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 機甲艦隊ダイラガーXV(1982) 各話レビュー

 第33話「新連合艦隊来援」

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きっと伊達司令の魂が私を呼んだのに違いない。

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褐色惑星
 ラガーガードが修理のため停泊した褐色の星、呼吸可能な大気と海を持つ。ブランク艦隊が探査していたが、後に地球軍に制圧され、ガルベストン攻略の有力基地になった。

あらすじ

 前線基地を葬り、修理しつつ増援艦隊との合流を待つ戦艦ラガーガードと連合艦隊、修理と乗員の休養のために停泊したが、そこには既にテレス麾下のブランク艦隊がいた。

見どころ

 大きな犠牲を払い、ようやく前線基地要塞を落とした戦艦ラガーガードと連合艦隊、しかし、彼らも消耗しており、修理しつつ地球からの増援部隊の到着を待っていた。新設された第二連合艦隊の司令官にディック・アシモフ補佐官が任命されたという連絡に喜ぶ安芸たち。一方、ガルベストン本星の御前会議では前線基地を陥落させた地球艦隊が未探査宙域に向かっていることに皇帝コルセールが神経を尖らせていた。未探査宙域はテレスの探査隊が探査している宙域だ。地球艦隊が再び探査活動を再開したのではというベンチュラらの憶測に皇帝は激怒する。「バカな、我々より先に可住惑星を発見されてなるものか! その前に奴らを叩き潰せ!」、勅命により艦隊派遣が決定され、皇帝によるこの決定は安芸たちラガーメンバーや辺境の星で黙々と探査活動を続けているテレスらの運命を狂わせていく。

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  「地球側の目的」に疑心暗鬼する御前会議の様子は一見淡々としていますが、見逃せないポイントです。この時既に地球側はガルベストン本星攻略を決めており、探査活動であるラガーガード計画は放棄されています。前線基地の後は本星というのは30話でも確認されている地球側の決定事項ですが、ガルベストンはこの情報を掴んでいないというのが面白いところです。後の31話でも見られますが、どうも彼らは地球攻撃を含む一連の攻撃が地球側に対ガルベストンの意思を固めさせたことに気がついていない様子です。また、テレスの評判が更に悪くなっており、ほとんど地球の内通者のような言われようも艦隊派遣の決定に寄与しています。皇帝コルセールが実は主戦派でタカ派だったということが明らかになるのがこの話です。

 損傷した艦隊を率い、伊勢はラガーガードを褐色惑星に着陸させる。意外なほど住環境の良い惑星に伊勢は乗員らの上陸を許可するが、惑星にはすでにテレス麾下のブランク艦隊がいた。火山湖に潜んで斥候を出し、密かに地球艦隊の様子を伺うブランク。「敵艦隊、大型母艦1、戦艦7、駆逐艦5、補給艦2、以上です」、斥候からの報告で残存地球艦隊が意外なほど少数であることを見たブランクは上陸して油断しきった地球艦隊に夜戦を仕掛ける。油断していた地球艦隊は発進しようとした所を急襲され、先の戦いでの損傷とエネルギー不足から次々と撃破されていく。ラガーマシンの出撃にブランクは新型のバトルアタッカー・グラヴVを出撃させ、地球艦隊を壊滅寸前の状況に追い込む。「後は敵旗艦と刺し違えるしかない」、僚艦を撃破され、損傷したラガーガードで伊勢は特攻を決意する。ダイラガーはグラヴVに海底に引きずり込まれ、これも苦戦を続ける。満身創痍で敵艦隊に艦首を向ける戦艦ラガーガード、その時、彼方から強力なビームがブランク艦を襲った、、

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 朝日を背後に接近する多数の艦影、予定よりも早く到着した新鋭艦を中心とした新連合艦隊の戦闘力はブランク艦隊を完全に圧倒していた。たちどころに壊滅させられ、ブランクもアシモフ艦の砲撃で旗艦を爆破されて戦死する。ついに三惑星連合が打倒ガルベストンに立ち上がり、奮起したダイラガーもバトルアタッカー・グラヴVを倒す。戦いは新たな局面を迎えようとしていた。

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 32話が終わりましたので、今週からは通常レビューに戻しましたが、やっとあの前線基地を落としたのに、同じ艦隊が次の回で油断からほぼ全滅してしまうというのもこの作品のシビアな所です。しかも相手が中規模程度(戦艦1、巡洋艦13、ミサイル艦6)の探査艦隊で、戦艦の数でも劣っていた(1対7)のですからたまりません。惑星の海辺で焚き火を囲んで妻子の写真を眺めていた兵士も死んでしまったのでしょうか。ただ、残存艦数がいくら何でも少なすぎ(15隻)ますので、多分多くの艦は損傷が酷すぎて後方に送ったのかもしれません。

