功するなら彼にとっては願ったり叶ったりですが、神はそこまでの得点は彼には与えないようです。

「罠ではない、その証拠に我々の艦隊を見たまえ。戦いを交えるつもりなら、このような僅かな艦隊で来るものか。はるばる命を賭けてやってきた、この私を信じてくれ。」

 先史惑星でローチャーは数隻の艦隊と共にラガーガードの前に現れ、伊勢と交渉を開始する。突然の申し出とローチャーと言う人物にクルーらはいかがわしさを感じつつも、伊勢は浜辺での直接会談を受諾する。ケレン味のカタマリのようなローチャー氏だが、敵艦相手に体を張るなど、さすがにテレスを差し置いて探査基地を仕切るだけのことはあるようだ。「いいか、行動開始は俺が右手を上げたらだ」、敵の司令官を誘い出して討ち取る作戦を提示し、ローチャーは単身伊勢との会談に向かい、砂浜で二人の指揮官は対決する。

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伊勢 「早速ですが、まず最初にお伺いしたい。なぜこの期に及んで休戦を申し出られたのですか?」
ローチャー 「フフッ、、決まっているではないか、無益な戦いはいい加減に止めたいということだ。」
伊勢 「だが、最初に戦いを仕掛けてきたのはあなた方ガルベストンです。それに我々は過去何度も休戦を申し入れてきた。しかし、その度に申し出を跳ね除けてきたのは、あなた方です!」 

 今週の言葉は伊勢艦長、36話まで見てきた筆者としては伊勢のこの論法はドレイクと同じと気づくことになる。言うべきことはキッパリと言い非理を明らかにする。口先だけではなく実行、形だけの合意ではなく信頼が必要なのだ。不まじめな態度で伊勢の非難を聞いていたローチャーだが、そのうち馬鹿まじめなこの艦長が、真面目すぎるゆえにハッタリの通じない手強い交渉相手と気づくことになる。

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伊勢 「しかし、、今のあなたの説明だけでは、我々の上層部は決してあなた方の休戦の申し出を受諾することはないでしょう。ローチャー隊長、我々があなた方の申し出を納得するに足る説明をしていただきたい。」
ローチャー 「伊勢艦長とやら、君はなかなか素直で頭の良い男だ。では聞かせてやろう、我々の本当の理由を!」

 伊勢が口先で丸め込める相手でないことに気づいたローチャーは申し合わせ通り右手を上げる。「これが我がガルベストンの休戦協定だ!」、バトルアタッカーが出現し、元より破談させるつもりだった休戦交渉は決裂に終わる。バトルアタッカーに追い回された伊勢はラガーマシンの助けで辛くも母艦に脱出する。空からはローチャー艦隊が出現し、そのまま地球艦隊との交戦に入る。海中で潜水艦隊に追い詰められたキーツを助けるため、海に飛び込んだ各ラガーマシンは海中でダイラガーに合体して応戦する。

「ついに地球の人間たちも、心を閉ざしてしまったか。」

 戦いの後、サークから交渉失敗の報告を受けたテレスは天を仰いで慨嘆する。ローチャーの人柄からして、決裂はある程度予測の着く話ではあった。ローチャー1人懐柔できなくて本星のタカ派を地球との交渉のテーブルに載せることができるのか? 自星の運命をさえ犠牲にして軍事的栄光を求める本星のカポネーロらにテレスは諦めに似た感情を覚えていく。

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 ローチャーが故意に交渉を失敗させたことを見て、皇帝を中心とする主戦派を排除しない限りガルベストンに未来はないというテレスの考えはやがて確信に変わっていく。が、ローチャーが退却したことで猫の首に鈴をつけることはできた。こうしてしばらくの間、テレスはガルベストンの運命はともあれ、主戦派を抑えることには成功するのである。

キャラクター紹介

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モーヤ・キリガッス

 リックラガーチーム、キリガッスマシンの操縦士でミラ星人、カイラガーチームのチーフ、キーツ同様の超能力者である。キーツ同様漠然とした予感で宇宙に漂うガルベストンの不吉な計画を察知し、化粧のノリが悪いことで加賀に安芸の危機を伝える。ラガーチームの3人の女性の中では最年長らしく、彼女らにとっては頼れる女性である。キーツとは当初から彼の恋人のような様子で登場する。


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肺魚(イクチオステガ)

 先史惑星に棲息する3億年前の地球の肺魚に似た原始生物。両手両足と頑丈な骨格を持ち、陸上に上陸して肺で呼吸するが、体が重すぎるため大部分を水中で過ごしている。加賀らにガルベストン潜水艦の位置を教えた。


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ガルベストン潜水艇

 ローチャーが伊勢を誘い出した海岸の近くに海中に潜航させた小型潜水艇。ガルベストン艦から発進し、カイラガーを待ちぶせて苦戦させた。潜水艇ではあるが、海中での運動能力、戦闘能力はラガーマシンに劣っている。この艦が行動したことで肺魚たちが棲家を追われた。


今週のバトルアタッカー(1分10秒)


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武器:ネーブルミサイル、エネルギー球、巨大鎌

 ローチャー隊のバトルアタッカーはやや不恰好な樽型の胴体にミサイルや各種の武装を搭載しているが、総体的に見た感じではバトルアタッカーと言うより以前のバトルマシンに近いルックスと性能の機体である。アタッカーというほどには動きも良くなく、また、鎌を除く武器類もこれはバトルマシンである。特筆すべきはフィールド防御を消耗させるエネルギー球の装備だが、やはり全般的に低性能は覆いがたく、海中で対戦したダイラガーに敗れ、ラガーソードの露と消えた。

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