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 アシモフ艦隊の新鋭艦のフォルムは後にコーナーで取り上げますが、これまでの地球艦のフォルムをベースにミラ艦、サラ艦のフォルムを組み合わせたものです。三惑星連合は戦闘機と輸送艦は共通仕様でしたが、戦艦は各惑星ごとに異なっていました。そういうハイブリッド戦艦ですので、デザイン的に見れば艦首のトゲは無い方が望ましいのですが、多国籍艦ということであえて崩しているようです。同様の理由で戦艦ラガーガードの艦首のトゲも同艦がラガーガード計画による多国籍艦であることを暗示するものでしょう。新鋭艦の造形はラガーガードよりも進んだものになっています。なお、新艦隊の旗艦であるアシモフ艦はラガーガード並みの大きさの地球軍最大の戦艦です。これまで三惑星連合は戦艦の質でガルベストンに劣っていたのですが、互角に戦える船を建造して揃えてきたようです。

「きっと伊達司令の魂が私を呼んだのに違いない。」

 今週の言葉はディック・アシモフ司令。この言葉も意味深です。故司令と地球タカ派の二大巨頭であったアシモフ氏ですが、タカ司令の霊魂だけで艦隊が高速移動できるはずもありません。29話で銀河警備軍に志願したエルドラ人たちが以降は姿を見せないことにご注目ください。彼らは見た目こそアレですが、ピラミッドの中には高度な機器があったり、衛星間迎撃ミサイルを自前で作ったり、ガルベストン宇宙砦の建設でも監督官に重用される(班長たちが会議等に出席)など、実は結構高度な科学力と知性を持った人種のようです。そうは言っても艦隊乗員になるには長期間の訓練が必要ですし、ただ乗船させても戦力にはなりません。おそらく故司令は彼らを説得して前線基地までの連絡係に使っていたのではないでしょうか。司令官級の人物が安易に魂だの霊魂だの言う国はアブナイ国ですから(特にダイラガーはそういう精神主義の強調は避けられている)、これは多分故伊達司令が遺した宇宙インフラ(航路標、灯台、連絡基地)の存在を暗示していると思います。銀河の民を敵に廻したガルベストン帝国、彼らの戦いは今後はつらいものになりそうです。

キャラクター紹介

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ブランク

 ガルベストン最高幹部会議の閣僚(タカ)、階位は不明だが、御前会議に席を持ち、カポネーロ、ゴメスと組んで行動することが多いことから、おそらく産業系の高官で、おそらく軍需長官と思われる。服装が軍の隊長に似ているので軍人に見えるが、襟や肩パッドの形状が通常の隊長クラスと異なっており、また二の腕を露出させる意匠もガルベストンの文官クラスでは珍しいものではない(ゴメスなど)。

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ベンチュラ

 ガルベストン探査基地、テレス麾下の探査隊長(隠れタカ)、探査艦隊の中では比較的大規模な艦隊を率いていたため、有力な隊長と思われる(通例探査艦隊は5隻程度)。前線基地陥落後の漁夫の利を狙ってラガーガードを急襲するが、あと一歩の所でアシモフ麾下の新連合艦隊に阻まれて戦死する。

今週のバトルアタッカー(4分45秒)

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武器:三連装ビーム(右指)、ソード、触手ビーム

ブランク隊が装備していた初めて地球側と交戦したバトルアタッカー「グラヴV」、惑星探査を主として開発されたバトルマシンと比べ、こちらは対ダイラガー戦を意識したメカになっており、前線基地でも開発建造していたバトルマシンとは異なり、全機がガルベストン本星建造の機体である(基地で組み立てはする)。注目すべきはバトルマシン・ブラー(20話)以降初めて与えられたソードの装備で、ブラーはこのマシンの先行試作機であったと考えられる。フォルムもブラーより均整が取れており、より格闘戦を重視したルックスに進化している。パワーも概してダイラガーより劣っていたバトルマシンに比べ、互角以上の出力を持つようであり、海中に引きずり込まれての戦いでダイラガーは苦戦を強いられた。しかし、操縦者の技量は歴戦のダイラガーの方が勝っており、ショットアローやスピンカッターで飛び道具を破壊された後のソード戦に敗れ、ラガーソードの露と消えた。


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バトルアタッカー語録

「待っていろ、今までのバトルマシンとはひと味違う力を見せてやる。」
(バトルマシン搭乗員とは目つきの違うアタッカー乗員)

「うるさい奴らだ! 先に片付けてやる!」(ラガーマシンを追い回す)

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「だあああーっ!」(ソード戦に敗れ爆散)

ガルベストン探査隊の装備

 地球と同じく、あるいはそれ以上に可住惑星発見に全力を挙げているガルベストン帝国、今回はブランク探査隊の装備を紹介したい。探査隊の装備はその他も多岐に渡る。

dairugger 探査戦車
 ガルベストン艦に搭載されている標準的な装甲車である。戦闘力はあまりなく、もっぱら惑星の探査に用いられる。

dairugger 暗視グラス
 ガルベストン兵士は地球人類と肉体的にはほとんど変わらないため、夜間には暗視グラスが必要である。性能は普通の双眼鏡程度。

dairugger アサルトライフル
 ガルベストン兵士の標準的な銃だが、実は艦隊専用品で宮殿近衛隊用や民需用などのライフルも存在する。艦隊搭乗の兵士はほとんどこのタイプを用いているが、艦隊以外ではほとんど見ない装備の典型。

dairugger 軽装甲車
 小型の装甲車で市街戦鎮圧用の車両と思われる。


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